プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

ハイチ・アート

2010-01-20 16:25:27 | アート・文化
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 音楽や文学、ダンスなどカリブの島々のいわゆるアフロ・カリビアン文化はどれもみなすごく魅力的なんだけど、ハイチはとくに絵画が素晴らしい国です。ここにだーっと載せているのはハイチのアート(ヘイシャン・アートと呼ばれる)の作品です。
 民衆から生まれたアート、すごいですよね。
 これらの絵を見てると、すごくエネルギーを感じるというか、もらえます。

 ぼくはお正月にブログやホームページで「デフレや不況だからといってハートまで貧しくならなきゃいけないなんてバカらしい、こんなときこそ感性豊かに生きていきたい」と書きましたが、そんな日本の不景気うんぬんのレベルじゃない、当たり前のモノすらない世界最貧国の、圧倒的な貧困の中でもこんな素晴らしいアートを生み出してきたってことは、豊かなイマジネーション、精神性、強いハートを持つ民族だということが分かります。またハイチの庶民って、ものすごく優しいらしいしね。

 CNNやアルジャジーラ放送など見てると一日中ハイチの報道がなされていますが、衣・食の最低限のものすらひどく不足していて、また医者も足りず、医薬品も行き渡らず、なんとか生き残った重傷者も手当を待ちながら死んでいくという状態が続いているそうです。麻酔薬も足りず、麻酔なしで手足を切断したとかそういうニュースも入ってきます。ぼくは最近親シラズを抜いたばかりなので、麻酔なしなんてとんでもない、想像すらしたくないことです。
 20万人が亡くなったと言われていますが、さらに生き残ったもっと多くの数の人たちが地獄の中で苦しみ、これからも続いていくことになる。

 何かできることがないか、と思うものだけどひとまずはお金だろう。このファースト・ライフラインの修羅場を抜けるのもそうだし、復興にも莫大な費用が必要となってくる。ぜひ募金に協力してみてください。

 赤十字はこちら
 http://volunteer.yahoo.co.jp/donation/detail/1301013/index.html
 ヤフオクでたまったポイントなどでも換金できるそうなのでよろしければ。

 ユニセフはこちら
http://www.unicef.or.jp/
 
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ポータカラ

2010-01-18 22:01:34 | アート・文化
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 前回、前々回の記事の続きで話させていただきますが、まあそういうわけで、想像力の問題で、シーカヤックを漕いでて、もしここで海が荒れてきたりしたら怖いだろうな、なんて意識も心の片隅で常に働かせていたりもします。またおかげさまで世界のあちこちへカヤックトリップする機会にも恵まれているわけですが、もしかしたらいつか行くことになるかもしれないし、あるいは何らかの拍子に自分がその場にいたかもしれないということで、ハイチの地震のことがかなり気になっている次第です。シーカヤッカーとして、荒れた海に身を置くとほんとに怖いっていうのの延長線上で、地震で家とかが倒れてきたらとんでもなく怖いし痛いだろうなと考えてしまいます。気の毒でなりません。

 今日の朝日新聞朝刊を見ていると、15年前の神戸の震災関連の記事が「忘れないで語り継いでゆこう」という論旨で何面にも渡って掲載されていたけれど、一方ハイチ地震の記事はほんの少々といった具合だった。
 現時点で起こってる地震災害だぜ。
 誤解しないでもらいたいのは神戸のことを取り上げることをうんぬん言ってるんじゃなくて、その文脈でなぜハイチへの想像力に繋げた紙面にならないのか、ということだ。そのバラバラ感に、とりあえず感が匂った。
 冗談きついというか、一種のブラックジョークかと思った。

 ※写真は、インド最南端コモリン岬に行ったときのものです(前々回の夕日の写真も同じです)。ここでは海上はるか彼方に観音浄土の地「ポータカラ」があるという信仰が古代からあり、数多くの人たちが平和への祈りをささげたという場所。これにちなんで海のはるか彼方で起こったハイチ地震の犠牲者の冥福をお祈りするとともに、一日も早い復興を願ってやみません。


