まだ熱っぽく頭の芯に痛みがあり、起きて動くのがおっくう、でも
退屈するからやむを得ず床から抜け出して何冊か本を抱えてまた床へ。
そして開いた歳時記にこんな俳句があって !
年よりは風邪引き易し引けば死す
詠んだのは草間時彦、逗子に住んでいたはずで、十年以上前に亡くなって
います。 死因は風邪だったのでしょうか。
年よりの風邪を詠んだ俳句はやめて子供の風邪にして、気取り直します。
子供の風邪を詠んだ俳句といわれて頭に浮かぶのは、
咳の子のなぞなぞあそびきりもなや /中村汀女
ですが今回は「風邪」に絞ります。
風邪の子や眉にのび来しひたひ髪 /杉田久女
かぜの子に敬礼をして風邪心地 /細谷喨々
風邪の子をふうつと掴みそこねたり /森賀まり
とほくから子供が風邪をつれてきぬ /鴇田智哉
この子亦髪伸びてきて風邪らしも /京極杞陽
風邪の子に屋根の雪見え雀見え /細見綾子
風邪の子の枕を噛んで起き上り /野見山朱鳥
風邪の子の手足よごれてあはれなり /伊藤左千夫
当然まだありますが、それもきりもなや、ですので……。