今日は早朝から日ノ岬にタカの渡りを見に行った。この時期、夏場を北方で過ごしたサシバ、ハチクマ、ハヤブサ、ノスリ、オオタカなどのタカ類が東南アジアを目指して渡って行くんだけど、そのルートがちょうど日ノ岬から対岸の徳島県蒲生田岬を結ぶ紀伊水道のラインになるわけ。で、100メーターほどの高さがある日ノ岬灯台付近がちょうどおあつらえむきの観察スポットになる。
ところが、残念なことに、一羽も見ることが出来なかった。人がいうには、タイミングがあるから何時間か待つ必要があるとのこと。昼くらいには愛知の伊良湖岬を渡ったやつがここを通るから、朝見なかったらそのタイミングを、ということだった。
だけどそこまで待っていられるような気の長い性格でもない。一時間待ってダメだったので、退散。待つんだったら自分で動きたくなるのだ。
そして場所を移し、太平洋にそそぐ日高川沿いにある、矢筈岳という800メートルほどの山に登る。
そこで、事が起こった。
下山中、標高500メートルくらいのところでの出来事。山の頂上あたりから突然、突風が木々や葉をかき乱すような音がし始める。それがだんだんと大きく響きだし、こちらに近づいてくる。何が起こったのか、まったくわからない。まるで突然山が発狂したかのようだった。もしくは天候急変してヒョウでも降り出したのか? とにかく尋常じゃない音。
ほどなくしてその異様な音が、至近距離にまで迫りくると同時に、ぼくの真横を、一機の戦闘機みたいなのが空気そのものを真っ二つに割るような音圧で、通過して行った。そして、その2秒後にまた別の一機が同じ音圧で、過ぎさっていった。
いずれもぼくとの距離は数十メートルほど。目の前で雷が落ちたらこんな感じかというようなとんでもない音。禍々しいという言葉を久々に思い出した。
おそらく米軍機だろうけど、腰を抜かすほど凄まじかった。もし次に世界規模の戦争が起こったなら、人類は滅亡するだろな、と連想させられる、リアルな超越的爆音。
実物の平和なホーク(タカ)は見れなかったがその代わりに禍々しいアイアンホークに会ったというのは、なんか嫌な感じだなと思った。