プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

秋の産湯海岸の南国的詩情

2017-09-28 08:49:05 | 紀伊半島カヤックツアー

 先日の中紀・産湯海岸でのツアーはベストコンディションに恵まれ南国的な詩情に溢れていた。
 こんな海岸が全然有名でもなく人知れず存在するところが和歌山の海の実力。

 特にこの時期は、太陽光線の角度が絶妙で、
 全てのものに透明な質感と陰影を与え、
 気品ある美しさが際立っています。
 そこから立ち上がる、南の香り。

 やはりシーカヤックは真夏もいいけれど、
 秋・春がベストシーズンですね。
 ある程度距離を漕いでも汗だくにならないし、
 より海上散歩が快適な時期。

 本当の海岸線の美しさを知るには真夏以外を漕ぐことですね。
 特に中紀エリアでは、その良さが際立ちます。
 特にここ産湯海岸は最高のフィールドです。

 朝、当店に集合し、「ほな今日は産湯にしときましょか」ってノリで
 トレーラーにカヤック積んですぐ行けるところが素晴らしい。


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カヤック艇の進水式

2017-09-28 00:22:06 | 日記

 先日、艇を注文されていたお客さまの納品&進水式をしました。 
 写真はその後のツーリングシーン。

 上はウォーターフィールドのシメスタ500
 下はバタフライカヤックスのクルーソー・タンデム460

 シーカヤッキングにおいて、当店ではウォーターフィールド社の艇を特にイチオシでお勧めしています。初心者からエキスパート、のんびり系から冒険まで、あらゆる用途別に取りそろえられた豊富なラインナップ。幾多のシーカヤッカーによる多種多様なシーンでの使用実績の積み重ね。壊れにくいシンプルなハッチやラダーの構造を含めた艇のクオリティ。見た目のかっこよさ。国産(熊本)ということで備品やパーツの取り寄せや交換が容易なこと。などなど様々な角度から考えても、現在最高峰のシーカヤックメーカーだと思いますね。 

 またバタフライさんはコストをギリギリにまで下げた上で最も高いクオリティを持つフォールディングカヤックを世に出す、姫路発の気鋭のビルダーです。フェザークラフト社がなくなった今、より本格的なシーカヤックも出してもらいたいなと思うところです。

 もちろんアイランドストリームでは両者のカヤックとも取り扱いしています。
 当店サイト上にて、「シメスタ500」の紹介ページはこちら

 またクルーソー・タンデム460の紹介ページはこちら


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稲村岳スピードハイク

2017-09-27 22:14:18 | トレッキング

 
 先日、久しぶりに稲村岳・大日岳をスピードハイク。
 ここ数ヶ月間ずっと海の身体になっていたので、
 大峰山系特有の「重厚な透明感」みたいな空気感が身に染みた。

 京奈和道が繋がって何が一番よかったかと言えば、湯浅のうちから大峰山系の多くの登山口まで2時間ほどで行けるようになったこと。お金もあんまりかからんし。これで吉野・大峰、髙野、熊野、那智勝浦というエリアが2時間圏内に収まった。

 アイランドストリームの今後の展開のアイデアも湧く。
 例えば紀伊半島の海、山、川を堪能する1週間くらいのオーダーメイドツアーを押し出してみたい。あるいは1ヶ月丸々とか・・。

 紀伊半島とは日本の自然文化の原郷、ルーツ的な場所であり、肌身でその本質に触れることは、日本人である限りとても価値のあることだと思います。ですが、当たり前ですが1日2日物見遊山的に観光したくらいではまず分かるべくもない。やはり時間をかけてじっくり全身で味わい、感じ、考えることによって奥深い発見があるわけですね。 
 その人の人生の糧となるくらいの、自分オリジナルの発見。

 ぼく自身の経験上、基本、カヤックとトレッキングで、かなりの領域までに肉薄できるかと思います。そのシンプルな2つが、最良の方法なのです。海や山という、野生のエリアを人力で移動することによって入っていける紀伊半島の自然の本質的世界。日本の自然文化の原郷。それを色んな人とシェアしたい。
 交通の便がよくなったことにより、ここ湯浅は、そのためのハブ的な場所だと言えるのですね。