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リアリティ

2010-01-18 21:31:24 | インポート
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  シーカヤックであちこちをトリップしてるとふと「ここは以前訪れたあの場所にそっくりだなあ~」という、いわゆるデジャヴ的感覚に陥ることがある。見た目からしてそっくりな場合もあるし、見た目だけではなく、空気全体の質感、色彩、音、におい、湿度、地形の丸みの帯び具合、あるいはゴツゴツした岩々の心に迫りくる臨場感などなど、フィーリング・体感的記憶が喚起され、ハっとさせられることも非常に多い。まあそういうデジャヴ感って普通に旅してるとよくあることだろうけど、やはりカヤックという乗り物は感覚を研ぎ澄まさなければ危険が伴う野性の遊びだという側面があるからか、その体感的リアルさがより生々しく心に響いてくる印象がある。CDと生演奏の違いみたいなもので、シーカヤッキングは最もライブ感の強いスポーツだと思う。で、その感覚を意識しているとただ美しいだけですぐに忘れてしまいがちな景色も、「ここは5年前に訪れたあそこに良く似てるな」といった感じで心のフックに引っかかり、なかなか忘れがたいものとなる。またさらに「ここに似たあそこは2年前に訪れたあそこにも何となく似てるな」とか色々想像し、そういうのを延々繰り返していると、理屈とすれば、可能な限り世界中のフィールドが自分の感性の中で繋がり、広がっていくこととなる。
 実際こういう意識を持ってるとなかなか忘れず覚えているし、というか経験値のストックが金持ちの預金通帳のようにどんどん増えていくし、今ここの一瞬一瞬が過去の記憶と未来のトリップを変革していくわけだから毎回毎回アンテナがビンビン感応するようになるんだよ。おまけに金やモノ、あるいはコモディティ化(陳腐化)した知識やアイデアは誰かにパクられる危険性があるが、この経験知は絶対に盗まれない。己のオリジナルな財産だ。
 だからできるだけフィールドに出たほうがよい。
 いわゆるひとつのプラネット感覚。
 感性の世界地図。
 (ちょっと理屈っぽくて分かりにくいかな・・・。より分かりやすい例として、去年行ったアラビア半島マシーラ島南部の記事でもそのことに触れていたことを思い出しましたので、リンクしておきます。http://blog.goo.ne.jp/islandstream/d/20090425

 さて上の2枚の写真ですが、上のやつは和歌山湯浅湾・やびつ海岸の「やびつの宝石」と呼ばれている浜の写真。で、そいつと見た目も、そして感覚的にも非常によく似た趣がある場所が下の写真で、これはこの前初漕ぎで行った高知のとある海岸のやつ(写真ではあんまり似てねーかな)。似ている中にももちろん違う部分があって、一番の違いは、上が砂浜なのに対し、下が小石の浜になっているところだけど、これは波の強弱による。波が弱いところでは細かい砂まで流出せず残り、一方比較的波の強いところでは微細な砂は奪い去られ、比較的重みのある小石ばかりが残るようになる、さらにめちゃ波の高いところではもっとでかい石しか残っていない浜になるのだ。
 こういう目線がシーカヤックの面白さと同時に、ふとした危険を回避するときの洞察力にも繋がる。


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世界の不条理 ハイチ

2010-01-16 23:22:51 | アート・文化
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 ハイチで大地震がありましたが、なぜよりにもよってハイチなんだろうか、神も仏もあったもんじゃないなという気がしました。もともとから政情が極めて不安定でクーデターや無法状態が続き、人々は食糧不足にあえぎ人口の80%は1日2ドル以下での暮らしを余儀なくされ、衛生状態が極めて悪く感染症の宝庫と言われ、また人口1万人に比して医者が2人しかいない世界最貧国のハイチで、さらに追い打ちをかけるようにこの大災害。CNNで1日中ニュースが流れているけれど、支援するにしても首都ポルトー・プランスの飛行場は滑走路がひとつしかなく、一方港は壊滅状態、またドミニカから続く陸路も救援物資が届かず業を煮やした民衆が犠牲者の遺体で道路封鎖し始めた・・・、という具合に陸、海、空すべての道が閉ざされ、ひどいことになっているようだ。衛生状態の悪さ、水・食糧のなさ、無法地帯の治安、クローズドの出入り口・・・。
 この先一体どうなるんだろうか?

