再発進行乳がんという病を抱えて6年半の間、治療を続けながら変わらない身分(処遇)で仕事をさせて頂いている。
そんな中、気になる記事を見つけたので、以下、転載させて頂く。
※ ※ ※(転載開始)
企業におけるがん検診 大企業ほど発覚後就労継続率高い(2014.5.17:財経新聞)
愛知県は、5日までに780社を対象に従業員の健康管理に関する調査を行った。調査期間は平成25年12月13日から平成26年1月13日。回答数は178社。
「貴社では平成24年度中に、検診後がんと診断された従業員はいましたか」との問いに対して、「はい」と答えた企業は82社で46.1%、「いいえ」が75社で42.1%、「わからない」が18社で10.1%、無記入が3社で1.7%。
上記のうち「はい」と答えた企業を対象に、「がんと診断された従業者の中で、就労継続している従業者はいますか」の問いに対して、「はい」と答えた企業は73社で89%となった。一方、「いいえ」と答えた企業は9社であり全体の11%にとどまった。
企業規模別に見ると、1000名以上の規模の企業では、「はい」が97%、300から999名規模の企業では、92.6%、100から299名の規模では84.6%、さらに50名から99名の規模ではぐっと減少し33.3%。企業の規模と、従業員のがん発覚後の就労継続率は比例の関係にあることが分かった。
従業者の健康管理等体制に関して、従業員の健康管理を行う産業医・産業保健師・産業看護師等のいわゆる産業保健専門職の配置について尋ねたところ、「すべての事業所にいる」と答えた企業が、11社で6.3%、「一部の事業所のみいる」が36社で20.1%、「いない」が131社で73.6%となった。企業規模別では、「いない」と答えた企業は、1000名以上で33.3%、300~999名で80%、100名から299名で83.3%、50~99名で95.5%、49名以下で93.8%となった。企業規模が大きくなるほど、産業保健専門職常駐の割合もまた増すことが分かった。
企業規模が大きくなるほどがん等の発覚後も働きやすく、産業保健専門職等のサポートも受けやすいことが伺える結果となった。今回の調査では、がん発覚後の退職事由については明らかになっていないが、産業保健専門職在中等の企業側の従業員に対する就業環境の整備にも一因があるのではないかと思われる。一概に働きやすさと企業規模が比例するとは言えないが、健康管理体制に関しては、大企業のほうが整備が進んでいると言えそうだ。(編集担当:堺不二子)
(転載終了)※ ※ ※
なるほど、さもありなん、と思う。今、こうして働かせて頂けている私はとても恵まれた環境にあることも十分理解しているつもりだ。
さすが大企業ほど職場環境が良い、やはり大企業に就職すべきだ、等と安直なことを言うつもりは毛頭ない。けれど、実際、小さな会社で一人一人の負う所が大きければ大きいほど、雇用主として、長期の休みもどうぞご自由に、通院の度にゆっくりお休みください、等という綺麗事はそうそう言っていられないのだろう。
もちろん、働く側もしかり、である。自分が不在になることで周りにどれだけの影響が出るか、迷惑をかけるか、本人が一番良く分かっているから、とても切り出せない。長期に休まなければならない、仕事に穴を開けることになる、となればやんわりと、ではどうぞ退職してください、と言われるか、それとも、職場には黙ったまま休日に開いている病院を探して、綱渡りの通院治療を続けながら何もなかったように働く、しかないわけだ。
が、これからの社会が、それであり続けていい筈はないだろうと思う。
今やがんは2人に1人がかかる病気である。知識も経験もある働き盛りの人材が、がんという病気になれば退職を余儀なくされる、職場という生活上大切な柱を外され、安心して病と闘うことさえ出来ず、声を上げることさえ出来ず職場を去っていくとしたら・・・その社会的な損失はどれだけ大きなことだろう。
ただでさえ少子高齢化の世の中である。高齢者を支える側の人間はますます少なくなっているのに、である。
