Jun日記(さと さとみの世界)

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傘の思い出

2018-01-16 10:40:46 | 日記

 実は私は生来緑色は好きではなく、絵にも写生の時の植物以外は殆ど使わない色でした。勿論身の回り品にも殆ど緑色は持たず、また所持していても滅多に使用せずに過ぎましたから、それらは新しい色合いの儘に消えていったのでした。此処でこの傘の緑色を選んだのは私にすると相当な心境の変化でした。しかも気に入ったシリーズの商品の中の緑色系でした。何時もなら1番最初に外す色です。

 「子供が好きな色なので。」

おかみさんに、自身は昔から好きな色じゃないので身近な商品にこの色を選択した事が無いと四方山話すると、そう言えばお客さんは何故練馬に来たのかと理由を聞かれ、私が区役所に用事があって来た話などしている内に、離婚の届け出ですか?とか、この近辺はそんな人ばかりだとか、問わず語りで彼女と話す事になりました。私は彼女に離婚した事を言い当てられて吃驚しました。丁度ひとり親が役所へ証明書を貰いに来る時期だったからでしょう。私は、離婚したくらいだから堪えしょうがないのかもしれないと言って微笑み、今回は子供に合わせてこの色をと、最終的に緑の傘を購入すると、このお店からアーケードの通りに戻って来ました。

 未だ雨は少し降っていましたが、私は買ったばかりでもうお気に入りになったこの傘を、直ぐ雨で濡らすのが酷く勿体無くて、手にその傘を持ったまま早々に区役所へ向かったと思います。今はもう昔の事なのでよく覚えてはいません。そうですね、区役所で書類を貰っての帰り道、この日の用事が済んで気の緩んだ私は初めてこの折りたたみ傘を広げると、くるくると回しながら気分良く帰宅するために練馬駅へと向かったと思います。

 雨が降っていなければ向かわなかったアーケードのある方向、予定に無い、必要でも無い商品の購入、思いも掛けなかった系統の色合いを選んだその時の私。不思議な偶然で手に入れたこの傘は、後に海外まで私のお供をする事になります。この作品の前に書いた紀行文の中で、グリーン島の桟橋で差していた傘がこの傘でした。もう廃棄にしてしまったと思っていたのに、棚の中に存在していたなんて、私にすると本当に意外であり不思議な傘です。

                                                     傘の思い出   終


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