ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2013.8.24幸せな土曜日・・・ちょっぴり心配なこと

2013-08-24 22:24:51 | 日記
 昨夜、夕食を済ませた後、なぜか酷い下痢になり、脂汗を流しながらお手洗を往復する羽目になった。お昼に何か悪いものでも食べたのではないかと夫に問われるが、思い当たるものはなし。感染症だったら大変だから、と私が触ったパソコンのキーボードに消毒ジェルを塗ったり、入浴するのは最後にしようね、などと言う。こういう時はいきなり職業病の夫である。

 お腹はすっかり空っぽになったと見えて、今朝は無事落ち着き、胸をなでおろした。今日は毎月のお愉しみ、リフレクソロジーの日。いつものようにオーナーに最寄駅まで迎えに来て頂き、車に乗り込むと、「今日は私でなくOが施術します。彼女からは言い出さないと思うのだけれど・・・」とお話があった。
 Oさんは3年前に産休に入りお嬢さんを出産後、既に本格的に復帰されていたのだが、私がいつも日曜日に予約しているのでこれまでお会いすることが出来なかった。今日は珍しく土曜日だったので彼女が出勤しているという。実のお父様が咽頭がんⅣ期の闘病中だが、術前の抗がん剤治療、放射線治療が終わって現在手術待ちの状況で、精神的にも肉体的にもかなり大変なようだ、と。もし出来れば、再発治療中でも仕事をしながら元気でいる私から何かお話しして頂ければとても有難い、ということだった。
 フットバスのエッセンシャルオイルはティートゥリーにし、ハンドリフレをして頂きながら患者の気持ち、家族への思い、抗がん剤治療のしんどさなど、思いつくままとりとめもなくいろいろお話しする。手も足もほぐして頂きつつ、心も一緒にほぐれていく感じがして、気付けばいつのまにやら眠ってしまった。
 彼女から施術をして頂くのは3年ぶりだったけれど、最近ホットヨガにはまっていて、という話をしたところ、右の鼠径リンパが滞った感じ、左の腋や腕の流れが悪い感じ、首が疲れている感じはあったが、全体的な流れはかつてより良くなっているように感じたとのこと。今日は生の声を聴かせて頂いてありがとうございました、と御礼を言われた。一患者にすぎない私に出来ることなど高が知れているけれど、経験したことから思うこと、考えることを話すことくらいならいくらでも、と思う。少しでもお役に立つことが出来たのであれば、素直に嬉しい。
 昨夜の下痢を思い出し、施術後のハーブティは“胃腸はお元気ですかブレンド”を頂き、ペパーミントやレモングラスですっきりする。

 帰りも駅まで送って頂き、そこで夫と合流。かつて何度か行ったことのあるスペイン料理レストランで贅沢ランチを愉しんできた。スペイン風オムレツやトマトのマリネ、ガスパチョスープ、魚介のパエジャ、洋梨のコンポートとジェラート、パンナコッタの盛り合わせを堪能し、満ち足りた土曜日の静かな午餐。ヨーロッパ研修の年末年始に夫と2人、スペインを旅したことを懐かしく思い出す。期せずして夫がご馳走してくれてびっくり。買い物も済ませ上機嫌で最寄駅まで戻った。その後、私は肩こり改善ヨガに参加、たっぷり汗をかいて帰宅した。

 洗濯機を回し、夕飯の支度をしてから予約していた歯科へ。前回5月の3か月検診の後から結局3か月間、通い続けることになってしまった。ようやく2つの奥歯に渡した被せ物が出来てきて、今日は被せてもらって治療は一旦終了。2週間以上、歯が削られて低くなったのに慣れてしまったので、なんだかやけに歯の高さが気になって違和感を感じてしまう。
 そして、心配なこと。上顎に何かザラザラするでっぱりがあり、気になっていた。以前からでっぱりはあったし、水泡状のものが出来てはいつのまにか治ったり、ということもあった。今回も痛みはないのだが、気になりだすと舌がどうもその位置まで行ってしまう。気付けばやけに白く大きくなってきている。さすがに心配になったので、診て頂いたところ“口蓋隆起の骨分離”とのこと。
 口蓋隆起だけなら入れ歯を作るのに邪魔とか、食べるときに痛むとかいう以外はそのまま放置でいいようだが、皮膚がごく薄いのでちょっとしたことで顎の骨が出てしまうという。私の場合は既にすっかり骨が分離しているので、このまま皮がふさがって骨の部分が押し出されて取れてしまうこともあるが、感染でもすると化膿して痛むこともあり、この状況なら外科的に取ってしまった方が良いかもしれない、とのこと。
 固い部分なので、傷が塞がるのはちょっと時間がかかるかもしれない、と言われる。そしてまた、恐怖の下顎骨壊死が頭を過る。出血を伴う外科的処置は通っている病院の口腔外科で、がお約束なので、来週通院日に主治医に相談の上、と保留にさせて頂くことにした。
 普通に暮らしていれば特に問題ない口腔ケアも、いざがん患者となり、骨転移のゾメタ点滴を続け、抗がん剤投与により免疫力が下がり出すと、すっかりあちこち綻びが目立つようになってしまった。
 一難去ってまた一難。とりあえず大事にならなければ良いのだけれど・・・。
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2013.8.23 「乳がん・再発を生きる!」講演会参加

