プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

クジラの海

2005-12-29 08:37:23 | 紀伊半島カヤックツアー

Taiji  

 友人が、串本大島から太地付近を漕ぎに行くらしいので、「いいねえうらやましいねえ」ということで、太地あたりの海の写真を。

 舵取崎という、その昔、古式網取捕鯨の物見台があった岬から撮ったもので、遥か向こうに見えるのは那智勝浦あたり。その沖(かなり沖)を漕ぐと海から那智の滝も見ることができる。手前の岩礁地帯は、漕ぎぬけるのがとてもスリリングで面白いゾーンだ。

 ここらあたり一帯は縄文色濃い熊野信仰の中心地であり、海は太平洋からダイレクトにおしよせるうねりがひときわパワフルだ。

 日本の原郷、八百万の神々の宝庫といわれる熊野。その天然自然の味わい豊かなダイナミズムは、書物を何万冊読んでも実感できない。その場にむき出しの身を置き、風にさらされ波に打たれ、トゲに刺されて感じ入ることによって初めて、ハっと直感する類のものだ。

 逆に、心をオープンに開け放ち、現地の風にさらされたフィーリング、自然情感をベースとして、関連するいろんな本を読むと、新鮮な発見がたくさんあって面白い。「なるほど、確かに世界遺産と呼ぶにふさわしいな」という発見だ。


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春の芽吹き

2005-12-27 21:49:19 | インポート

 こんにちは、今年ももう残すところわずかになりました。そして、今年の12月の真冬以上の寒さも小康状態になってきたのでもうそろそろ春かな、と錯覚しそうな感じですが、真冬はまだまだこれからです。しかしもう「冬至」という「底」を過ぎました。これからは小春日和の風の香りや、夕暮れのまどろんだ時間や、冬枯れの木々の中に、秘めやかな春の芽吹きを見出すのが味わい深い日々になってくることでしょう。

個人的には本業以外のめちゃ忙しかったここんところの野暮用がひと段落ついたところなので、ロケハンもかねて紀伊半島のさまざまな場所にトレッキングに繰り出したいところです。

Dufy0007_1


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ノーブル・ブルー

2005-12-26 00:34:07 | インポート

 久々に穏やかで暖かい一日だった。実際は平年より気温を下回っていたが、ここのところの寒さがトンデモないものだったため、とても暖かく感じられた。

 普通12月はまだそれほど寒いわけでもない。冬型が強まるのもせいぜい1,2回くらいなのであるが今年は偏西風の蛇行により、通常北でとどまるはずのシベリアの寒気が列島まで降りてくる道筋ができてしまっているのだった。偏西風の蛇行による異常気象は一昨年のヨーロッパの殺人的猛暑、そして昨年の日本列島台風ラッシュなどの被害をもたらしている。

 今日の海と空のブルーは素晴らしかった。写真にはそのよさが映らないので、写真はなしです。


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ゴスペル

2005-12-24 20:38:40 | 音楽

メリークリスマス。

寒いクリスマスにはゴスペルがよく似合う。

心の奥深くから放射される人間らしいぬくもりをエッセンス化したような、ソウルミュージックだからだろう。

ゴスペル界の大御所「ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマ」と、気鋭のソウル音楽家「ベンハーパー」が、黒人音楽の殿堂「アポロシアター」でジョイントセッションしたDVDは最高にいい。

ライブ・アット・ジ・アポロ

ブラインドボーイズオブアラバマは10年くらい前、神戸のフィッシュダンスホールでライブを観たことがある。全員盲目のジイサンなんだけど、ノリノリになってくると、マイクを持ったままステージから降りてきて、観客席を練り歩きながら大絶唱するという面白い癖がある。それがこのDVDでも堪能できる。ちなみに当時はファイブ・ブラインドボーイズ・オブ・アラバマと名乗っていたが、このDVDでは4人になっている。ひとり亡くなったのであろう。

