André Toussaint – Troubadour 1962 Carib – LP 2025 Calypso, Junkanoo
今後、「自然と音楽」というテーマで様々な音楽を自由に論評していくシリーズを、電子書籍で出していこうと計画中なんだけど、その流れでリサーチしていて、隠れた超名盤に出会った。
André Toussaint – Troubadour 1962 Carib – LP 2025 Calypso, Junkanoo
今後、「自然と音楽」というテーマで様々な音楽を自由に論評していくシリーズを、電子書籍で出していこうと計画中なんだけど、その流れでリサーチしていて、隠れた超名盤に出会った。
FKJ - Just Piano (In partnership with Calm)
最近、海・山・アウトドア文脈でよく聴くのはこれ。
風や波、水の流れといった現実のもののみならず、それを取り巻く光とか空気感とかと響き合う演奏。
全身をゆったりと浮遊させる波うねりの中に一日中身を置いて上陸した後すぐ、浜辺でジャズのグルーヴ感に身をゆだね夕暮れの海面を見つめていると、まるでどっちが海なのかどっちが音楽なのか分からなくなる瞬間が訪れるのだった。太陽光線を吸収し反射する海面によくよく目を凝らすと、あらゆる色彩が微細に踊っているのが見える。同じくメロウでナイスなジャズに耳を傾けると、あらゆる色彩がキラめいて見えるかのように聴こえる。そうして次に、意識してゆっくり深呼吸を繰り返す。すると寄せては返す波打ち際の潮騒が、プラネットアースの深呼吸するリズムのように思えてくるのだった。
シーカヤックを通じて海の鼓動に肉薄することと、体の芯からジャズの音の脈動を感じることとは、深い部分で何かが繋がっている。
グルーヴ感というやつがキーワード。
たとえば潮の満ち切った夕凪の海面には、潮の満ち切った夕凪の海面のように大らかで優しげなキャノンボール・アダレーの、よくグルーヴするアルトサックスが最高に似合う。
メリークリスマス。
寒いクリスマスにはゴスペルがよく似合う。
心の奥深くから放射される人間らしいぬくもりをエッセンス化したような、ソウルミュージックだからだろう。
ゴスペル界の大御所「ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマ」と、気鋭のソウル音楽家「ベンハーパー」が、黒人音楽の殿堂「アポロシアター」でジョイントセッションしたDVDは最高にいい。
ブラインドボーイズオブアラバマは10年くらい前、神戸のフィッシュダンスホールでライブを観たことがある。全員盲目のジイサンなんだけど、ノリノリになってくると、マイクを持ったままステージから降りてきて、観客席を練り歩きながら大絶唱するという面白い癖がある。それがこのDVDでも堪能できる。ちなみに当時はファイブ・ブラインドボーイズ・オブ・アラバマと名乗っていたが、このDVDでは4人になっている。ひとり亡くなったのであろう。
ベンハーパーはいまやセレブレティって感じの大物になったけれど、デビューしたての頃、大阪心斎橋のクラブクアトロでガラガラのライブを観たことがある。自分の内部に深く沈潜してゆき、コツンと奥底に行き当たった瞬間、ドカーンとパッションを爆発させるという感じの、特有のソウルフルな表現スタイルがいいと思った。以来ずっと大ファンだ。また小さな箱で観たい。ベンハーパー・オフィシャルHP
ゴスペルという伝統によって、年寄りと若手の心がひとつに結ばれる。幸福な香りのするDVDだ。
ところで黒人のゴスペルは、日本で言えば、仏教に通じる部分がすごく感じられる。