がんという病気は一度切ったらそれで終わり、ではない。経過観察をして一定期間再発しなければ目出度く完治ではあるけれど、他の病気と違って完治となるまでの期間が長いのも事実だ。卒業まで一般的には5年、乳がんに至っては10年単位である。そして、一旦再発してしまえば、完治は望めず、治療はエンドレスになる。そうなったらもう綺麗サッパリお辞めになって治療専念すればよいではないですか、とは言わせまい。その後延命治療をするために、一体どれだけ高額の治療費がかかることか。金の切れ目が治療の切れ目、この薬を使えば間違いなく効くと判っていても、その高額な治療費が払えなくて、命を繋げない、という哀しい現実をみすみす見ないふりして放置していいのだろうか。
自分には無関係、自分はがん家系ではないからがんにはならない、という時代ではない。
明日は我が身、と自分に引き寄せて考えることが出来るならば、がんになっても安心して働き続けられる社会を皆で創っていくことが出来るのではないか。そしてそうあってほしい、と心から思う。
そうあるためには、患者自身も必要以上にがんという病を隠して働くことは止めた方が良いのではないか、と思う。もちろん不摂生を重ねて発症するがんもないわけではないけれど、がんになったのは、決して自分が悪かったから、ではない。 誰でも罹患する可能性のある病なのだ。そして、がんになったら即、翌日から死の床に就くわけでも、働けなくなるわけでも、ない。確かに外科手術後はある程度の期間休まなければならない。けれど、一旦初期治療が終わって経過観察になれば、今まで通り普通に働くことが出来る。抗がん剤治療中は体調が優れない期間はあるけれど、四六時中具合が悪いわけでもずっと寝たきりであるわけでもない。
それに、この辛い時期を経験することによって、むしろ、人の痛みが分かる人材として、生まれ変わっているのだと思う。そこには、健康であり続ける者の到達できない景色があって、それが活かされないのは、それこそが大きな社会的損失なのではないだろうか。
このまま、がんと言えば辞めるか、黙って働き続けるか、の二者択一であってはならない、と強く思う。
そんな中、気になる記事を見つけたので、以下、転載させて頂く。
※ ※ ※(転載開始)
企業におけるがん検診 大企業ほど発覚後就労継続率高い(2014.5.17:財経新聞)
愛知県は、5日までに780社を対象に従業員の健康管理に関する調査を行った。調査期間は平成25年12月13日から平成26年1月13日。回答数は178社。
「貴社では平成24年度中に、検診後がんと診断された従業員はいましたか」との問いに対して、「はい」と答えた企業は82社で46.1%、「いいえ」が75社で42.1%、「わからない」が18社で10.1%、無記入が3社で1.7%。
上記のうち「はい」と答えた企業を対象に、「がんと診断された従業者の中で、就労継続している従業者はいますか」の問いに対して、「はい」と答えた企業は73社で89%となった。一方、「いいえ」と答えた企業は9社であり全体の11%にとどまった。
企業規模別に見ると、1000名以上の規模の企業では、「はい」が97%、300から999名規模の企業では、92.6%、100から299名の規模では84.6%、さらに50名から99名の規模ではぐっと減少し33.3%。企業の規模と、従業員のがん発覚後の就労継続率は比例の関係にあることが分かった。
従業者の健康管理等体制に関して、従業員の健康管理を行う産業医・産業保健師・産業看護師等のいわゆる産業保健専門職の配置について尋ねたところ、「すべての事業所にいる」と答えた企業が、11社で6.3%、「一部の事業所のみいる」が36社で20.1%、「いない」が131社で73.6%となった。企業規模別では、「いない」と答えた企業は、1000名以上で33.3%、300~999名で80%、100名から299名で83.3%、50~99名で95.5%、49名以下で93.8%となった。企業規模が大きくなるほど、産業保健専門職常駐の割合もまた増すことが分かった。