2013-08-23 21:49:33 | あけぼの会
 今日はあけぼの会創立35周年記念講演会「乳がん・再発を生きる!」に参加した。
 会長さんのHPでのご案内には「再発の可能性は誰にでもありうるので、患者は不安を抱えて生きる時期があり、またいつまで経っても不安から抜け出せない人もいる。しかし、実際に再発したら、不安だけでは済まない。治療が始まるのです。それも辛い苦しい治療が。それに耐えて、治療を続けている患者の果敢さを真心で讃えたい。再発という事実から逃げたりはせず、正面から受け止めて、対応する勇気には感服なのです。あけぼの会が35年間ぶれることなく通してきたモットー、患者会は今一番困っている人のためにある、その人たちのためではなくて何の意味があるのか、という原点を見つめ直すのです。」とあった。
 案内を見た時、これは是非とも行かなくては・・・と思った。とはいえ平日の開催であり、申込みした段階では治療を変更しているかどうかも定かでなく、果たして体調がどうか、都心までの往復3時間に不安がないわけではなかった。が、会場は奇しくも仕事で何回か行ったことがある場所。これもご縁だと思い切って夏休みを取り、無事参加することが出来、満足な一日になった。

 あけぼの会の行事に参加するのは2年3か月ぶりのこと。お送り頂くニュースレターやHPはいつも拝見しているものの、こうした講演会等のイベントにはすっかりご無沙汰していた。
 誰とも待ち合わせをせず独りで参加したが、会長さんを初め、ピンクのTシャツに身を包んだ懐しい事務局の方たちのお顔を拝見し、ご挨拶をして受付を通ると、何となくほっとする。
 10分前に到着したが既に会場はほぼ満員。一人席がぽっかり空いていた前から3列目の真ん中あたりに入れて頂く。

 冒頭、ショッキングピンクのスーツを身に纏った会長さんのご挨拶の後、エスティ・ローダー社の担当者からのピンクリボン活動のお話に続き、第1部の基調講演。がん研有明病院・乳腺センター長の岩瀬拓士先生が、がん細胞と遺伝子、遺伝性乳がん、新しい分子標的薬(ペルツズマブ、T-DM1)について小一時間、わかりやすくコンパクトにまとめられた。
 休憩後の第2部は、愛媛、福井、三重、愛知、静岡、埼玉、東京から合計8名の再発闘病中の会員さんたちが舞台横一線に座り、会長さんと副会長さんのお二人の司会進行のもと、体験発表をされた。存知あげている方も檀上にいらしたが、少しお痩せになっていたのが気にかかる。お一人ずつ、お名前と簡単な病状が紹介された後、現況や最も訴えたいことをお話しされる。岩瀬先生も司会の隣にお座りになり、各々に対するコメントをされた。発症時、30代半ばの方から60代前半の方まで、再発までの期間は最短で2か月、最長で15年という方まで、現在は40代から70代まで。再発転移の状況も治療の状況も本当に様々だ。何より、各人が淡々と話される中に厳しい現実や苦しい治療が透けて見えてきて、少しだけ苦しくなってくる。

