プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

隠れた超名盤

2023-04-08 22:28:58 | 音楽

André Toussaint ‎– Troubadour 1962 Carib ‎– LP 2025 Calypso, Junkanoo

 今後、「自然と音楽」というテーマで様々な音楽を自由に論評していくシリーズを、電子書籍で出していこうと計画中なんだけど、その流れでリサーチしていて、隠れた超名盤に出会った。

 カリプソっていうジャンルの音楽は、レゲエ/サルサ以前、キューバ危機以前のカリブ海におけるいい意味での雑多カルチャー感が出てて面白いんだど、この作品にはその良さが遺憾なく発揮されている。ちょっと感動。
 
 アンドレ・トゥーサン──ハイチ出身でバハマで活動した人という経歴も面白い。歌とギターは超一流のマエストロ、だけど知名度はゼロ、世界は広い。

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FKJ - Just Piano (In partnership with Calm)

2022-01-23 23:07:07 | 音楽

FKJ - Just Piano (In partnership with Calm)

最近、海・山・アウトドア文脈でよく聴くのはこれ。
風や波、水の流れといった現実のもののみならず、それを取り巻く光とか空気感とかと響き合う演奏。


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iFeel

2021-01-08 13:28:36 | 音楽

 最近よく聴いてる音楽はこれ。

 インスピレーション的に響いてくるものがある。

 


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哀愁とクレオール

2009-11-13 02:10:46 | 音楽
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 今回は音楽ネタです。
 アフリカのセネガル沖に「カーボ・ヴェルテ」っていうあまり知られていない島国がありますが、そこ出身の「セザリア・エヴォラ(cesaria evora)」っていう女性シンガーが結構好きで色々調べているうちに、この国の音楽ってすごく面白いなって気づきました、特に、マイラ・アンドラーヂ(Mayra Andrade)っていう若手美人シンガーの歌が素晴らしく、ここ最近はまりまくっています。

 ヨーロッパとアフリカを結ぶジブラルタル海峡の西に位置する島々のことを通称「マカロネシア」と言うらしいけれど、カーボ・ヴェルテはその中の、ひとつのまとまった島嶼国。元ポルトガル領で、音楽的にはポルトガルの「ファド」っていう情感深い音楽と、ブラジルのボサノヴァやサンバ、またスペインのフラメンコ、そしてアフリカ音楽の断片的リズムが絶妙に溶け合っていますが、全体的にしっとりとした哀愁と言いますか、深い影のようなものが底に流れています。

 まあ、哀愁とか情感というと演歌などを連想しなにやらクサそうな感じがしますけれど、ぼくはこの哀愁具合、コブシ、影を想わせる情感に、非常に新しさを感じました。

 哀愁、憂いとかそういう感情っていわゆる「ポジティヴ志向」じゃなくどちらかといえば「負」の感情とされがちですが、実はそう単純なものではなく、もっと微妙なニュアンスがある。昨今の日本はとかくポジティヴシンキングうんぬんかんぬんが尊ばれ、そうじゃないものは効率性に寄与しないネガティヴ思考で、それが過ぎるとイカレた犯罪に繋がっていくというような単純図式がマスメディアなんかでも描かれたりする。だけどそんなものは安物の塗り絵みたいなもので、人間の感情の機微、サウダージ(哀愁、憂愁、切なさ)ってやつはもっと細やかで、豊かなもの。だけれど今の日本、ギャグではない細やかな「哀愁」ってやつがゴソっと抜け落ちている、そういうことだからすごく新鮮に感じられたのかもしれないと、思います。

 ブラジル音楽のクールな要素やアフリカンリズムの軽快さが情感のクサみを打ち消している、などと色々分析もできましょうがぼくはこの哀愁のコブシに新鮮さと、そして海の香りを感じました。
 実際、海に囲まれているというか大海の上に浮かんでいる島国なので海や船乗りに関する歌がかなり多いらしい。そこに同じく島国である日本人の琴線に触れるものがあるのかもしれない。
 そして哀愁と同様、この混血感にも海の香りを感じました。

