時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

王妃の離婚 47

2010-04-01 | 読書
1498年
フランス
時の王ルイ12世が
王妃ジャンヌ・ドゥ・フランに対して起こした
離婚訴訟

王ルイ12世の思惑通りに進むかと思われたが
意外にも
王妃ジャンヌ・ドゥ・フランスは
徹底抗戦の構えを示す
とは言え
弁護士はルイ12世の権力を恐れ
まともに弁護する気はサラサラなく
弁護側証人がルイ12世側に寝返る始末
公平を謳った裁判とは裏腹に
総てが
検事側の段取り通りの汚い裁判だった

王妃ジャンヌ・ドゥ・フランスの父
悪名高い暴君ルイ11世に
人生の奈落に突き落とされ
地方の弁護士となったフランソワだったが
あまりにも酷い
裁判の不正に
弁護士としての怒り爆発!?

インテリは
権力に屈したら終わりだ
意味がなくとも常に逆らわねばならない


弁護士としての正義・誇り
そして愛のため

窮地に追いやられ
絶対絶命の王妃ジャンヌ・ドゥ・フランスの
弁護人として
辣腕の弁護士フランソワが
絶大なる権力者ルイ122世に完全と立ち向かう

それは
パリ大学法学部にその人ありと謳われた
自らの青春を取り戻すためでもあった…


プロローグ
第一章 フランソワは離婚裁判を傍聴する
第二章 フランソワは離婚裁判を戦う
第三章 フランソワは離婚裁判を終わらせる
エピローグ

と言う構成です

舞台『ヘンリー6世』を観劇後
読んでみようかと思った次第です
『英仏百年戦争』を読んで
この頃の覇権と云うか
ヨーロッパ中世の家系を
予備知識として
頭に入れておいた方が良かったかな?
とも思いましたが
そんなことはまるでなく…

ルイ12世曰く
『そもそも
 前王である暴君ルイ11世に強制された結婚であり
 王妃が醜いからもともと結婚などしていない』

なんて事を言っておりますが
実は
見目麗しい某領地の未亡人と結婚して
領地もろとも自分のモノにしたいが為の
王妃追い出し計画なのであります

世間もその辺の事は当に承知しており
庶民も
王妃に同情的なんですけど
権力にはなかなかねぇ~

そんな所に
フランソワが
弁護人として登場した途端
形勢逆転
世論を見方につけ
辣腕を振るうその勇士
権力相手に
法律と世論と理論と口承術で
法廷が沸き返る

フランソワは
舞台で演ずる饒舌な役者のようでした

彼自身の過去も
王妃と関係なくもない!
パリ・学生街カルチェ・ラタンでの
最愛の女性・ベリンダとの暮らしと別れ
王妃の警固隊長であり
リベンダの弟でもあるカニンガムとの再開
自分と同じ名前の青年
パリ大学の学生フランソワの出現

王妃から語られる
フランソワと引き離された
リベンダのその後の人生…

どれもこれも
まぁ~
キチンと背景があって
ストーリーの運びも実に巧妙
クライマックスで明らかにされるエピソード
フランソワと王妃の…

何より
結末が小気味良い
爽快爽快

事の顛末を知りたければ
是非
読んでみて下さい!

パリの6区とかセーヌ川とか
戻りたいとは
全然思わないけど
懐かしいなぁ~


日本が一番好きだぁ~