 今日はすっかり聴衆のつもりでリラックスして参加したのだが、途中、会長さんから「ロッキングチェアさん、東京の○○さんは、どこにいるかしら?」とご指名があり、その場で立ってマイクを持つことになってしまった。このブログのことにも触れてご紹介頂いたのだが、突然のことで慌てふためき、何を喋ったものやら、という感じ。発症から5年7か月の再発治療についてざっとお話ししたつもりだが、しどろもどろで我ながら情けないことこの上ない。
 それにしても会長さんのパワーはさすがだ。ロンドン帰国から1週間経つけれど時差ボケで・・・とおっしゃっていたが、とんでもない。いつものワット節全開!で圧倒される。

 最後に恒例の、北は北海道から南は九州まで遠方から参加されている方たちの紹介があり、10月の大会でまたお目にかかりましょう、とお開きになった。あっという間の3時間。ちょうど講演会中、外は大変な土砂降りだったそうだ。時間通り終了したが、嘘のようなタイミングで雨が止んだとのこと。実にラッキーなことだ。

 さて、席を立とうとすると、後ろから前から、驚くほど沢山の方たちから「いつもブログを読んでいます。」「勇気を頂いています。」などとお声をかけて頂いた。もうびっくりして恐縮して、これまたしどろもどろ・・・。
(きちんとご挨拶も出来ず、失礼なことを申し上げてしまった方がいらしたのではないかと反省しています。本当に申し訳ありません。大変失礼いたしました。)

 ブログで知り合った方が参加されていてびっくりしたり、東京支部時代にご一緒したEさん、Mさん、Oさんとも久しぶりに少しだけだったけれどお話しすることが出来たり、嬉しいひと時だった。
 けれど、出席されていてご挨拶したいと思っていた方とは、行き違いでお目にかかることが出来ずじまいだったことは何とも残念だったし、帰りにお茶に誘って頂いたのに「塾帰りの息子に夕食を作らないと・・・」と家路を急いだのも、これまた後ろ髪引かれる思いだった。

 そして、HPで会長さんが、“私は個人的に「抗がん剤はどの時点まで使い続けるのか、どこかで使用をやめるべきではないか」という積年の疑問をぶっつけたい。抗がん剤の効用と副作用、過激な副作用にどこまで耐える価値があるのか、副作用で全体力消耗して、結果的に、抗がん剤で殺されるようなことは絶対ないのかという点を。”―と書いておられたので、とても気になって、岩瀬先生の答えを聞いてみたかったのだが、時間が足りなかった。けれど本当のところは、聞いてしまうのは怖い・・・そんな疑問であることは間違いない。

 それにしても少し動くだけでじっとり汗ばむほどの蒸し暑い1日、重いテーマの講演会で疲れなかったといえば嘘になるが、このブログがとても沢山の方たちから読んで頂けているということを改めて教えられたことで、疲れも吹き飛んだ気分だ。この気持ちを大切にしてこれからも綴っていきたい、と改めて思う。

 会長さん初め、事務局の皆様、暑い中、ご準備からお片付けまで本当にお疲れ様でした。大変お世話になりました。
 今日お声をかけてくださった皆様、本当にどうもありがとうございます。これからも細く長くしぶとく書き続けていきたいという思いを新たにしました。
 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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2013.8.21 ハーセプチン166回目(3倍量28回目)

2013-08-21 20:46:05 | 治療日記
 今日は、3週間ぶり今月初めての通院日。病院だから事情が分かっているのだし、思い切ってかつらを取っていこうかと思ったけれど、やはり何となくいつものように被って出かけてしまった。
 夫を送り出し、朝食が終わって自室で寝転がっている息子に、ちゃんと塾に行くように言い置いて出かける。
 今日は最高気温が31度の予報。曇りがちで楽かな、と思ったがやはり蒸し暑い。最寄駅の私鉄もJRも電車は順調。ラッキーなことに乗換駅から席も確保出来て、落ち着いて読書に勤しみつつ、予定通り病院に到着。

 自動再来受付機の前で数人並んでいる。IDカードを通し、まず採血受付へ。そこそこの人数が待合椅子に座っている。5分程待って受付が終わり、さらに5分程待って採血室に入ることが出来た。電子掲示板には7分待ち、とある。ほどなくして自分の番号が点き、今日も検査技師の若い男性が2本採取。前回同様イマイチの腕前で、紙のテープをお願いしているのに予め出しておいてくれないから、針を抜いてから止血も出来ずに宙ぶらりん。気が利いた人だと、私が荷物を持ち終わるまで代わりに止血をしていてくれるのに、それさえない。しっかり止血してくださいと言いながら、やっていることが全く逆。朝からイラッとするのは良くないのだけれど、多分先方は何も気づいていない。
 2階に上がってレントゲン受付。こちらは撮影室前の廊下の椅子が満席。入院中で点滴を下げて車椅子で来ている高齢の方たちが複数いらっしゃる。レントゲンがこんなに混んでいるのも珍しい。案の定、受付から20分以上かかってようやく撮影。撮影自体はあっという間に終わるが、更衣室を間違えて開けられるなど、今朝は採血からツイていない。