 とにかくマイラ・アンドラーヂは素晴らしい。 
 you tubeで探すと、色々出てきますのでご参考までに。
 http://www.youtube.com/watch?v=t_70rNKAEUA&feature=related
これもいい曲。
http://www.youtube.com/watch?v=lIU0xRah6nA&feature=related 
 他まあ、いっぱいあります。ちゃんとした音で聴くと100倍いい。

 また、何本かにまたがっているけれど彼女のインタビューなどが挿入されたショートドキュメンタリーがあって連続してみると面白い。
No.1
http://www.youtube.com/watch?v=CJMWnH14MsU&feature=related
No.2
http://www.youtube.com/watch?v=p01L9ukroNk&feature=related
No.3
http://www.youtube.com/watch?v=KL_Hz1EttNs&feature=related

Cover_mayraandradenavega_2


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楽器

2009-08-06 00:46:41 | 音楽
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 ぼくはよくこのブログで音楽の話題に触れていますけれど、「それとシーカヤックと何の関係があるねん?」とたまにきかれます。
 はい、めっちゃ関係あります。
 と言いますか、シーカヤックそのものが楽器のようなものだと思います。

 音楽は揺らぎの産物ですが、
 海も揺らぎの世界なわけで、
 シーカヤックで長時間海を漂うという行為を長くやっていると、
 音楽の聞こえ方がすごくヴィヴィットに感じられて
 不思議というか、非常にワンダフルなのです。

 そしてこの世界の根本は
そんなワンダフルさのマグマでできていて、
 そのマグマが噴火口からちょびっと染み出てきたしたものが、
 音楽ってやつなのかもしれない、
 と思うことがたまにあります。

 いわゆるひとつの「プラネット感覚」。

 雲が流れ、風が吹き、波が立つ、
 陸や海や空の自然現象が絶妙なハーモニーを生みだし、
 そこに自分自身が溶け込むように、
 しかししっかりと自分の意思を持ってカヤックを進ませている。
 シーカヤックで「主体的に」漕ぎ進むこと自体が音楽だな、
 と、ぼくは実感していて、
 さらに誤解を恐れずにいいますと、
 ドラッグなんて目じゃねえな、と思います。

 まあぼくは個人レベルでは、感性、感覚を研ぎ澄ませるために、
 シーカヤックをやってんだ、というところがありますが、
 人によってはそれが文学だったり絵画だったり造形美術だったり、
 いろいろなところで感性の琴線が揺れ動くことでしょう。
 なんでもいいけれど、シーカヤックってのはアートだと思います。
 かつ、楽しく気持ちいいシンプルな娯楽であるところがすごいのです。 


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the heaven is 10 zillion light years away

2009-08-05 22:58:12 | 音楽
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 多くの人と同じようにマイケル・ジャクソンが亡くなってからちょくちょく気になってyou tubeなどでマイケルの過去の作品をチェックしたりしたけれど、そのたびになぜかマイケル経由でスティーヴィー・ワンダーの作品に行きつき、じーっと釘付けになってしまうことに気がついた。やはりすごいな、と。というわけで最近スティーヴィー・ワンダーがプチ・マイブームである。(マイケルの作品の並びになぜかスティーヴーのもよく並んでいるからクリックしてしまうのである)
 
 そういやマイケル・ジャクソンとスティーヴィー・ワンダーは似たところがある。
 子供のころからスターだったこと。
 黒人でかつ人種の枠をはるかに超えた世界的スターであること。
 人類愛的な思想の持ち主であること。
 いろいろあるけれど、天才性もおそらく同レベルだろう。