 吉野・大峰、やっぱり興味深いね。特に役行者という存在が面白い。空海もいいけど野生哲学という意味では役行者の方がダイレクトに迫ってくるものがある。山の人物ではあるけれど、不思議に海のスケールも感じさせる。
 環太平洋的な海文化の広がり、スケール感。


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感覚的情報の豊かさ

2017-09-22 10:52:34 | マインドフルネス

 先日、と言っても少したちますが、中紀の某所でツアー。
 湯浅湾とはまた違う、より緑濃く、また黒潮の影響も強くなるエリア。

 湯浅湾全般から日ノ岬あたりまでが俗にいう中紀エリアとなりますが、中紀一つとっても、場所ごとに海岸線は微妙に植生が違うし、海に入ると(シュノーケリングすると)魚種の生態も違うということがわかる。そして空気感、五感で捉えるフィーリングが違う。岬一つ、川の河口一つ、島一つ、港一つ越えるごとに少しずつ、あるいはガラッと変わる感覚を肌身で感じることができる。

 まるでソムリエがワインをテイスティングするように、その微細な違いを身体でキャッチすること。それはおそらく、カヤックが最も適していると思う。動力船ではだめだし(特に自然音がエンジン音でかき消されるから)、SUPでは移動距離が足りないし、ヨットでは身体と水面との距離がちょっと遠い。歩きでは磯場を移動できないし、車では論外(もちろんそれぞれに魅力と世界観があるわけで、優劣を言っているのではなく、肌感覚という側面を言っているので誤解ないよう)。

 ぼくはよく「自然の息吹、鼓動に対して最も敏感な、楽器のような乗り物」とカヤックについて形容しますが、紀伊半島のエリアはまさにそんな感覚を試すのに、自然に対してよくレスポンスする身体を磨き上げてゆくのに適したフィールドなのですね。

 自然と向き合いつつ、心と身体の声に耳を傾けること。
 自分自身もひとつの生物になったかのように生態系の中に溶け込みつつ、ゆっくりのスピードで、でもそこそこの距離(10~50キロ)を移動してゆくこと。そこで得られる感覚的情報の豊かさ、リッチさって、色んなアウトドア遊びと比べてみてもすごく純度が高いと思うんですね。特にこれからのAI・人工知能の時代、価値が高まってくると思います。

 もちろん、それを実感するにはある程度漕げるようになる必要があります。でもある程度でいいんですよ。今年シーカヤックを体験して面白かったなと思ったならばまずは10回、やってみてください。そうするとより余裕を持って、漕げる距離も少しずつ伸びてきます。そしてそこから見えてくるものがあります。さらに、ぼくの言っているようなこともだんだん分かってくることでしょう。ですが、1回2回やっただけでは、まず分からないものです。それでももちろん楽しいんですけどね。だけど色々分かってくるようになるとさらに、楽しい、プラス興味深い、面白いというように進化してゆくのです。


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ガイド&インターン募集

2017-09-15 00:32:19 | 湯浅湾ツアー

このたびアイランドストリームではシーカヤックガイド及びインターン・トレーニング生を募集します。

詳細は下記サイトをご参照下さい。

http://islandstream.la.coocan.jp/guidebosshu.html


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玄関口でも楽しめるけれど

2017-09-14 22:55:37 | 湯浅湾ツアー

 湯浅湾シーカヤックツアー、
 ワンデイコース、ハーフデイコースともに、
 この夏もたくさんの方にお越し頂きました。

 このツアーは、初めての方、あまり経験のない方向けに、
 できるだけ敷居を低くして、しかも本格体験をしていただこうという思いから、
 長年続けているものです。

 いわば玄関口なのですが、
 玄関口でも十分たのしめるのがシーカヤックの世界。
 そして玄関からさらに奥に入ると、
 広く豊かな世界が際限なく広がっています。

 この夏で体験し、興味を持った方、
 アイランドストリームではこの他にもたくさんのツアーをやっていますし、
 またパドリング講習、ナヴィゲーション講習といったスクールシステム、
 艇、備品の販売、
 艇庫サービスなどを行っています。

