散日拾遺

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秋の空、胸の内

2019-11-14 11:13:29 | 日記
2019年11月14日(木)
 本務先での健康診断、昨年は前日に母が急逝して受けられなかったので、二年ぶりということになる。
 受付の列に並んでいたら、前の方で笑いが起きた。健診業者の担当さんが利用者に「先生」と呼びかけたら、「僕は先生じゃないよ」と返されたらしい。教職員一体の職場なのでいちいち区別してられない、逆の失敗をするよりはと、今年は一律に「先生」と呼ぶことにしたようである。
 「そう呼ばれるほどのバカでなし、ってね」と、近くに座っている若い女性スタッフらに言ってみたが、笑顔はお愛想で明らかに通じてない。残念!

 レントゲン車の前で、扉に大書された文字に見入った。
 気がつけばこの字は「凶」を内に抱えている。凶々しいものを抱えて生き続けるのが胸というものの宿命か。
 僕は30歳過ぎまでこの字を間違えて書いており - 勾や菊のようにでなく包のように書くものだから、凶の下半分が胸からはみ出していた - 針生ヶ丘のレントゲン技師に直されたことがある。
 「先生、胸は大きく包みこむの、そういう風じゃなくちゃダメだよ」
 訛り丸出しの親切な彼女は、元気でいるだろうか。



***
【註】
 「先生と言われるほどの馬鹿でなし」
 〔先生という敬称が必ずしも敬意を伴うものではないことから〕先生と言われて気分をよくするほど、馬鹿ではない。また、そう呼ばれていい気になっている者をあざけって言う言葉。
(大辞林 第三版 デジタル版)

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