 しかしどちらがよりふさわしい才能の開かせ方をしたか、
 となると、やはりスティーヴィー・ワンダーのほうに軍配が上がると思う。
 「スリラー」以降の、特に90年代以降のマイケル・ジャクソンは、
 ああーもったいないなあ~って感じするんだけど、
 スティーヴィー・ワンダーは90年代に入っても、
 「ジャングル・フィーバー」とか、かなりの傑作を作り続けているし、
 なんというか軸が全然ブレていない。

 天才が堕ちていく姿ってのは見ていて非常に悲しいものだけれど、
 一方ブレずにテンションを保ち続ける長生きの天才って、
 根源的なところで勇気づけられるものがあるようだ。
 
 80歳、90歳になってもあっというようなアルバムを作って
 喜ばせてくれるんだろうな、
 スティーヴィー・ワンダーなら。

 「トーキング・ブック」とか、
 上で挙げた「ジャングル・フィーバー」とか、
 いろいろ傑作アルバムがあるけれど、
 最近よく聴いてるのは「ファースト・フィナーレ」ってやつ。

 その中でも「the heaven is 10 zillion light years away」
 って曲が昔から好きだったんだけれど、
 改めて歌詞をじっくり聞くと、「すげえこと歌ってんだな」と思いました。
 http://www.youtube.com/watch?v=Yk9XBPE3Hwk&feature=related 

 「天国ってのは1000億光年くらい離れた
 遥かかなたにあるものだって人は言うけれど
 本当はもっと近くにあるはずだろ。

 じゃあ聞くが、
 憎悪は1000億光年のかなたに、って
 なぜ言わなんだい?
 それほどおれたちは遥か遠くにきちまったんだ。

 天国は1000億光年のかなたに、って
 人は言うけれど、ほんとはもっと近くに、
 そう、自分の心の中にある、
 だから、
 心を開いて、スピリットを感じろ」
 
 という内容の歌なんだけど、
 こういうのを歌ってクサくならずに
 よく似合うところがすごいなと思っちゃうわけだ。

 そして、スティヴィーワンダーのほかにこういう歌を歌って誰が似合うだろうかと色んな人を思い浮かべたけれど例えばジョン・レノン、ボブ・マーリー、そしてマイケル・ジャクソンはちょっと違うんだけどまあ似合うだろう。ほかあの人とかあの人とか、・・・と色々考えてると死んじゃった人ばかりになってきちゃったので生きてる人をと考えるとアルジェリア出身のグナワ・ディフュージョンのボーカルの奴とかエイジアン・ダブ・ファウンデーションの奴らとかキューバ出身の天才ピアニスト・オマール・ソーサとか西アフリカ・ベニン出身のアンジェリーク・キジョーとかセネガルのユッスー・ンドゥールとかインド系イギリス人のタルヴィン・シンとか、アジア/アフリカ系に多くいる気がするなって思いました。

 で、さらに考えると、
 そういう人らのイメージとしてシーカヤックに乗ったら非常に似合う感じがする。
 「心を開いて、海のスピリットを感じろ」ってのが、
 シーカヤックの本質だからな。


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ヒューマン ネイチャー

2009-07-01 22:46:10 | 音楽
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 先日、うちのシーカヤック&ミュージックツアーで使っている「アイランドストリーム唐尾ベース」(写真)にて、マイケルジャクソンの追悼を兼ねてアルバム「スリラー」の全曲を通しで聴いた。中学生の頃に100回くらいは聴いたアルバム(100回以上聴いたアルバムってのはぼくの中では特に珍しくもない)で、激しい雨とドカーンと波が轟く深夜、爆音で鳴らした。
 久しぶりに聴いたけれど、やはり名盤だなと思った。
 特に「ヒューマン・ネイチャー」って曲が素晴らしくて、何回もリピートした。
 昔は歌詞の意味なんか全く分からなかったけれど、
 今になってこのシンプルな歌詞、うーんよくわかるぜ、と思った(下記参照)。

 マイケルジャクソンの「ヒューマン・ネイチャー」の視聴はこちらをどうぞ。
 http://www.youtube.com/watch?v=FaAQf2nUbuU&feature=related

