黒潮に乗ってうちの湾にもスズメダイ系の熱帯魚がやってきた。夏場ここらですごし、秋も深まって水温22度以下になると死滅する。そういうやつらを死滅回遊魚という。
陸からはアプローチできないところまでいってシュノーケリングしながら観察する。
ほか、チヌ、ガシラ、ベラ、アジ、イワシ、イカなど大衆的な魚も見れる。どっちかというとそういう美味いやつらの方が渋い。水中でのイカは前後左右縦横無尽に動き回り、まるで人をおちょくったUFOのようでかっこいい。一瞬で色も変わるし、宇宙人よりイカのほうが宇宙的だ。
黒潮はカツオやトビウオも運んでくる。
カツオはイワシの群れを追って水面をジャボジャボ鳴らす。ルアー投げれば釣れる。トビウオは水面を割って飛び出て羽をグライドさせながら100mくらい滑空する。
海上散歩と海中散歩で全身の細胞をたっぷり海色に染め上げた後、キャノンボールアダレーやカーティスフラーやハンプトンホーズなどのジャズをゆったり聴く。流れるような音符音符が、体に刻み込まれた潮の流れやキラキラ輝く夕凪の海面や銀色のシャワーのように海中を走る魚の群れなどの動的記憶とシンクロして、心の中で夢見心地にダンスする。