前日に会場が見つからず、迷いまくって結局たどり着いたのが開演から30分も経ってしまっていたので、次の日の昼公演に行く事にした。
最終日の公演。前日に場所を確認したのでなんなく着いた。
そもそもナベゲンの公演は、ずっと「アトリエ1007」で行われていたみたいだけど、解体しなければならなくなって、新しいハコを作った。それが「アトリエグリーンパーク」である。
ちょっと洋風のちょっと古めのペンションみたいな建物を改装してアトリエにしたらしい。なかなか素敵な建物である。
結構ギリギリに会場入り。最終日だったのもあるだろうが、満員御礼。かなり詰めて座らなきゃならないほどであった。店主の畑澤聖悟の挨拶があり、開演。
ストーリー~青森市郊外。ショウジは80歳。数年前、娘を亡くし、その後は50歳の娘婿との二人暮らしである。静かに過ぎていく毎日。今日はショウジの誕生日。父と子は、お互い相手のための贈りものを胸に秘め、いつものように、いつもよりちょっと贅沢な卓につ
くのであった・・・。そんなお話。
自分は前回の「屍を越えていけ」から知った浅いファンなので、それ以前の公演を観た事が無い。前回の公演は若手しか出てなかったので、今回のキャスティングからして楽しみであった。というのも、主役は息子だが、その父親のショウジさん役がそのまま80歳ほどのオジイちゃんである。宮越昭司さんという劇団雪の会所属のオジイちゃん。弘前劇場時代に畑澤作品に出演したのが76歳で、それが俳優デビュー作という脅威の大型新人である。なので俳優歴はまだ4年ほど。
物語上、天然ボケの設定だが、彼は天然記念物である。哀愁と絶対的存在感を醸し出す静かなる孤高の演技。若い頃から役者でそのまま年老いても役者している俳優とは全く違う、圧倒的自然体演技。ショウジさんはとても可愛らしく、愛される存在であるが、如何せん、先の短いであろう老人。その悲哀感といったらない。自分の祖父も今年亡くなったが、何かダブる部分もあったりして、そして前半の喜劇から一転してのラストの悲劇に涙。バカらしいコメディタッチの話と思いきや、ラストへかけて絶望の一途へ向かう親子は泣かずにはいられない。観客からすすり泣く声が多く聞こえる。もちろん自分も結構泣いた。だが悲劇そのものではなく、宮越翁の絶対的自然演技にである。
彼の一言に泣き、一言に泣いた。
人生の重さが伝わり、真実味が強烈過ぎるからである。彼は本当に素晴らしかった。この役を三國連太郎や仲代達矢あたりが演じても、ここまで感動は絶対に出来ません!
宮越翁がいなければこの芝居はあり得なかった。それは店主も関係者も観客も理解していることであろう。
宮越翁があまりにもすばらしい演技だったが、もちろん他の役者もすごかった。
主役のささきまことは去年まで東京を中心に活躍していて舞台役者で、北野武監督作品二つにも出ている味のある役者。恐らく若年性アルツハイマーなのだろう悲劇の主役を見事に演じ切った。
そしてナベゲン看板女優の工藤由佳子もさすがの演技。ラスト間際のどう考えても笑えるセリフだけど泣かせる圧倒的演技。前やってたバイトのコンビニで2回くらい客として見たが、実際は結構美人です。
店主畑澤はオチャラケ役だけど、何やらしても文句なし。第一に存在感ありすぎる。あれで高校教師かよと笑っちゃう。
他はいつものメンバーに、畑澤氏が以前勤めていた青森中央高校のOBとOGもいた。酒屋の彼は「河童」でいい演技していたので憶えている。もう卒業したんだね。彼は是非今後もナベゲンで見続けていたい。
工藤静香は美人なのに、ちょっと嫌味な女演じさせたら無敵である。
そんなことで終演すると大拍手がアトリエ中響き渡る。はっきり言ってスタンディングオベーションして「ブラボー」と言いながら10分位拍手したかったくらいです。でもすぐ店主が挨拶しにきたので、みなさん仕方なく拍手をやめたほどでした。
会場を出る際に、最後に観客を見送る真の主役の宮越翁が笑顔で挨拶してくれるので、深々と礼をして後にした。
この作品は展開を知りえた上で、是非もう一度観たいと感じた。この上ない感動に包まれたひと時。こんな感動した作品はこの5年くらいでナンバーワンだった。この演劇は世界に出たって通用するであろう。「世界のナベゲン」ここにあり。
この素晴らしきマイナー劇団に出会えて思ったことがある。あんまりこう思えたことは少ないけど、是非言いたい。
