2日目、今日早朝に離陸し、平戸島から五島灘海峡を渡って五島列島北部の野崎島へ。
いやあ、結構大変だった。風、潮、複雑な複合波系のデカイ波うねり。この写真では分からないだろうけど、一瞬たりとも気が抜けない。連日の強風で木も曲がってる。
ほんとはもうちょっと南の上五島町の先端部分を目指したけど潮と波の関係により野崎島で上陸。
こういう海峡なんかを横断すると、達成感とともに生きていることの感謝の念が湧いてきますね。こうやって生きていられるだけでじゅうぶん、と。
なお、ここは対馬暖流の通り道になっている海で、海のフィーリング的に黒潮系。高台から見ると潮目がはっきりして面白かった。
突然ですが、現在、小遠征中で、長崎平戸島から五島列島に渡り、五島の島々を巡るカヤック旅をしています。
昨日平戸島の千里ヶ浜海岸からスタートして南東岸を南下し、最西端の宮之浦近くの高島の浜でテント泊。
青の洞窟なんて実は世界中にいくらでもある。
昨日の南紀枯木灘、すさみ海岸ツアーにて。
3メートルくらいの鮫とも並走できたし、いい日だった。
(実は鮫ってたいてい臆病)
黒潮のダイナミックな海に彩り、生命感を与えるような、
化身みたいな生き物。
紀伊半島のシーカヤックフィールドは本当に奥深いと思いますね。
完全ジャケ買い的に買った分厚い本、
「フライデーあるいは太平洋の冥界」トゥルニエ著と、
「黄金探索者」ル・クレジオ著の、2作一緒に入ったやつ、
まずは黄金探索者の方を読了。めちゃよかった。
作者の祖父は昔、怪しげな文書を頼りに、
インド洋のロドリゲス島にて海賊の隠した財宝探しに半生を費やしたそうだが、
「ジイチャンはなぜそんなことをしたのか」というその「心」を、
小説という形で想像力で迫ってゆくストーリー。
ごく簡単に言うと、一家の没落で失った子供時代の幸福な日々と海辺の家屋敷を取り戻す夢に根ざした黄金探索なのだけれど、この本の海の描写は素晴らしい。星や風やサイクロンや自然の描写もまた実に素晴らしい。世に数ある海の文章の中でも最高峰のひとつだと思う(まあ翻訳だけど)。
この美しさこそ黄金だと思う、
この本、うちの店のライヴラリールームにあって貸しだしも可ですので、
興味のある人はどうぞ。
海観、自然観が深まる本です。
今日のツアーのひとコマ。
名南風の鼻(ナバエノハナ)近辺にある洞窟。
こんな洞窟は湯浅湾内に無数にあるけれど一つ一つのポイントがちょっと離れていたりする。なのでそこそこ漕げた方が色々周遊できて面白いですね。
夏場のようにそこそこ漕いでも汗だくにならずに進める秋はカヤックツーリングに最適な季節。
800以上の島が点在する「熱帯の瀬戸内」(とぼくが勝手に呼んでいる)ミャンマー・メルギー諸島。
今年は下見でほんのちょっとしか漕げなかったけれど、
いつかテントと調理用品と釣り竿と素潜りセット積んで、一ヶ月くらい海旅したい。
国民平均年齢27才のミャンマーは変化のまっただ中にあるけれど、
どう変化していくのか全く分からないところが面白い。
だけど自由にシーカヤック旅なんかができるレベルになるには5年10年かかるだろうな。
長らく軍事政権だったアジアの国には、一般人が自由に、
ちょっと冒険的なアクティヴィティや旅を楽しむという概念が全くない。
多分経済発展して中産階級が生まれ、物質的な豊かさ志向が爛熟して退廃し、
別のオルタナティヴな生き方を求めはじめたところから始まるんだろうな。
欧米先進国や日本がそうだったように。
もしくはそういう道を経ないでダイレクトにアウトドア観光立国になるか。
まあ100年とか200年したらパーミッションなんかなしで自由に海旅できるだろうけれど。
だけど、面白いのは、カヤックって、こういうところも行けちゃうってところ。
基本のスキルと多少の経験を重ねれば、誰でもこういう場所を旅できる。
誰でも。
行く行かないは別として、こういう海をいつか漕げる可能性があるって思うだけで、
人生楽しくなってくるってものです。
今仕事が忙しい人でも、なんかあったらパッパと辞めちまって旅に出ればいい、
と心の片隅に思っているだけで、ふと気持ちが軽くなる。
そういう意味でも、このストレス&プレッシャー社会においてこそ、
カヤックのスキル、身につけておくことをお勧めしたいんですね。
日本には、世界には、世界観や人生観が変わるほど、
素晴らしい場所が無数にあるわけだから。
そういうものが、危機的状況を迎えたとき、きっと身を助く。