 ところで、同じ島の陸続きであるドミニカ共和国の一人当たりの国民総所得8000ドルに対してハイチではわずか560ドルであるということも知ったが、ではなぜそんなにこのカリブ諸国の中でも際立って貧しい国なのだろうか? どうやらその理由は世界最初の「黒人独立国家」であることに起因するようだ。もともとフランスの植民地で、西アフリカからの黒人奴隷を酷使し林業やコーヒー・プランテーションによって切り開かれた国だったが、フランス革命などのドサクサにも乗じてナポレオンに反旗を翻した黒人奴隷たちが決起し、1804年にフランス軍を追い出しついにハイチ革命が成功、独立宣言をしたのだった。
 世界初の奴隷解放、そして黒人による共和国の誕生。

 というわけで颯爽としたスタートを切ったハイチだったけれど、他の植民地がハイチの例をまねて独立決起などしないよう見せしめとして、宗主国フランスから多額の賠償金を要求されたり、国際的に孤立させられたり、いろいろと意地悪をされ続けた。そして20世紀に入るとナチス・ドイツが介入、第二次大戦後はアメリカの内政干渉、また内的にも軍事独裁政権による政情不安定が現在まで続き、果ては世界の最貧国にまで落ち込んでしまったわけ。
 そしてそんなことはおろか、存在すら忘れ去られていた国、ハイチ
 そこに今回の大地震。

 個人的にハイチといえば、以前アフリカ文化や自然哲学などに興味があっていろいろ本を読んでる際に、上記したような歴史的背景を知ったことを思い出す。アフリカからの奴隷が北中南米に連れ去られ各地に散って行く先で、土地ごとにアフリカ文化に根ざした新しい音楽や民俗が生み出されていったわけだが、その中でもハイチのものが最もアフリカ色が濃く残っていたらしい。それはゾンビーの映画で有名になった「ブードゥー教」という土俗に代表されるが、きちんとした人類学の本を読むとゾンビのおどろおどろしさなどひどい誇張で、それより偉大なるアフリカの哲学的世界観が根底に流れていることも知った。そんなアフリカ色濃かったハイチで黒人最初の独立国家が生まれ、そして世界最貧国にさせられたという皮肉には、いろいろと考えさせられるものがあった。またアフリカの自然哲学と、日本の縄文文化には相通じるフィーリングがあって、そこには自分自身のシーカヤック観や自然観もなにがしか影響を受けているんだろうな、ということも思った。

 2001年9.11米同時多発テロが世界の不均衡や非対称性について深く考えさせられるひとつのきっかけになったように、このハイチ地震でも、貧困問題や南北問題や世界の不条理を、世の中全体が深く考えざるをえない大きな事件となるだろう。何より、被災地の庶民の人たちは何の罪なく世界の歪み、歴史の因業をリアルに背負わされているわけで、あまりにもかわいそうである。以前衛星放送でレッドホットチリペッパーズのベーシストのフリーという人がハイチに行き、恐ろしく医師が少ない中、医療ボランティアとしてかけまわる保健師の女性を訪ねる番組を見たことがあるが、とんでもない状況にもめげず前向きに生きているやさしい庶民の姿が映し出されていた。そんな彼らが被災しているということを思うと胸が痛む。
 言葉がありません。
 できることとして、まずは募金に協力するしかないだろう。
 http://www.unicef.or.jp/index.html


