花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

「西洋絵画、どこから見るか?」展のジョット作品は貴重だ!

2024-12-01 21:51:13 | 展覧会

国立西洋美術館に置いてあった「西洋絵画、どこから見るか?」展のチラシ(コターンとカペ作品のみ)を見ると、あまり脚光を浴びていないようなので、老婆心ながらちょっと触れておきたい

私見ではあるが、この展覧会で多分一番貴重な作品は、ジョット《Polittico Baroncelli(バロンチェッリ多翼祭壇画)》の尖頭部分だと思う。だって、一部とはいえジョット(&工房(タデオ・ガッティ))の祭壇画なのだよ~ 祭壇画本体はイタリアの国宝級なのだから。

ご参考:https://it.wikipedia.org/wiki/Polittico_Baroncelli

ジョット(&工房)《父なる神と天使(「バロンチェッリ多翼祭壇画」尖頭部分)》(1328-35年頃)サンディエゴ美術館

ジョット(&工房)《Polittico Baroncelli(バロンチェッリ多翼祭壇画)》(1328-35年)サンタ・クローチェ教会

※ご参考:(拙ブログ)ミラノ「ジョット展」サクッと感想

https://blog.goo.ne.jp/kal1123/e/112107cc63b2fe56a8b2bdc05c285a3e

皆々様、来日展示の折は、(異論はあっても)ジョット様を粗末にしてはなりませぬよ



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3 コメント

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クリヴェッリの聖母子も来日! (むろさん)
2024-12-01 23:52:53
情報ありがとうございます。
どんな展覧会なのかと思い、西美のHP中の同展予告に出ていた公式サイト(下記URL)へ飛んだら、なんとクリヴェッリの聖母子の写真が! この作品はZampettiのカタログレゾネでクリヴェッリのごく初期の作品として紹介されている絵であり、当然真筆です。
https://art.nikkei.com/dokomiru/highlight/

Zeriの作品カタログでは下記URL(jpをitに置き換えてください)。
https://catalogo.fondazionezeri.unibo.jp/scheda/opera/22310/Crivelli%20Carlo%2C%20Madonna%20con%20Bambino

最近西洋美術関係では見たい展覧会がなくて、ほとんど美術館へは行っていない日々でしたが、これで一気にやる気が出てきました。

ついでながら、ジヨットの絵のチマーザについては、これからRizzoli(私のは米国Abrams版)の本など手持ち資料で調べてみます。
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クリヴェッリの件 (むろさん)
2024-12-02 23:37:25
昨日クリヴェッリの聖母子が来日する件を投稿しましたが、その前の日に別項目のコメント投稿で山科さんとこの件についてやり取りをされていたのですね。実は30日が私の誕生日であり、いろいろ忙しかったためにこのコメントは読んでいなくて、自分の投稿を出した後にこのやり取りを拝見しました。

というわけで、山科さんがご紹介された2冊の本(RizzoliとLightbown)のことも含めて追加投稿をします。
手持ちのクリヴェッリ関係の本(コピーも含め)を確認したところ、次の4冊にこの絵の解説が出ていました。古い順に Rizzoliカタログ,AnnaBovero著1975、Zampetti著カタログレゾネ1988、R. Lightbown著研究書2004、イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館特別展Ornament & Illusion展図録2015

Ornament & Illusion展は同館所蔵の聖ゲオルギウス修復記念の展覧会で、今回西美に来るサンディエゴの聖母子も出品されています。

山科さんとのコメントやり取りでは、この絵について制作年代の議論をされているようですが、上記の4冊では(上の本の記載順に)1460年頃、1460年頃、1470年代(モンテフィオーレ祭壇画と同じ頃)、1468年頃 となっています。

60年代の制作か70年代の制作かは、ヴィヴァリーニかスキアヴォーネの工房と関係を持っていたかどうかに関係する問題なので、今後これらの本の内容はじっくり検討しようと思っています。なお、この件に関し、早稲田大学の美術史研究第15冊(1978)に掲載された「カルロ・クリヴェッリの署名―最晩年の作品の制作年推定」(篠塚二三男)に時期による署名の書き方の変化を研究した論考が出ていて、この中でサンディエゴの聖母子は制作年の書かれていない「署名のみの作品」として分類されB-4という番号が付けられていますが、同氏は署名の形式から「1472~3年頃と思われる」としています。

日本語で書かれたクリヴェッリの本は3冊ありますが、トレヴィㇽ画集(吉澤京子著)1995ではサンディエゴの聖母子は記載なし(ヴェローナの受難の聖母子が最も古い作品とする)、石井曉子の講談社 マルケに埋もれた祭壇画の詩人 では、受難の聖母子とともに1460年の制作年・署名入りの作品にしていますが、実際には両者とも署名のみで制作年は書かれていないため著者の誤認です(石井氏のもう一冊の本「カルロ・クリヴェッリの祭壇画」2013でも作品年表で1460年としています)。

今回私がこのサンディエゴの聖母子の写真を見ていて思ったのは、ボッティチェリやフィリッポ・リッピの絵で感じている「初期の頃はふくよかで童顔だった女性像が年がたつに連れて細おもてに変化してくる」という感覚がクリヴェッリでも同様なのか、と思ったことです。そして以前のコメントで書いたクリヴェッリがフィリッポ・リッピの影響を受けた可能性(下記URL)を思い出し、リッピの絵でこれと似たようなもの(例えば2016年の都美ボッティチェリ展に出品されたヴィチェンツァ市民銀行の聖母子、以前はプラートにあったもの 下記URL;jpをitに置き換えてください)をクリヴェッリが見て影響を受けたのではないか、ということです。このことも今後考えていこうと思っています。
https://blog.goo.ne.jp/kal1123/e/2217c61de12f5861e6310f2d54a32f02#comment-list
https://catalogo.fondazionezeri.unibo.jp/scheda/opera/13639/Lippi%20Filippo%2C%20bottega%2C%20Madonna%20con%20Bambino

上記4冊のサンディエゴの聖母子解説は近いうちに(2つはイタリア語なので)インターネット翻訳をしようと思っています。その時にはあらためて投稿します。また、ライトボーンの著書について、なぜボッティチェリではカタログレゾネを書いたのに、クリヴェッリでは(研究書のみでカタログレゾネを)書かなかったのかなど、思っていることもいろいろありますが、長くなったのでこの辺は次にします。
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クリヴェッリ 動画 (山科)
2024-12-03 06:01:13
>むろさん さんへ
>クリヴェッリの件... への返信

資料 ありがとうございました。
このクリヴェッリ作品については、幸い、なかなか良いYoutube動画がありました。
Shedding New Light on a Renaissance Master - Carlo Crivelli, San Diego Museum of Art
  youtu.be/I6z7LlOrlO0

 わりとわかりやすい英語だと思います。米国の場合ひどい方言がありますから。
これでみると、下書きの線はペンで入念に書いているようで、ヒエロニムス・ボス「快楽の園」のような筆でざっと書いているものとは違い、むしろハンス・メムリンクの「最後の審判」(グダニスク)の下書きに近いようです。
 油絵の具は、透明性を利用して極一部に使用しているようですね。
 聖母の衣のリペイントが言及されてますが、聖母の青い衣は変色したり剥落したりしているケースがかなり多いようなので、やむを得ないところがあるかもしれません。
 ひどい損傷の多いクリヴェッリの作品の中では、保存の良いほうではないか、と思います。
でも、虫食い穴については、やはりあったんだなあ、と感じるところです。
ボッテチェルリ「春」の古いカラー写真に虫食い穴をみたときのことを思い出しました。
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