Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

台風の最中

2014-10-13 10:44:59 | 日記

まだ、台風の影響をそう受けていないのですが、ニュースではこれから酷くなる時期です。

今年は、夏が早かった気がします。

昨年は父が亡くなった年でもあり、夏の最中、行く夏を惜しむという情緒が湧きましたが、

今年、夏についての情緒を感じたのは晩夏の頃でした。

既に父が亡くなってから3年の感がありました。それだけ今年は多忙、煩雑な環境に忙殺されていたのかもしれません。

秋口に父を思い出してみると、祖父の事も、不思議に思い出されてきました。

父繋がりかもしれません。

祖父との関わりはあまり無く、覚えていることは少ないのですが、以前書いたように祖母との説教行脚、保育園への迎え、百貨店へ連れて行ってもらった事、湯治場への送迎、仏像事件、交通事故の入院、石について等ですが、

一つこんな事がありました。

仏間での事です。当時もう祖母は亡くなっていました。

5年生の頃でしょうか、百科事典を見ていましたから(5年生の時に買ってもらった物です)。

私は好きなページ、地球や星、原子や元素、エジプトや動物、などなど、写真や挿絵を眺めては、心無く溜息を吐き、ページを繰って溜息を吐く、そんな事を我知らず行っていました。

「何かあったがか(何かあったのかい)?」

祖父の声に、ふっと、目を上げると、ここは祖父の部屋の仏間なのでした。そう、縁側があり、庭の見える日差しで明るいこの部屋に私はよく出入りして昼寝などもしたものです。

そうそう、、祖父のいる時間帯の仏間でした。

言われてみれば祖父がいた、その前で溜息を吐いていた、そんな事に気が付きました。

『あれ、私…』

ボーっと周囲を見回して、百科事典を持ち込んで明るい部屋で眺める、祖父の留守にしていた事を、うっかり祖父のいる時にしてしまった、のだと気が付きました。

ごめんねと言って、祖父の邪魔になったのだと出て行こうとすると、祖父はいやいやという様に、

「何かあったがか?」

と再び微笑んで聞くのです。

それで、普段ほとんど面と向かって話をした事がない祖父に、私は父の言葉を話したのでした。

「私が、将来天文学者か、科学者か、考古学者になりたいっていうと、お父さん、もうからない物にばかりなりたいんだな。っていうが(いうの)。」と。

祖父もどうしてそんな者にと思ったようでした。どうしてか聞かれたような気がします。

私は百科事典を見せて、とても面白そうだ、こんな事をやっていきたい、勉強したい、研究したい、そんなことを話したように思います。

それで、どうのという事も無く、祖父は言ったものです。

「お父さんが何と言っても、自分がしたいならやればいいじゃないか。」

微笑んでそんなことを言ってくれました。

その後あれこれと問答はあったのですが、家はお金がないでしょとか、そんなこと気にせずとか、

兎に角、「お父さんにはよく言っておくから。」

と、祖父はいってくれ、私は何だか念が晴れた気がしたものです。

悶々としたその時期を超えてしまった。悩みが消えたという様に、私もその後、そんな夢をそれほど苦も無く捨ててしまった、それぞれの思いとは別に違った方向に行ってしまったのかもしれませんが、私の悩みはこの事を契機に晴れたのでした。

思い出すと不思議な気がします。あのまま悩んでいたら、研究者への道を歩んでいたかもしれませんね。人って不思議です。