「青森に生まれて良かったー!!」(織田裕二風の山本高広風)
最終日の公演。前日に場所を確認したのでなんなく着いた。
そもそもナベゲンの公演は、ずっと「アトリエ1007」で行われていたみたいだけど、解体しなければならなくなって、新しいハコを作った。それが「アトリエグリーンパーク」である。
ちょっと洋風のちょっと古めのペンションみたいな建物を改装してアトリエにしたらしい。なかなか素敵な建物である。
結構ギリギリに会場入り。最終日だったのもあるだろうが、満員御礼。かなり詰めて座らなきゃならないほどであった。店主の畑澤聖悟の挨拶があり、開演。
ストーリー~青森市郊外。ショウジは80歳。数年前、娘を亡くし、その後は50歳の娘婿との二人暮らしである。静かに過ぎていく毎日。今日はショウジの誕生日。父と子は、お互い相手のための贈りものを胸に秘め、いつものように、いつもよりちょっと贅沢な卓につ
くのであった・・・。そんなお話。
自分は前回の「屍を越えていけ」から知った浅いファンなので、それ以前の公演を観た事が無い。前回の公演は若手しか出てなかったので、今回のキャスティングからして楽しみであった。というのも、主役は息子だが、その父親のショウジさん役がそのまま80歳ほどのオジイちゃんである。宮越昭司さんという劇団雪の会所属のオジイちゃん。弘前劇場時代に畑澤作品に出演したのが76歳で、それが俳優デビュー作という脅威の大型新人である。なので俳優歴はまだ4年ほど。
物語上、天然ボケの設定だが、彼は天然記念物である。哀愁と絶対的存在感を醸し出す静かなる孤高の演技。若い頃から役者でそのまま年老いても役者している俳優とは全く違う、圧倒的自然体演技。ショウジさんはとても可愛らしく、愛される存在であるが、如何せん、先の短いであろう老人。その悲哀感といったらない。自分の祖父も今年亡くなったが、何かダブる部分もあったりして、そして前半の喜劇から一転してのラストの悲劇に涙。バカらしいコメディタッチの話と思いきや、ラストへかけて絶望の一途へ向かう親子は泣かずにはいられない。観客からすすり泣く声が多く聞こえる。もちろん自分も結構泣いた。だが悲劇そのものではなく、宮越翁の絶対的自然演技にである。
彼の一言に泣き、一言に泣いた。
人生の重さが伝わり、真実味が強烈過ぎるからである。彼は本当に素晴らしかった。この役を三國連太郎や仲代達矢あたりが演じても、ここまで感動は絶対に出来ません!
宮越翁がいなければこの芝居はあり得なかった。それは店主も関係者も観客も理解していることであろう。
宮越翁があまりにもすばらしい演技だったが、もちろん他の役者もすごかった。
主役のささきまことは去年まで東京を中心に活躍していて舞台役者で、北野武監督作品二つにも出ている味のある役者。恐らく若年性アルツハイマーなのだろう悲劇の主役を見事に演じ切った。
そしてナベゲン看板女優の工藤由佳子もさすがの演技。ラスト間際のどう考えても笑えるセリフだけど泣かせる圧倒的演技。前やってたバイトのコンビニで2回くらい客として見たが、実際は結構美人です。
店主畑澤はオチャラケ役だけど、何やらしても文句なし。第一に存在感ありすぎる。あれで高校教師かよと笑っちゃう。
他はいつものメンバーに、畑澤氏が以前勤めていた青森中央高校のOBとOGもいた。酒屋の彼は「河童」でいい演技していたので憶えている。もう卒業したんだね。彼は是非今後もナベゲンで見続けていたい。
工藤静香は美人なのに、ちょっと嫌味な女演じさせたら無敵である。
そんなことで終演すると大拍手がアトリエ中響き渡る。はっきり言ってスタンディングオベーションして「ブラボー」と言いながら10分位拍手したかったくらいです。でもすぐ店主が挨拶しにきたので、みなさん仕方なく拍手をやめたほどでした。
会場を出る際に、最後に観客を見送る真の主役の宮越翁が笑顔で挨拶してくれるので、深々と礼をして後にした。
この作品は展開を知りえた上で、是非もう一度観たいと感じた。この上ない感動に包まれたひと時。こんな感動した作品はこの5年くらいでナンバーワンだった。この演劇は世界に出たって通用するであろう。「世界のナベゲン」ここにあり。
この素晴らしきマイナー劇団に出会えて思ったことがある。あんまりこう思えたことは少ないけど、是非言いたい。
「青森に生まれて良かったー!!」(織田裕二風の山本高広風)