Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

蝶ちょう(5)

2018-12-19 11:36:18 | 日記

 それはその年の秋も深まって、その後待ち受けている寒い季節を予感させるような夕刻の頃だったと思います。幾ら動きの鈍い白い小さな蝶とは言え、幼子の素手に捉えられるような蝶の状態の時期です、もう相当に秋は深まり、気温が低下していた時期と言えるでしょう。静かに蝶を持ちその場に佇む私は何時しか忍び寄った冷えにぶるっと身震いしました。素肌に感じる大気は冷えて来ていました。日差しも夕刻を告げる様に陰り、文字通りのつるべ落としの勢いで夕闇が迫っていました。

 私は勿論、そんな季節の移ろい等はいざ知らず、思いがけず手に入った蝶に自身の成長を感じていました。そしてまた、やはり父の言う通り「人間努力」なのだなと合点していました。

 父は何かにつけて私に何か新しい事をさせる時には、取り組み始めてすぐに出来ずに不愉快な顔をしてする事を渋る私に、「最初は誰でも上手く出来ないものだ。」と続けて取り組みさせました。その後、やはり上手く出来なくて飽き始めた私に「人は努力すれば何でも出来るようになる、懲りずにやっているとちゃんと出来るようになる。」と言い聞かせ、「努力は必ず報われるものだ」と助言したものです。何か新しい物に取り組む時、父はよくこの言葉を言って私に取り組ませると、私1人の時間を作ったのでした。

 今回、私は夢中で蝶の事ばかりを考えていて、偶然の様に手にした蝶に心を奪われていましたが、

「やったね、やったんだわ。」

と言う遊び仲間のこの声で我に返りました。私は今日、この時にその子と2人で戸外に出て来ていたのでした。とうとう蝶を捕まえたんだね、立派だわと言うその子の声に、現実の自分に戻りながら未だ夢心地の私は、指の先の静かで身動き一つしない蝶を見ながら、もしかするとこれは死んでしまったのではないかと感じました。細い針金の先の様な足さえピクリとも動かずに暴れる事も無く、少し膨らんだ白いお腹さえも蝶は微動だにしないのでした。


今日の思い出を振り返ってみる

2018-12-19 10:46:42 | 日記
 
美湾

 行き成り方向転換するのも不自然で、相手を嫌っているようで失礼だと思いながら、それでもこのままでは真っ直ぐに彼まで直進する事になります。何故か丁度辺りに他の人影はなく、2人の間に誰......
 

 異国の旅は、異国情緒が有り良いですね。