 またこの曲はジャズのマイルス・デイヴィスとか結構色んな人がカバーしているけど、you tubeで見つけたスティーヴィーワンダーのカバーが、特によかった。
 こいつは必聴!!!
 http://www.youtube.com/watch?v=YdtsW3kLzpE&feature=related 
 トーキング・モジュレーターっていう機材を使って効果音を出し、まるで海の中の演奏みたいに聞こえる。
 ねばり気のある海の波うねりのようなリズム。
 とくに「Why Why?」っていうところなんか、潮流が海底から海面にボワーンと湧き上がってくるさまを連想させる。
 まあ、シーカヤックをやってるからそういうリズム感に敏感になるんだろうね。

 で、この曲の歌詞の中のthe city というのは「官能性」の隠喩だけれど、
 それをそのままthe sea と置き換えてもぴったり当てはまる。
 というわけで歌詞を下に記しておきます。
 ぼくは2ヴァース目の、リンゴをかじるたとえの部分が特に好き。
 
Looking out
Across the night-time
The city winks a sleepless eye
Hear her voice
Shake my window
Sweet seducing sighs

Get me out
Into the night-time
Four walls won't hold me tonight
If this town
Is just an apple
Then let me take a bite

If they say -
Why, why, tell 'em that is human nature
Why, why, does he do me that way
If they say -
Why, why, tell 'em that is human nature
Why, why, does he do me that way

Reaching out
To touch a stranger
Electric eyes are ev'rywhere
See that girl
She knows I'm watching
She likes the way I stare

If they say -
Why, why, tell 'em that is human nature
Why, why, does he do me that way
If they say -
Why, why, tell 'em that is human nature
Why, why, does he do me that way
I like livin' this way
I like lovin' this way

Looking out
Across the morning
The city's heart begins to beat
Reaching out
I touch her shoulder
I'm dreaming of the street

If they say -
Why, why, tell 'em that is human nature
Why, why, does he do me that way
If they say -
Why, why, tell 'em that is human nature
Why, why, does he do me that way
I like livin' this way

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シーカヤック&ミュージックツアー

2008-12-01 17:53:40 | 音楽
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 ここんとこアイランドストリームの業務をほっぱらかしにしてソロであちこち行っていると思われがちですが、全くその逆で、ずーっとアイランドストリームのことばかり考えています。
 来年のさらなる飛躍、面白いツアー展開、イベント企画、短期的目標と中・長期的ヴィジョン。そういうものは一人の脳みそになったほうが断然湧き上がってくるんですね。自分自身に立ち帰るということが、かけがえなく大切な仕事なのです。またぼくの仕事はアイランドストリームですが、趣味もアイランドストリームです。そういう関係。

 さて、前から温めていた案の一つとして、
 来年から「アイランドストリーム唐尾ベース」(もうひとつのツアー拠点)にて、「シーカヤック&ミュージックツアー」という企画ツアーを実施していきます。
 どんなものかと言いますとすごくシンプルで、鷹島や黒島、白崎海岸といった湯浅湾の南岸をゆったりシーカヤックワンデイツーリングした後、海辺のクラブハウスにて海に沈んでいく夕陽を眺めながら上質の音楽に耳を傾け、おいしいコーヒーをいただいてチル・アウトする(くつろぐ)というツアーです。
 「感性」というものをより、なによりも大事にします。

 五感を研ぎ澄ませ、
 自然のヴァイブに全身をゆだねたあと聴き入る音楽は、
 格別に心に染みいってきます。
 いつも言ってるように、
 シーカヤックって音楽的な乗り物なんですよね。
 上陸後、波の揺れが身体に残っている状態で、
 海のヴァイブと音楽のヴァイブが、
 心の中で呼応する魔法のようなひととき。
 自分自身がひとつの楽器になったような気がして、
 すごく豊かな気分になれるんだよね。

