源の話は続きます。
「そうだよ、父さん、俺だよ。澄も傍にいるからね、後で交代するよ。」
蛍さんは話を、2人が順番に話す事を、言葉の通りそのままに鸚鵡返しに話すのでした。
「私の順番は来ないの?」
蛍さんが大人2人の話に口を挟むと、2人は困った顔をして見つめ合いましたが、源はにやにや笑うと、
「もう少しこのおじさんとおばさんに話を続けさせてね。」
と彼女に頼むのでした。大きなお兄さんとお姉さんの事だ、自分は小さいのだから仕様が無いかと、
蛍さんは自分の番が来るまで、我慢して好きな事を言うのを待つ事にしました。
源と澄の2人の話す順番が、そう長く続かない内に先程の消えた男性が帰って来ました。
「やぁ、」
待っていた大人2人に挨拶をして、何だか困ったような笑顔をしています。
「ちょっとお客さんを連れてきてしまってね。」
連れて来たというより、着いて来てしまったんだけど。此処に来た時に丁度向こうも此処に来ててね。
バッタリ顔があってしまったものだから、直ぐに話しかけて来てね、ここは何処だと言うから、
私から説明するより、身内の2人に合わせ方がいいと思ったんだよ。
「君たちも話があるんじゃないかい、お身内同士で直接の方がいいと思ってね。」
そう言って男性は、向こうに待たせてあるからと、指でお客を待たせている所を示し、源と澄に場所を教えるのでした。
「君は行っちゃだめだよ。おじさんと一緒にいようね。」
そう言われて、蛍さんは男性に足止めされてしまいます。
教えられた2人はすぐにその場所に向かって行ってしまいました。男性と蛍さんの2人が残りました。
「君は会わない方がいいんだよ。此処ではね。」
男性に言われて、蛍さんは折角の遊びが中断されてしまったので溜息を吐きます。彼女はまた退屈になってしまいました。
「退屈なら、少しおじさんと話をしていようか。」
男性が気を利かせて言います。何を話そうかな、そう言って下を見て蛍さんの描いた絵に気が付きました。
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