「そんな人が?」
変だなぁというように父は答えると、世の中そんな女の人もいるのかなという風に解せない様子でした。父にするとそういう女性は如何にも不思議な女性の様です。
彼は、「若く見られて怒る女の人が?本当にそんな人がいたのか?」と娘に問いかけます。彼にすると本当に信じられないようでした。首を傾げてご近所の女性達の顔を思い浮かべてみます。女性達の顔には其々その為人もついて来ました。
「このご近所の人で?女の人だぞ?」
男の人じゃ無いんだな?と、彼は自分の幼い娘にそう言って確認してみましたが、娘はそうだと頷くばかりです。
「不思議だなぁ。このご近所で…。」
顎を撫でながら「解せないなぁ…」と彼は言って、ハッとしました。そして、「お前もう一度、その女の人に言った通りに、お父さんにその言葉をその通りに言ってみてくれ。」やや真顔になると、父は娘の顔を覗き込むように見て言いつけました。
「おばさん可愛い、女の子みたい。」
ふむ、と父は言うと、娘の目をじーっと見詰めて、「お前その人の事を嫌いなんじゃないか?」そうだろうと言い出しました。娘の方はどうして父にそんな事が分かったのだろうかと内心焦り、不思議に思うのですが、父から何でも正直に言うようにと躾けられている手前、やはり正直に「そうだよ。」と答えるしかないのでした。
「やはりな。」父は言うと、これで問題は解決したと言わんばかりに、「お前の顔と言葉付きにお前の相手を嫌う気持ちがよく表れている。」と言うのです。
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