散日拾遺

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平凡ではなかった金曜日

2014-03-11 07:41:22 | 日記
2014年3月11日(金)

 三年前。

 クリニックの診療日で、アスカさんと話している時に揺れた。
 その二人後にやってきた若い女性が宮城県の出身で、商店街の電気屋の大きなモニターに郷里の様子が映っていたと震えながら話して、不安発作を起こしそうになった。
 僕はいわゆる帰宅難民になり4時間ほど歩いて帰宅したが、無論こんなのは苦労のうちに入らない。その晩は穏やかな天気で寒くもなく、ちょうど棋聖戦をやっていたので、ときどきケータイで経過を見ながら元気に歩いた。環七の無言の行進はブキミだったけれど。

 それより思い出すのは、クリニック受付の担当者二人がとても良い働きをしたこと。エレベーターが止まったので、4階と地上とを非常階段で往復し、患者さんを誘導したり医師と伝言をとりついだり、大活躍の末、夜間は泊まり込んだという。
 その2~3週間後、二人揃って辞めてしまった。何かがあったのだが、僕らには知らされなかった。

 もうひとつ、その朝のこと。
 乗換駅の登りエスカレーターで、前を行く女性が手袋を落とした。すぐに拾って手渡した。思い出すのはその後だ。
 エスカレーターを降りた時、この女性は向き直って丁寧に頭を下げ、ありがとうございました、と礼を言ったのである。朝のラッシュの中で一瞬の礼節が清々しく、温かい気持ちになったものだ。これも若い人だったが、一日無事だったろうか。

 翌日、大阪SCでのゼミを予定通り実施したことは、どこかに一度書いた。塾のメーリスだったかな。阪神淡路大震災を知っている関西のゼミ生たちが、直立不動の挨拶で迎えてくれたっけ。

 今朝の東京は穏やかな晴天である。

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