 Keep on Paddling
 続けていくと見えてくるもの、広がっていくものがあります。
 是非続けてみて下さい。


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同じ曲をずっと演奏するということ

2017-09-14 00:31:18 | 日記

 
 ここのところようやくお客さまのピークも過ぎ、
 だいぶ落ち着いてきた感がある。

 真夏の一時、毎年、毎日毎日同じツアー業務を繰り返すことは、
 正直うんざりしてしまうところもあるけれど、
 まあ長年やって定着させるってそういうものなんだろう。

 うんざりするような腹の内は見せない。

 湯浅湾シーカヤックツアー。
 2004年にアイランドストリームを立ち上げて以来、一体何千回これをやってきたんだろうと考えるとき、ローリングストーンズとかスティーヴィー・ワンダーとかのことを思ったりする。彼らも同じヒット曲を何万回も演奏してきただろう。飽きて飽きて死ぬほどうんざりすることもあっただろう。
 一体何を思って、未だに同じ曲を演奏し続けるのか?

 多分、もう飽きるとかうんざりするとか、そういう次元を超越してるんだと思う。ぼくはまだまだその段階には足元にも及ばないけど、なんとなくそんな感じが掴める。
 多分、ほんとにすごい奴は、何十年同じ曲をやっても、毎回毎回魂を注ぐことができる。
 無駄な力は抜くけど、手は抜かない。そういうものだと思う。

 曲は同じでも、来るお客さんは毎回違うわけだし。
 そしてそのお客さんにとっては初めてなわけだしな。
 自分がどうこうというより、
 そういうお客さんからのレスポンスを感じ取って、
 毎回新たな気持ちで臨むのだろう。
 ルーティーンを行うことによって、心身が整うって面もあるし。
 仕事って、そういうものだ。

 最も忙しい時期、ツアーが終わって夜寝る前に息抜きでyoutubeで色んなミュージシャンの演奏を鑑賞するのも毎年の恒例。ヒーリング系とかチルアウト系とかそういうものよりも、すごいミュージシャンの緊迫した演奏にすごく癒やされる。きっとあらゆる面で「突き抜けて」いるからだろう。逆に言うと、忙しくてしんどいときにのみ見抜ける「素晴らしいもの」がある。色々聞いてみて自分がどう感じるか、人体実験的に探ってたくさんの新しい発見をしていくことは楽しい。他人や世間の評価ではなく、100%自分の感性で見抜けるわけだから。

 中でも、お盆の多忙なある日、好きなギタリストの一人であるジョージベンソンの色んな映像を見て、感動した。
 この人、どんなときも絶対心込めて演奏する。
 友達の家に行ってたまたま転がっていたギターを軽く爪弾く時にも魂を入れる。
 すごいと思う。
 たとえばこの下の曲なんかもリハーサルというか、
 音合わせ的な感じでのオフレコ演奏なんだけど、めちゃ気持ち入れている。
 超一流のプロってやっぱりこういうことなんだと思うね。

 


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カヤックでチヌ、トップウォーター。

2017-09-13 22:10:10 | 日記

 真夏の喧噪が過ぎ、落ち着いた海のシーズンに入ってきました。
 ツーリングにシュノーケリング、釣りキャンプと、
 カヤックを使ったいろいろな楽しみ方ができる季節。

 先日、久々にカヤックでチヌ釣りに興じる。
 トップウォーターでバフッときて、50オーバーのやつ。
 さすがにパワフルな引きで面白い。

 チヌは意外とルアーに、しかもトップウォーターに結構反応する。
 タイラバのマダイとはまた違った楽しみがある釣り。

 興味ある方は釣り方をお教えしますので、
 アイランドストリームにてお声がけ下さい。


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ロヒンギャ迫害について

2017-09-12 12:03:25 | ミャンマー トリップ

 
 ミャンマーのロヒンギャ迫害問題は日本にいると全く関係ない別世界のことのように思えてしまいがちだけど、実は日本にもミャンマー人は多いし、ロヒンギャの人々もいる。そもそもこの問題は世界の本質の投影でもあり、どこの国の人間だろうと全く関係なくはない。ぼくも去年ミャンマーをカヤックトリップしたこともあって、すごく考えさせられるものがある。
 