 1階に降りて腫瘍内科受付へ移動。病院到着から早くも1時間近く経過。今月初めてなので保険証の確認も行う。その後、「待合室へどうぞ」のランプが点くまで小一時間。待合椅子はそれほど混雑している気配はないが、主治医の進行状況掲示板には「30分遅れ」とあった。自動血圧測定機で計測した結果は101-61、脈は74。
 その後、中廊下で小一時間。診察室から出てきた年配の女性が、先生からいきなり「入院してください」と言われたと項垂れている。タクシーで2駅先の家まで戻って支度をしたい、と看護師さんに何度も訴えていたが難しいようだった。なんとなく状況が漏れ聞こえてしまって切ない。そうこうしているうちに先生が診察室からお顔を出された。

 先生はすっかり風邪ひきさん状態。マスクをして咳込んでおられる。思わず、どちらかといえば私より先生の方が病人のようですね、と言ってしまう。そんなご挨拶をした後、この3週間、痛みは概ね毎朝食後のロキソニンで何とかやり過ごせたが、2日間は朝昼晩の3回、もう2日間は朝昼2回飲んだこと、咳込んだりして何等かのきっかけがあると痛みスイッチが入ると、なかなか痛みが引かないことをお話しする。先生からは「夏バテはどうですか。」と問われるが、ヨガのおかげか汗をしっかりかいて、帰宅後は冷房には頼らずぐっすり眠っているので大丈夫です、とお答えする。診察室での検温は6度4分。

 さて、気になる採血結果だが、白血球が3,200、好中球も34%と低い。好中球は1,000ギリギリといったところだ。抗がん剤はお休み中で元気なつもりでいたが、油断大敵である。そして、CA15-3はまた1割の増。上昇は予め覚悟していたが、それほど急増でないので動じないことにする。胸部レントゲンの画像が6月分から今月分まで3枚並んでいる。確かに左肺の腫瘍茎はやや濃くなっているように見える。右はそれほど変わっていないようである。先生がおっしゃるには「うんと悪くなってはいない。今すぐ治療変更するほど急を要してはいない。やはりハーセプチンが踏ん張っている。」とのこと。今回は予定通りハーセプチンを投与、来週もフェソロデックス注射を行い、次の3週間後のハーセプチンを治療変更にするかどうか判断するため、その間に造影CTを予約するようにとの指示が出た。
 結局、来週フェソロデックス、再来週CT、3週間後に採血、と4週連続で通院することになった。CTの結果を見て、治療変更となれば3週間後は今のハーセプチン治療を中止、4週間後からゼローダ・タイケルブ内服スタートとのこと。スタートする前にもう一度レントゲンで6月から4か月間の推移を確認するとのこと。

 こうしてまたもジャッジは4週間後、となった。うーん、粘っていられるのは有難いが、毎回ハラハラドキドキ、2か月後の予定が経たない身であるには違いない。それにしてもこの酷暑、何とかマイルドなハーセプチンとフェソロデックスが続けてこられたのは本当にラッキーである。

 化学療法室へ移動する。夏休みではあるが、Iさん以外、すべての看護師さんとご挨拶出来た。Hさんに点滴椅子に案内され、15分ほどして針刺名人Oさんがポート針刺し。相変わらず衝撃なくお上手である。ほどなくして薬が届いて、今日は予定通りハーセプチンと生理食塩水の2本。担当はKbさん。前回、長岡花火大会に行くお話しをしたところ、ご親戚がいらして昨年までずっと行っていたということだったので、ご報告。すっかり盛り上がって点滴開始後15分のチェックまで話し込んでしまった。Krさんに点滴の取り換えをして頂き、2本終了は1時間半後。抜針はOkさん。ポートのカテーテルの違和感について訊かれる。設置したばかりの方が、いつまで引攣れ感が残るのかしら、と訊いたらしい。「普段はそれほどでもないけれど、何かの加減でいまだにありますよ。」とお答えする。来月で、2つ目のこのポートも設置から3年になる。もしまた不都合があって抜去ということになれば、今度は鼠蹊部から入れることになる。それだけは避けたいので、何とかこのまま最期までこのポートに頑張ってもらいたいと思う。終了時の血圧は102-61、脈は60。