 所変わってスペイン・イビサ島には有名なサンセットカフェ「カフェ・デル・マル」てのがあって、世界一きれいな夕陽を見ながらDJのプレイする音楽に耳を傾けるそのスポットがひとつの観光名所になっていますが、こちらアイランドストリームの湯浅湾サンセットカフェはスーパー穴場で、だけど夕陽と海景の美しさは全然負けていないと思いますね。何より、音楽を聴く土台・海に身を置いたリアルな体感っていうのはかけがえないもんだしね。
 世界一なんて、自分のところはみんなそう言うんだよ。
 正しくは、たくさんの世界一がある。

 ジャズ、ボサノヴァ、ラテン、ワールドミュージックその他、
 その時の状況に応じていろいろかけます。
 DJはぼくがメインで、時に応じて誰か面白そうな人を連れてきたいと思います。
 ツアーコースも、音源も、ハコも、音響も、コーヒーも、
 もうすでに全部そろっています。
 あとはやるだけの段階です。
 めっちゃ歓迎しますから、来てね。
 
 このツアーは3月半ばから6月末、
 9月末から11月末までで随時、予約あり次第行います。
 (7,8,9月頭までの真夏のここはマナーが最低な海水浴客がごったがえすので行いません。)
 催行人数は10人まで、参加資格は最低1,2回以上アイランドストリームのシーカヤックツアーに参加したことのある方対象となっています(漕ぎの面で、ある程度の余裕が必要なため、全く初めての人はまず通常のツアーをご経験ください)。
 料金は通常のワンデイツーリングと同じ12000円/1人です。
 なお、以前にうちのツアー参加したことのある方でもほとんど漕いだことのないだろう場所を漕ぎますので、シーカヤッキングそのものもすごく楽しんでいただけるかと思います。
 
 もちろん従来の通年やってるツアーも並行して行っていきます。
 また随時ウェブサイトにも案内を載せていきます。
 今からご予約いただいても結構です。
 よろしく。
 
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↑ クラブハウス内は昼間、こんな感じで、雑誌とか読んだりするものゆったりできていい。

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↑ 夜はこんな感じで、バー的な空間になります。
 完全ビーチフロントで、かなり大きな音を出しても、潮騒は常に聞こえてきます。





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グルーヴィ

2006-02-19 22:41:51 | 音楽

全身をゆったりと浮遊させる波うねりの中に一日中身を置いて上陸した後すぐ、浜辺でジャズのグルーヴ感に身をゆだね夕暮れの海面を見つめていると、まるでどっちが海なのかどっちが音楽なのか分からなくなる瞬間が訪れるのだった。太陽光線を吸収し反射する海面によくよく目を凝らすと、あらゆる色彩が微細に踊っているのが見える。同じくメロウでナイスなジャズに耳を傾けると、あらゆる色彩がキラめいて見えるかのように聴こえる。そうして次に、意識してゆっくり深呼吸を繰り返す。すると寄せては返す波打ち際の潮騒が、プラネットアースの深呼吸するリズムのように思えてくるのだった。

 シーカヤックを通じて海の鼓動に肉薄することと、体の芯からジャズの音の脈動を感じることとは、深い部分で何かが繋がっている。
 グルーヴ感というやつがキーワード。

 たとえば潮の満ち切った夕凪の海面には、潮の満ち切った夕凪の海面のように大らかで優しげなキャノンボール・アダレーの、よくグルーヴするアルトサックスが最高に似合う。

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ゴスペル

2005-12-24 20:38:40 | 音楽

メリークリスマス。

寒いクリスマスにはゴスペルがよく似合う。

心の奥深くから放射される人間らしいぬくもりをエッセンス化したような、ソウルミュージックだからだろう。

ゴスペル界の大御所「ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマ」と、気鋭のソウル音楽家「ベンハーパー」が、黒人音楽の殿堂「アポロシアター」でジョイントセッションしたDVDは最高にいい。