 ニュースを見て「スーチーさんは一体何をやっとるんだ? 無能か?」と言ってしまうのも簡単だけど、ミャンマーって超多民族国家で歴史的にもめちゃくちゃ複雑で、まるでバックラッシュした釣り糸みたいに絡み合ってて、それを解きほぐしていくのは実際のところ、相当難しいんだろうなと思う。
 去年ミャンマーに行った時、この国の今後、全く読めないなと思った。「軍事政権が終わって民主化へスムーズに移行中」というような簡単なものではなく、軍人が天下りのように政治家、官僚、役人に転身していて、何をするにも彼らの許認可が必要になる。賄賂も普通で、何か商売するにも高級車などを贈与しないと話が進まないようにできている。潜伏化した感染症のように社会の微に入り細にわたって軍政が染みついていて、旅人であったとしてもふとしたときに、その不気味さに出くわしたりする。
 これを変えていくって、正直、なかなか難しいと思った。スーチーさんも、好むと好まざるとに関わらず軍とうまくやっていきつつ徐々に変えていかなきゃどうしようもないと、誰よりもよく知っているのだろう。
 
 ロヒンギャ迫害問題の根本原因をごくごく簡単に言うとこういうことである。ミャンマーの仏教徒とイスラム教徒は、大昔は共存していた。多少の小競り合いはあっただろうけれど、生きる知恵としてお互いがうまく距離感を取り合って暮らしていた。そのバランスが崩れたのは西欧列強が入ってきて植民地化してからだ。特にイギリス領以後、顕著になった。実はミャンマーだけではなく、イギリスの植民地政策って結構エグく、世界各地で民族紛争を起こす根本原因になっている。例えばスリランカでは土着のシンハラ人の土地を収奪して南インドから大量にタミル人を連れてきて、彼らにその土地と仕事を与え、社会的にも重用した。そうして少数派のタミル人に対する多数派のシンハラ人の憎悪が高まっていった。戦後独立してイギリスが撤退した後、逆に多数派のシンハラ人政府がタミル人を社会から排除しようとし、選挙権も大学への進学権も奪った。それに怒ったタミル人が「タミル・イーラム解放の虎」という反政府軍を結成し、2009年まで内戦を続けた。その内戦では10万人以上の人が殺されている。このロヒンギャ迫害問題も、構造としてはそれに似ている。英領時代、ヤカイン州の仏教徒の土地を取り上げてそこをイスラム系移民にあてがって労働させ、仏教徒の不満が募っていった。加えて第二次大戦にて、仏教徒が日本軍の味方をし、一方イスラム系が英国軍を支持し戦ったことによってその溝がより深まった。その後軍事政権の間は良くも悪くも押さえつけられていた両者の軋轢が、軍事政権という地獄の釜の蓋が開けられたことによって、一気に表面化し、炸裂することとなった。
 
 というわけで、とても難しい問題なのだ。
 言えることは、中東の問題や北朝鮮の問題もそうだけど、世界は未だに植民地~世界大戦の時代の呪縛からはまだまだ全然自由になっていないということ。むしろ植民地~世界大戦の亡霊が活発化し、そいつに憑依されてとんでもない災いが世界中あちこちで立ち上がっているというのが21世紀なのだと思う。日本もそこからは自由ではない。あの3.11の福島原発メルトダウン事件も、結局「核」という20世紀の亡霊による、とばっちりなのだ。

 こいつを一掃しないと、ホモ・サピエンスも、なかなか次の時代に入っていけないだろう。
 
 ミャンマーという国は思っている以上にすごく難しいけれど、でもダライ・ラマも言っているように、スーチーは今この目の前で起こっている虐殺をなんとしてでも止めなきゃいけない。他にそれができる権限を持つ人間はいないのだから。

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