ベンハーパーはいまやセレブレティって感じの大物になったけれど、デビューしたての頃、大阪心斎橋のクラブクアトロでガラガラのライブを観たことがある。自分の内部に深く沈潜してゆき、コツンと奥底に行き当たった瞬間、ドカーンとパッションを爆発させるという感じの、特有のソウルフルな表現スタイルがいいと思った。以来ずっと大ファンだ。また小さな箱で観たい。ベンハーパー・オフィシャルHP

ゴスペルという伝統によって、年寄りと若手の心がひとつに結ばれる。幸福な香りのするDVDだ。

ところで黒人のゴスペルは、日本で言えば、仏教に通じる部分がすごく感じられる。


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折り返し点

2005-12-20 06:27:50 | インポート
 もうすぐ冬至だ。
 ここの太陽も一年で一番早く海に沈む。
 そして一年で一番南側に沈む。
 冬至を折り返し点として、夏至に向かってだんだん北よりに沈むようになる。

湯浅湾の海に沈む夕日の写真

254senza_titolosole_rosso1967


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北風と太陽

2005-12-18 14:15:05 | インポート
 雪によって質感のはっきりした山肌が美しい。

 強烈な北風によって雪をはらんだ雲が猛スピードで流れてゆく。時折太陽がギラっと顔をのぞかせる。
 
 風景全体が、荒涼としたワイルド感を醸し出していて、何かしらそそられるものがある。

xwz


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4D

2005-12-14 21:24:49 | 音楽
 当たり前というか不思議というか、一日中シーカヤックで海の上を漂い、海から上がってしばらくは身体全体が大きく海のようにうねっている心地が続くことがある。エッセンスが身体の芯に残ってるんだね。そんな時は音楽を聴いたらいい。普段なんとも思わない音符音符が、ひときわ粒立ち鮮やかに心地よく響き、ハッとするようなことがよくある。耳のみで聴くというよりも、全身で音を「鳴らす」感じ。色々試してみたが、最もハズレがないと言えるのがジャズ。ジャズの最大の特色「スウィング感」というやつは、何かしら海の波やうねりに通じるものがあるように感じる。そこにピアノやサックスやヴィブラフォンが絡むと、しばし海面染め上げる太陽光線の回廊や、島々の間を転がり走る潮の流れや、断崖絶壁のゴツゴツ感や、海面を割って小魚を追いかけるシイラのボイルなどの溌剌とした記憶が、より味わい深い新たなイメージとして立ち現れることがある。なので騙されたと思って聴いてみてほしい。
 色彩鮮やかな、絵画的躍動感。
 ジャズは元々から好きだったけれど、海に行くようになってもっと好きになった。
 ジャズの即興性と、自然現象の即興性が、幸福に連動する瞬間とでも言うか。

 また、ジャズだけじゃなく、たとえばヒップホップでもテクノ/トランス系でもロックンロールでもレゲエでもサルサでもクラシックでも、ピンとくるやつなら、なんでもいい。なんにでも、何かしらピンとくる。

xzx


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真夏

2005-12-13 21:53:23 | インポート
 理由はないが、異様に寒いので、異様に暑かった時期の写真を載せておこう。
 梅雨明けの紀伊長島周辺海域。このお尻の下にはソフトコーラル系のさんご礁が展開されていてトロピカル。シーカヤック&シュノーケリングも最高。

xxx





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水球

2005-12-10 22:24:12 | インポート
 シーカヤックを漕ぎながら、水の惑星「地球」に浮かんでいることを改めて実感し、そしてその地球は宇宙の中に浮かんでいるという不思議について思いを馳せたりすることもあれば、そんなことはまるで考えていなかったりする。

apollo17_earth





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南国の海

2005-12-10 06:30:25 | インポート
 おとといに続いて、串本大島の海金剛の反対側の写真。
 黒潮の香り濃い南国風情に満ちたフィールド(かなり熟練を要する)。
 この近くにトルコ民芸店があり、アクセサリーのターコイズブルーと海の黒潮ブルーがよくマッチしている。