企業規模が大きくなるほどがん等の発覚後も働きやすく、産業保健専門職等のサポートも受けやすいことが伺える結果となった。今回の調査では、がん発覚後の退職事由については明らかになっていないが、産業保健専門職在中等の企業側の従業員に対する就業環境の整備にも一因があるのではないかと思われる。一概に働きやすさと企業規模が比例するとは言えないが、健康管理体制に関しては、大企業のほうが整備が進んでいると言えそうだ。(編集担当:堺不二子)
(転載終了)※ ※ ※
なるほど、さもありなん、と思う。今、こうして働かせて頂けている私はとても恵まれた環境にあることも十分理解しているつもりだ。
さすが大企業ほど職場環境が良い、やはり大企業に就職すべきだ、等と安直なことを言うつもりは毛頭ない。けれど、実際、小さな会社で一人一人の負う所が大きければ大きいほど、雇用主として、長期の休みもどうぞご自由に、通院の度にゆっくりお休みください、等という綺麗事はそうそう言っていられないのだろう。
もちろん、働く側もしかり、である。自分が不在になることで周りにどれだけの影響が出るか、迷惑をかけるか、本人が一番良く分かっているから、とても切り出せない。長期に休まなければならない、仕事に穴を開けることになる、となればやんわりと、ではどうぞ退職してください、と言われるか、それとも、職場には黙ったまま休日に開いている病院を探して、綱渡りの通院治療を続けながら何もなかったように働く、しかないわけだ。
が、これからの社会が、それであり続けていい筈はないだろうと思う。
今やがんは2人に1人がかかる病気である。知識も経験もある働き盛りの人材が、がんという病気になれば退職を余儀なくされる、職場という生活上大切な柱を外され、安心して病と闘うことさえ出来ず、声を上げることさえ出来ず職場を去っていくとしたら・・・その社会的な損失はどれだけ大きなことだろう。
ただでさえ少子高齢化の世の中である。高齢者を支える側の人間はますます少なくなっているのに、である。
がんという病気は一度切ったらそれで終わり、ではない。経過観察をして一定期間再発しなければ目出度く完治ではあるけれど、他の病気と違って完治となるまでの期間が長いのも事実だ。卒業まで一般的には5年、乳がんに至っては10年単位である。そして、一旦再発してしまえば、完治は望めず、治療はエンドレスになる。そうなったらもう綺麗サッパリお辞めになって治療専念すればよいではないですか、とは言わせまい。その後延命治療をするために、一体どれだけ高額の治療費がかかることか。金の切れ目が治療の切れ目、この薬を使えば間違いなく効くと判っていても、その高額な治療費が払えなくて、命を繋げない、という哀しい現実をみすみす見ないふりして放置していいのだろうか。
自分には無関係、自分はがん家系ではないからがんにはならない、という時代ではない。
明日は我が身、と自分に引き寄せて考えることが出来るならば、がんになっても安心して働き続けられる社会を皆で創っていくことが出来るのではないか。そしてそうあってほしい、と心から思う。
そうあるためには、患者自身も必要以上にがんという病を隠して働くことは止めた方が良いのではないか、と思う。もちろん不摂生を重ねて発症するがんもないわけではないけれど、がんになったのは、決して自分が悪かったから、ではない。 誰でも罹患する可能性のある病なのだ。そして、がんになったら即、翌日から死の床に就くわけでも、働けなくなるわけでも、ない。確かに外科手術後はある程度の期間休まなければならない。けれど、一旦初期治療が終わって経過観察になれば、今まで通り普通に働くことが出来る。抗がん剤治療中は体調が優れない期間はあるけれど、四六時中具合が悪いわけでもずっと寝たきりであるわけでもない。
それに、この辛い時期を経験することによって、むしろ、人の痛みが分かる人材として、生まれ変わっているのだと思う。そこには、健康であり続ける者の到達できない景色があって、それが活かされないのは、それこそが大きな社会的損失なのではないだろうか。
このまま、がんと言えば辞めるか、黙って働き続けるか、の二者択一であってはならない、と強く思う。