 会計はそれほど待たずに済む。今日も4万円ほどの支払い。ロキソニンとタケプロンを処方して頂いたので、薬局経由。本日の病院と薬局の滞在合計時間は5時間だった。
 さすがに空腹。遅めのランチを摂り、読みかけの本を読み終えて帰路についた。JRで途中凄い雷雨に見舞われる。嫌な予感が的中し、案の定乗る予定の私鉄は落雷で運転見合せという。仕方なく乗換駅で買い物をして様子を見たが、息子に夕飯を摂らせてまた塾に送り出さなければならない、と見切り発車してタクシーで帰宅した。

 帰宅すると玄関の鍵が開いていて心臓が止まりそうになる。なんと塾に行っている筈の息子、体調不良で塾は行かなかったとおっしゃる。お昼は完食しているのに体調不良とは、とまたも脱力する。体中怠いそうだけれど、夏バテなら皆そうだ、とまたイラッとする。本当に頼むよ、受験生という感じである。
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2013.8.20 再発治療を続けていく上でキツいこと

2013-08-20 21:36:04 | 日記
 再発・転移が判明し、フルコースの治療を開始してから6回目の夏を迎えた。丸5年7か月が過ぎようとしている。再発判明当時小学校6年生で中学受験生だった息子は、高校3年生。再び受験生になった。
 その間、山あり谷あり、急な下り坂も、緩やかな上り坂もあった。思えば遠くへ来たもんだ・・・ではないが、過ぎてみればあっという間、とはいえ、泣いて笑って、まあそれなりに色々あったと思う。

 けれど、今は治療日にピンポイントで病欠を取って仕事を休む以外は、外見からは病人とは判らないほど(かつらは装着しているが)ごくごく普通に日々出勤してフルタイムの仕事を続け、手抜きとはいえ家事もこなすことが出来ている。有難いことに日常生活が損なわれていることは、ない。
 それだけでなく、これまで以上に家族や友人に囲まれ、アクティブに愉しい毎日を過ごすことが出来ている。オフには趣味の読書も細々と続け、映画も観たいものは観に行くことが出来ている。受験生を抱えているから今年はなかなか大きな旅行は出来ないとはいえ、一昨年夏には5年ぶりの海外旅行をし、今夏も2泊3日の家族旅行に出かけることが出来た。最近ではヨガにすっかりハマって、酷い夏バテもせずに元気に過ごしている。

 エンドレスの再発治療を続けて行く上で何が一番キツいのだろう、と考えると、こうして普通の生活を続けつつも、いつこの生活が断ち切られる日が来るのだろうという言い知れぬ不安が、何かの折にふとやってくること、つまりは頭の隅にそうした不安が払拭出来ずにあり続けていること、だろうか。
 いつかそう遠くない日に今の治療が効かなくなって、次はあの薬を使うのだろうか、副作用はどれほどのものだろうか、仕事は、趣味は、今まで通り続けられるだろうか、旅行には行くことが出来なくなるのだろうか、などなど。
 まだ使っていない良い薬が出来たとして、自分の骨髄はそれに耐えることが出来るのだろうか、という不安。
 もっと言えば、治療を続けているにもかかわらず病変が増悪し、さらには新たな臓器への転移が見つかるかもしれない、それがいよいよ命取りになるかもしれないという不安。

 もちろんこんな不安を並べていても、それはただの不安であって、現実ではない。初発の方が再発に怯える不安と、実際に再発することは全く違うということと同じ話だ。再発したら終わりでないのと同様、どんなに病状が進行しようと、その現実を受け容れ、出来る時に出来る治療を続けるしかない。そうしないことには道は開けない。

 こんなことをツラツラと書くのは、まだ余裕があるといえばそうなのだろう。宙ぶらりんとはいえ贅沢な話だ。
 趣味も仕事も・・・そんなことより何より、命を繋ぐためには治療法を選んでなどいられない日が間違いなくやってくる。けれど、そのことに対して徒に怯え過ぎる必要はない。その日がいつかやってきてもいいように、だからこそ今やっておきたいことを躊躇うことなく大切に行い、少しでも明るく楽しく笑顔を忘れずに日々を過ごすのだ・・・と頭では分かっている。

