先日から東北にボランティアの旅に行っていて、
さっき帰ってきました。
まずは
三陸カヤックス応援隊のイベントに参加しました。
これはボランティアではなく、一般参加者として。
岩手県・釜石近くの山田湾にて。
三陸と言えば、10年前にシーカヤック日本一周した時に、
気に入って、また土地の人々によくしていただいて、
絶対また来よう、来よう、来よう・・・、と思ってるうちに昨年の震災が。
あの震災では、多くの方々と同様、
たくさんの三陸のシーカヤッカーも悲しい思いをしている。
命からがら生き延びた方もいるし、
亡くなった方もいる。
家族や親せき、家屋や車や財産を失った方もいる。
そんな未曾有の災害と悲劇を生んだ海で、
よそから来た者がノホホンとシーカヤックを楽しむなんて
無理だな、と思っていたし、
まして三陸のシーカヤッカーの方々にとって、
なかなか海に出る気になんて、
ならないのではないか、とも思っていた。
少なくとも、単独でフラッと行ってそこらを漕ぎまわって、
というようなスタイルで行くべきではないだろう。
・・・だけど気になる。
こんな状況の三陸の海を、
いちシーカヤッカーとして今後どう捉えればよいのか
どのようにかかわっていくことができるのか、
その辺が、非常に気になる。
・・・ということでこのイベントに参加させていただくことにしたのでした。
一日目は強風、高波のため海には出ず交流会。
昼間はのんびりまったりしつつ、
知床の新谷暁生氏の、雨の中でも焚火でメシを焚く方法の
実地レクチャーなどが行われました。
その後、カキホタテ食べ放題懇親会~2次会へと進んでいき、
多くの三陸のカヤッカー達と交流させていただきました。
ぼくには何もできないけれど、何より、
ほがらかな皆さんと交流できてよかったです。
そして2日目は海がだいぶ穏やかになって、
山田湾を40人ほどでツーリングしました。
ほんとはすごくきれいな所なんだけど、
いかんせん天気が悪かったのでいい写真が撮れなくて・・・、
ごめんなさい。
やはり海というのは時空を超えた超伝導体みたいなものだ。
海に出るといろんな感情がこみ上げてくる。
10年前のあの時一緒に酒のんだ漁師はどうなっただろうかという想いや、
一宿一飯でお世話になった人たちの心の温かさとかが、
胸の内でエッセンス化され、シュワシュワと、
まるで缶ビールを振ってプシュっと開けて吹きこぼれるように、
こみ上げてきたのでした。
湾内の小島を巡り、
日本唯一の「ホタテ海上ドライブスルー」で生のホタテをいただき、
再び漕いで帰ってきました。
やはりシーカヤッカー同士、こうして黙って一緒に漕ぐのがいい。
来てよかった、漕げてよかったと思った。
悲劇を生んだ海だけど、
再び平静を取り戻したならば
漕ぐと気持ちよい海であるのは、他の海とも変わりはない。
もっともっと三陸の海、漕ぎたいなと思いました。
また遊びに来たいなと思いました。
遊び、という言葉に語弊を感じるかもしれないけれど
そもそも遊ぶという行為は、
ただ単に「わーい楽しかった~」というだけのことではなく、
もっと深いものだ。
遊びの中には、悲しんだり、悩んだり、非常に難しいことを考えたり、
胸の痛みを覚えたりすることも含まれている。
だからこそ深いものなのだ。
自分と向き合い、世界と向き合い、成長してゆくこと。
soul searching
だからぼくは本気で遊んでいるのである。
といっても、だけどやはり、
そう調子に乗ってガンガン漕ぐような状況でもない。
その後カヤックを車に積んであちこち走ってみると、
「こんなもん積んで不謹慎かもな」という後ろめたさのようなものも、
やはり拭い去れなかった。
まだまだ津波の傷跡が痛ましい沿岸に、
和歌山ナンバー、赤いシーカヤックを積んだ車がうろうろ・・・。
なんか人々の目線が突き刺さるような気がしましたね。
だけれども、いつまでも沈んでいるわけにもいかないのではないか。
Life goes on、生きている人の生活、人生は続いてゆく。
土地の人でも観光に携わる人々も多いわけだし、
あまりに自粛ムードが続くのもよくないのではないか。
すごくジレンマを感じましたね。
リアス式の三陸海岸そのものは美しく、
日本屈指のシーカヤックフィールドです。
「漕ぎたければ漕いだ方がいいんじゃないの?」という気持ちもあるし、
「やめといた方がいいんじゃない?」という気持ちもあります。
また、「ここは漕いでも大丈夫だろうけれど、あそこを漕ぐのは
誰かの気持ちを逆なでしたりすることになる」とか、そういう、
ローカル独自の事情もあることでしょう。
そう考えると、だからこそ、地元でガイド業をされている方々の
力や情報をお借りすることが必要になってくるのでは、と思います。
現場の人ならば、感情の機微を含んだ微妙なニュアンスも分かるだろうし、
色々学ぶことがあるでしょう。
ツアーに参加したり、物品や艇をそのショップを通して購入するようにしたり、
ガイディングをお願いしたり・・・。
そうしてちょっとずつ、急には無理だろうけれど、
三陸海岸のシーカヤックの復興も可能になってくるのではないか
と思いました。
今回は釜石のカヤック専門店「MESA」の草山氏らによくしていただきました。
ぼくは抜けてるところがある人間なので、
もしかして失礼になるようなことを言わなかったかなあと振り返っているわけですが、
復活、復興を心よりお祈りしております。
三陸のカヤックにとってはやはりプロのガイドの方の存在が、
大事だと思います。以下の方たちが頑張っておられます。
釜石のカヤックショップMESAさん
http://mesasanriku.com/
宮古のカヤックショップ SEASONさん
http://sea-son.net/
宮城県女川町のカヤックショップ 「アースクエスト」さん
http://www.h5.dion.ne.jp/~equest/