 紀伊半島のシーカヤックフィールドは、世界に誇れると思う。
 うまい具合にいろんな人に広めていきたいと思う。
 特にここは実にいい海だ。
 かなり荒々しく、ワイルド&へヴィーだけどね。

 zxx





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プラネット感覚

2005-12-08 22:02:55 | インポート
 まず海辺で波の音に全身の意識を集中させる。次第に波のリズムが、なにものかの呼吸のように感じられ始める。そのあと、シーカヤックで海上に漕ぎ出でる。やがて全身を揺らせる波のリズムが、地球という生き物そのものの鼓動のように思えてくる。スケールの大きな、ざまあみろとでも言いたくなる感覚。こいつを、プラネット感覚と呼ぶ。宇宙の中に浮かぶ青く美しい惑星の生命グルーヴ。

zx





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冬型

2005-12-08 16:58:43 | インポート
冬型の気圧配置がずっと続いていますねえ。
日本列島もさることながら、天気図見てたら、アリューシャン列島あたりの等圧線の混み様、すごいねえ。
現地はどんなえげつない状況になってるんだろう。「くわばらくわばら」、と思いつつ、いつか行って漕いでみたくもある。

でも今はもっと南の方に行きたい。
同じ紀伊半島でも最南端まで行けばまた違う。
下は串本大島の海金剛の写真。
すごいシーカヤックフィールドです。

z





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クレオール・ジャポン

2005-12-06 23:20:15 | インポート
 「アイランドストリーム」というのはうちのシーカヤックサービスの屋号で、直訳すれば「島と潮流」という意味なのだけれど、それは日本神話の冒頭部分からヒントを得ている。
 まあ半分しゃれだがね。
 
 日本神話の言うところによると、まず最初、ただの混沌とした世界の他に何もなかったところに、天から棒が差し伸べられ、ググっと力強く掻き混ぜられた。その棒を引き上げる際に、滴った塩でできた島があった。「オノゴロ島」(淡路島)という島だった。で、そこにイザ凪という男神とイザ波という女神が降り立ち、セックスし、結婚した。
 2人のセックスを介して、さらに次々と島々が生み出された。四国や小豆島、壱岐対馬・・、さらに本州、九州と、日本列島を形づくるあらゆる島々が誕生したのだった。
 と、このように記されている。その島々は「大八島(おおやしま)」と呼ばれ、8とは8個という意味ではなく、末広がりの無限性、多元性を意味する。実際日本列島の全部の島を合計するとなんと6852個もある。

 で、ここから日本の国ができあがるまでにまつわる様々な物語が展開されるわけだげ、ぼくはこの日本神話の冒頭部分を読んで直観的に色々と考えた。このストーリーには、けっこう含蓄深い意味があるぜ、と。

 古い神話というのは大方、自然と人間との交感から発生しているものが多い。日本神話の場合(古事記・日本書紀)、これが編纂されたのは奈良時代、律令国家ができるのを記念するという意味合いが強く、そこには多分に政治的な思惑が絡んでいるのだけれど、その神話的素材は縄文とか旧石器時代の、自然とダイレクトに結びついた人々の自然観、生活観から生まれている(神話に慣れてくると、「ここの部分は権力者がこのように操作しているな」とか「ここの部分はピュアな生活感情がそのまま描写されているな」とか、わかってきて面白い)。
 で、その冒頭部分である「島生み」の神話に、ビビビンとインスピレーションを感じたのだった。

 まずイザ波とイザ凪の結婚というのは、ぼくは、「異文化間の融合」の象徴だと解釈する。
 そう捉えると、国土の誕生と日本人の誕生、つまり自然風土と人間文化両面での創世という意味で、より神話的な意義が深まる。
 もともと日本はそのルーツをさかのぼれば、北方系、南方系、大陸系、海洋系と実に多種多様な出自の人々がミックスされてできた国だ。人類学によると少なく見積もっても7種類の異人種が混血した民族だという。

