Jun日記(さと さとみの世界)

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美湾

2018-01-03 21:24:19 | 日記

   それは明るい虹彩でした。そしてその輝きは透明な光の線を引いて私に向かってすいすいと寄せて来るようでした。その向かって来る光の為に私は光の楽曲の世界に浸って行くのでした。

 私は紅茶に付けて来たティースプーンを取り上げると、そのスプーンの背の丸い曲線で、私の目をめがけて飛んで来る眩しい光を弾いてみました。キン!と音がしたような気がして、私は次々と寄せてくる光の矢をキンコンカンコンとはじき返します。弾く時の音はある曲を奏で始め、興に乗った私はその曲に合わせて光を弾いて行くのでした。…イメージです。

 こんな夢のようなイメージで明るい朝の光の窓辺に座っていると、直ぐに気分は軽く楽しくなり、何時しか私は時や場所を忘れてしまいました。

 「どうかしましたか。」

テーブルをトントンと同行ガイドさんに叩かれて私は我に返りました。余程興に乗っていたのでしょう、何時しか私は微笑んでいました。私はすぐ傍に立つガイドさんを見上げました。

「ああ、何だか夢中になってしまって。」

私は説明しました。

 あの海の光がまるで矢のように私に向かって飛んで来るようでとても眩しかったので、スプーンの背で弾いてみたんです。そうしたらキンと音がしたような気がして、その音で曲を奏でていたんですよ。つい夢中になってしまってと微笑みました。

 


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