ライブ・アット・ジ・アポロ

ブラインドボーイズオブアラバマは10年くらい前、神戸のフィッシュダンスホールでライブを観たことがある。全員盲目のジイサンなんだけど、ノリノリになってくると、マイクを持ったままステージから降りてきて、観客席を練り歩きながら大絶唱するという面白い癖がある。それがこのDVDでも堪能できる。ちなみに当時はファイブ・ブラインドボーイズ・オブ・アラバマと名乗っていたが、このDVDでは4人になっている。ひとり亡くなったのであろう。

ベンハーパーはいまやセレブレティって感じの大物になったけれど、デビューしたての頃、大阪心斎橋のクラブクアトロでガラガラのライブを観たことがある。自分の内部に深く沈潜してゆき、コツンと奥底に行き当たった瞬間、ドカーンとパッションを爆発させるという感じの、特有のソウルフルな表現スタイルがいいと思った。以来ずっと大ファンだ。また小さな箱で観たい。ベンハーパー・オフィシャルHP

ゴスペルという伝統によって、年寄りと若手の心がひとつに結ばれる。幸福な香りのするDVDだ。

ところで黒人のゴスペルは、日本で言えば、仏教に通じる部分がすごく感じられる。


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4D

2005-12-14 21:24:49 | 音楽
 当たり前というか不思議というか、一日中シーカヤックで海の上を漂い、海から上がってしばらくは身体全体が大きく海のようにうねっている心地が続くことがある。エッセンスが身体の芯に残ってるんだね。そんな時は音楽を聴いたらいい。普段なんとも思わない音符音符が、ひときわ粒立ち鮮やかに心地よく響き、ハッとするようなことがよくある。耳のみで聴くというよりも、全身で音を「鳴らす」感じ。色々試してみたが、最もハズレがないと言えるのがジャズ。ジャズの最大の特色「スウィング感」というやつは、何かしら海の波やうねりに通じるものがあるように感じる。そこにピアノやサックスやヴィブラフォンが絡むと、しばし海面染め上げる太陽光線の回廊や、島々の間を転がり走る潮の流れや、断崖絶壁のゴツゴツ感や、海面を割って小魚を追いかけるシイラのボイルなどの溌剌とした記憶が、より味わい深い新たなイメージとして立ち現れることがある。なので騙されたと思って聴いてみてほしい。
 色彩鮮やかな、絵画的躍動感。
 ジャズは元々から好きだったけれど、海に行くようになってもっと好きになった。
 ジャズの即興性と、自然現象の即興性が、幸福に連動する瞬間とでも言うか。

 また、ジャズだけじゃなく、たとえばヒップホップでもテクノ/トランス系でもロックンロールでもレゲエでもサルサでもクラシックでも、ピンとくるやつなら、なんでもいい。なんにでも、何かしらピンとくる。

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2つの流動が出会う場所

2005-11-29 02:37:00 | 音楽
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カヤックで頻繁に出くわす小魚の群れ。湯浅湾・やびつ海岸

ここ湯浅湾は、2つの流動が出会う場所だ。
黒潮と潮汐流。
湾の南端「白崎海岸」を南に向かうと、太平洋の黒潮の香りがし始める。一方、湾の北端「宮崎の鼻」を北にかわすと、瀬戸内の潮汐流の香りがし始める。シーカヤックに乗っていると、その違いを結構はっきりと感じることができる。

2つの流動が出会う海。
昨日はすごく穏やかな一日だった。

そんなことをしみじみ想うのは今、キューバ出身・スペイン在住のピアニスト、オマール・ソーサを聴いているからなのだろうか。
アルバム「センティール」(スペイン語で「深く感じ入ること」)を聴いている。世界中に飛び散ったアフリカ音楽の断片を「グナワ」(モロッコのトランス音楽)のグルーヴでまとめあげた作品。色んな流動が複雑に入り混じってできた海みたいな演奏だ。
 海は全部つながっているという感覚に浸りつつ、まどろんでいる。


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