「お前、いい加減にして置きなさい。」
思いがけず、親子2人の話していた部屋の後ろ、座敷から父方の祖母が現れて父に声を掛けました。
「あれ、お祖母ちゃん、いたの?」
急に眼に入って来た祖母の顔に、孫が問いかけると祖母は笑顔になり、にこやかに孫娘の顔を見てそうだと答えます。
「さっき来たんだよ、伯父さんの家に先に寄ってから、その帰りにここに寄ったんだよ。」
と祖母は孫娘に説明しました。父の両親に当たる祖父母は、商いをしている家でそのまま寝泊まりしていましたから、各々の息子家族とは別居して暮らしていました。
「ほら、お土産」
祖母は土産のキャラメルの大箱を、自分の顔の高さまで持ち上げると横に振って見せました。そしてわーいと嬉しそうに飛んできた孫娘に、ほいと手渡ししました。孫は大喜びです。お祖母ちゃんありがとうと、早速箱を開けようとしました。
「まぁまぁ、お母さんに見せてからにしなさい。いい子だから、その後開けようね。」と祖母が孫を制すると、孫は、「はぁーい。」と素直に返事をして一目散、台所に居るらしい母の元へと駆け去って行きました。
「さぁ、これで人払いは出来た、と。」祖母は笑顔を引っ込めると息子であり、まだまだ新米パパの彼を真顔で諭し始めました。
「お前、娘の面倒を自分で看るのはもう止めたらどうだい。」
女の子の世話は母親に任せたらどう、女同士だからね、それが良いよ。それに男のお前が何時までも女の子のあの子の面倒は見られないだろう。そう言うと、今聞いた父娘の会話についても、「私は呆れて物が言えないよ。」と言うのでした。
「幼い女の子に今聞いたような世辞追従など言われてごらん、私だったら、『このこまっしゃくれ』としか思わないよ、その子のほっぺの一つも抓りたくなるというものだ。可愛いどころか小憎らしくなるよ。」「お前が教えたような調子でいたら、あの子今に人に好かれるどころか、反対に酷い目に合うよ、可哀そうに。」と忠告するのでした。
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