友人が、串本大島から太地付近を漕ぎに行くらしいので、「いいねえうらやましいねえ」ということで、太地あたりの海の写真を。
舵取崎という、その昔、古式網取捕鯨の物見台があった岬から撮ったもので、遥か向こうに見えるのは那智勝浦あたり。その沖(かなり沖)を漕ぐと海から那智の滝も見ることができる。手前の岩礁地帯は、漕ぎぬけるのがとてもスリリングで面白いゾーンだ。
ここらあたり一帯は縄文色濃い熊野信仰の中心地であり、海は太平洋からダイレクトにおしよせるうねりがひときわパワフルだ。
日本の原郷、八百万の神々の宝庫といわれる熊野。その天然自然の味わい豊かなダイナミズムは、書物を何万冊読んでも実感できない。その場にむき出しの身を置き、風にさらされ波に打たれ、トゲに刺されて感じ入ることによって初めて、ハっと直感する類のものだ。
逆に、心をオープンに開け放ち、現地の風にさらされたフィーリング、自然情感をベースとして、関連するいろんな本を読むと、新鮮な発見がたくさんあって面白い。「なるほど、確かに世界遺産と呼ぶにふさわしいな」という発見だ。