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初漕ぎトリップ

2010-01-11 23:06:02 | インポート
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 さてさて、今年の初漕ぎとしてフィールド調査を兼ねてまた四国南岸(足摺~宇和海エリア)をシーカヤッキングしてきました。この一帯は黒潮のダイレクトにぶち当たるエリアで、亜熱帯の鮮やかな色彩感覚と温帯特有の海景のきめ細やかさとが共存していて、非常に気に入っている。そして黒潮のエネルギーにパワー負けしてたまるかといわんばかりに海に向かってそびえ立つ断崖絶壁の、ハートにガツンとくるワイルドな世界・・・。海の世界において「極める」なんて言葉は傲岸不遜な表現で実際ありえないんだけれど、たとえばどこにどんな入り江があってどんな岩が転がってるのかってレベルでまでできるだけ徹底的に漕ぎまくって知りつくしたい気分にさせられるフィールドです。

 アイランドストリームの通常のツアーでも催行しますが、どちらかというと四国のフィールドは、「オーダーメイド・カヤックトリップ」というスタイルでやりたいですね。3日とか5日とか1週間、あるいは10日とか1ヶ月でもいい、3,4人までの完全少人数で海、山、川あちこちを、引率者というより旅のパートナーとして、一緒になって、めぐる。散文的観光ではなく、それぞれ自分自身が主演し、つむぎ上げる物語。思い出というより、ひとつの深い人生経験となるようなトリップ。ぼくはその裏方。

 大量に撮った写真のごく一部ですが、よろしければクリックして拡大し、ごらんください。

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 ワイルドな断崖絶壁の水際に洞窟をたずさえた場所が無数にある。

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 ワイルドな断崖絶壁のキワの洞窟の中に入ると、山全体が自分にのしかかってくるような、へヴィな畏怖感を覚えることがある。

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 これなんかもすごいね。白い岩の表面に、岩の底から染み出してきたかのようなピンクやオレンジがにじんでいたりするその色彩感覚もすごいなと思った。

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 むこうのほうで黒っぽい時雨雲が流れてゆくのをバックに、一瞬背後の太陽光線が白い岩々をブライトに照らし出した。何かしら神々しいものを感じた瞬間。

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 これなんかも写真でみると「すごいね」くらいな感じだろうけれど、実際その場に身を置くと、遠近感のぶっ飛び感と異様なまでのリアルな生々しさが脳みその中でスパークし、ヘンになりそうになるのだった。なんだそりゃ?って感じだろうけど行ってみりゃわかります。

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 これなんかはピカソっぽい柄だ。下のほうのやつなんかはどう見ても足だ。

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 これなんかは上から見たら細いけど、海から見たら太いんだよね。

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 ロッククライミングの聖地でもある一帯。

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 どうしても写真にしたら迫力が失われるが、断崖絶壁はすごい。
 そして洞窟の中でドッカーンと炸裂する波濤は、
 中に入って聴くとハートの鼓膜が破れそうになるほどすごい。
 
 もしロックンロールが岩で、おれがアリならば、
 でかいスピーカーのウーファーが震える真横で、
 フルボリュームでロックンロールを聴くアリだ。
 AC/DCの「バック・イン・ブラック」みたいなへヴィロックとかな。
 強烈な断崖絶壁の下でおれはアリだ。
 ・・・このアリは今回同行したM川君。

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 そんな濃ゆい断崖絶壁が続くかと思えば、穏やかに美しい入り江も無数にある。すぐビーチエントリーできるところにたくさんのサンゴがあったりするのでシュノーケリングが面白い。

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 天井も開いている変わった洞窟。

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 入り江の中の島々の、夕暮れ時の美しいたたずまい。
 人間でも自然でも、気品のあるたたずまいに、惚れてしまう。


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謹賀新年

2010-01-03 20:12:46 | インポート
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 あけましておめでとうございます。

 とかく重く沈みこんだ世相の昨今ですが、社会経済になど左右されない自分自身というものがある。景気が悪いからといって、自分の心の中までプアーにならなきゃいけない法などないですからね。今年もカヤックやアウトドアを介して心豊かなフロンティアを追求していきたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。


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