Jun日記(さと さとみの世界)

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傘の思い出

2018-01-14 10:12:01 | 日記

 「お幾らですか?」

私が尋ねると、おかみさんは愛想のよい笑顔で2千円ほどの値を仰っていました。私はその金額なら出せるので1本下さいと言うと、「何方の方が似合うでしょうか?」と赤と桃色の傘を指で示しながら聞いてみました。彼女は事も無げに「何方もお客さんには似合いません。」と直ぐにすんなりと返事を返してこられました。

 私は再び驚きました。商いの常套文句にも驚いていましたが、普通は「何方もお似合いですよ。」と返事が返って来る物じゃないかなと思ったのです。集客目当ての設えとは違う商売気の無さに、おかみさんの心情を図り切れない思いでした。『商品を売りたくないのかしら?』とさえ思い、彼女の対応を怪訝に思いました。

 と、此処まで書いてくると、段々小説めいて話が長くなりそうです。元々もう昔の事でお店でのやり取りは本当によく覚えていないのです。それで、細かな話は省くことにしました。

 この後おかみさんは青い傘、緑の傘、紫や白などの其処に開いて置かれていた傘の幾つかを勧めてくださいましたが、青系は私が昔からよく所持していた品々の色合いなので気が進まないのでした。ショーウィンドゥに姿を映して見たか、又は店内に鏡があり、それに傘をさした姿を映して見たか、もう覚えていませんが、自分自身、紺系の青は顔映りが暗く、明るめの青はタコイズブルーのような感じの青になり、確かに私の顔映りは良かったのですが、中学の頃母が選んで来た傘を彷彿とさせて気が進まないのでした。

 中学の頃の傘ときたら、タコイズブルーに白い水玉模様、紺や何色かで縁どりのある傘でした。よく、雪が降っていなくても雪が降っているような模様だと友達に言われたものです。私もあまり好きではない模様だと応えると、気に入らなければ差さなければよいのにと言われ。母がせっかく買って来たから…と対応するのが私の常でした。物は大切に、親のしてくれる事だから。と、昭和一桁生まれの親の『質素・倹約』の教えの元、安売りの自分でも変に思う傘を、2、3年壊れるまで我慢して差していたのでした。


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