 治療そのものの身体的なキツさと、常にこうした不安に苛まれる精神的なキツさ。それを上手く取り除きながら、再び前を向く精神的な強さが絶対に必要だ。もちろんある程度鈍感にならずにはやっていられないけれど、なかなか簡単にはなり切れない。
 何分、生来、嫌なことは先送りが出来ない性格だ。出来る準備は出来る時に出来るだけやっておきたい。やってくるボールをベストポジションでキャッチしたい。そう思うけれどもそうもいかないのが一番のストレスか。

 結局のところ、なるようにしかならない。この後どんなエンディングが待っているか、悠久の宇宙の中では塵の一つにもならない私の行方など、神様はもうとっくにお決めになっているのだろう。
 されば、やはり不安は不安として置いておいて、少しでも今の穏やかな時間が長く続くように祈りつつ、笑顔と感謝を忘れずに暮らすこと-それが一番なのだろう。

 そして、明日はまた通院日である。
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2013.8.19 あとは自分の気持ちだけ

2013-08-19 21:51:44 | かつら
 「出来るだけ長いこと使わずに済みますように・・・」と祈りつつ、サロンで綺麗にお手入れの済ませたミディアムロングのかつらを大切に専用ボックスに仕舞い込み、ショートのかつらを被って職場に行くようになってから早くも1週間が過ぎた。

 「イメチェンですね。」「ずいぶんカットしましたね。」と言われたのは週明けの月曜日の朝だけで、もう誰もしげしげと見るわけでない。かつらを完全に卒業するのを阻んでいるのは、他でもない自分の気持ちだけ、だ。
 実際、夜暗くなってからヨガに出かけるときは被っていかないし、これまでヨガをやっている時に被っていたケア帽子も被らずに素頭、スッピンでレッスンを受けている。
 ちょいと駅前まで買い物に行く時もわざわざ被らずに出かけてしまっている。職住近接だから、職場関係者の誰かに逢う可能性は極めて高い。誰にも逢いたくないな~、とビクビクしている小心者なのだけれど、間違いなくこの暑さで素頭のハードルは低くなってきている。
 再び生えてきた自分の髪の毛、黒いガーゼの帽子、それにかつらと、暑さ3重苦!だったことを考えれば、素頭で出かけられるこの涼しさよ、と思わず足取りが軽くなる感じだ。

 土曜日、マッサージに出かけた時は電車にも乗るわけだし・・・と被っていったが、個室でかつらを外すと、担当のTさんから「もう被らなくても全く大丈夫ですよ。」と言ってもらえた。
 それにしてもこの夏の暑さ・・・。完全に脱毛していて髪の毛がないという状況なら、さすがに観念してかつらのお世話になるしかない。けれど、なまじそれなりに生えてきているから微妙なのだ。

 そう、あとは自分の気持ちだけ、なのである。
 ボリュームがなくてペシャンコだからとか、前髪がまだまだ短すぎるからとか、電車に乗ることもない職場に行くのに一体どうしてそこまでこだわらなければならないのか。
 どうして「治療で脱毛したから今まではかつらだったのよね~」と大手を振って言えないのか。何も悪いことをしているわけではないのに。
 同じように脱毛し、どうしても暑苦しいかつらを被るしかない方たちのことを思えばなんとも贅沢なモノ言いではあるのだが・・・・。
 結局のところ、まだまだ、・・・なのである。

 今被っているショートのかつらは洗い替えとして同じものを2つ持っている。こちらは通っているサロンのセミオーダー品はなく百貨店で買った既製品。シャンプーをお願いすると、10日から2週間はお預けすることになる。預けてしまえば当然被っていけないので、2つ購入する羽目になった。もちろん自分で手入れすれば何のことはないのだが、仕上がりはやはり違う。
 昨日は2つとも丁寧にシャンプー、トリートメントした。洗濯物が良く乾くのと同様、夏はすぐに乾いてくれるので本当に有難い(人毛ではなくミックス毛の製品なのでドライヤーは使えない。タオルドライした後は自然乾燥なので、冬期はかなり時間がかかる。)。
 思い切って1つを仕舞ってしまおうか。そして次回シャンプーする時には、今度こそ颯爽と素頭デビュー!と行きたいものである。
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