 おそらく縄文時代にも、異人種同士の争いもあっただろう。だが、争いなど結局どんな理由であれ、あほらしく不毛なものでしかない。そいつは何も生み出さない。
 一方そこを超えてお互いの持つ部分を差し出しあい、持たざる部分を補い合うという行為からは、色んな有益なものが生まれてくる。そのようにして原初の日本人の生活が成り立っていったのだろう。
 異文化同士がきちんと根気よく対話し、融合してゆくことによって、さらに様々な島々(技術や発想)が生み出されていった。
 イザ凪とイザ波とのセックスというのは、要するにそういうことだと思う。勝手な独自解釈だが、別にそれでよかろう。
 
 で、それが実際の自然現象「潮流」に重ねあわされているのが興味深い(棒をかき混ぜてできた流れに掛かっている)。
 実際、日本には島が多いが、島々の周辺には必ずセットであるかのように潮汐流が流れている。
 だだっ広い大海原ではたいした流れはないが、狭く近接した島々の間では、ちょうどホースの口を絞った水流のように、潮汐流は顕著なものとなる。その象徴的な場所が、鳴門海峡・明石海峡・友が島水道という日本を代表する3つの速い潮汐流を生み出す「淡路島周辺海域」だ。

 安泰沈滞せず、常に新しい他者と対話し、フレッシュに生成変化することによって、新しい島々(技術や発想)を生み出してゆく。その着眼点が面白い。神話時代からワープして、ポスト9.11時代のあり方として、それが理想だ。


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強風

2005-12-06 20:03:26 | インポート
 昨日今日と、風が強烈に強い。海辺では日中15m/s以上あるだろうか。風を正面に受けると呼吸がしずらい。白波がバンバン立っている。風により空気が澄み、対岸の四国がはっきり見えている。空全体に低く重い雲が覆っているが、時折雲の切れ目から太陽光線がこぼれ、グレーの陰鬱な海面を照らす。その太陽光線はまるで白いカーテンのようでもあり、また天使が舞い降りる回廊のようでもあり、ギザギザと荒涼とした荒天の風景に独特の質感を与え、幻想的。


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ブランキー・ジェット・シティ

2005-12-06 00:10:39 | インポート
 ブランキー・ジェット・シティのロックンロールはいつ聴いてもかっこいい。たとえていうなら、混沌とした心の奥底に降り立ち、そこから透明にキラめく何かを掴み取ろうともがくかのような、孤独で内省的な音。
 存在自体にドラマを感じる連中。
 彼らはバイカーであるが、その野性のセンス、シーカヤックの世界に通じるものがある。
 海にまつわるいい曲がある。昔シーカヤックに行くときに車の中でガンガンかけていたアルバムの中の一曲。

 海を探す
 「ハートにヒビが入るほどきれいな、海を探しにゆく物語
  走る車の屋根に上って、風になったつもりではじめるのさ

  ハートにヒビが入るほどきれいな、海を探しにゆく物語
  夢をなくした友と二人で、風にもらった秘密の合言葉で

  この広い世界はなにのためにあるのか・・
  ぼくらは誰のために生きてるのか・・
  愛する人のためにすべてをすてられるとか・・
  ・・そんな言葉はもう嫌だ。
  荒れ果てた原野で生きる小さな虫の姿に心が揺れる

  ハートにひびが入るほどきれいな海を探しにゆく物語
  走る車の屋根に上って、風になったつもりではじめるのさ

  ハートにひびが入るほどきれいな海を探しにゆく物語
  ハートにひびが入るほどきれいな海を探しにゆく物語
  ハートにひびが入るほどきれいな海を探しにゆく物語」

 という歌だけれど、ぼくはこの曲の3ヴァース目の歌詞にピンとくる。

blanky


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