11月7日に読み終わり、本も図書館に返してしまったので、印象が薄らいでいるところも
ありますが、とても興味深い本でした。特に記憶のある美智子皇后の児童図書の世界大会での基調講演を
手がけたところなど読みでがありました。
まるたけさんのブログで末盛さんの本の紹介があり、10月に図書館から末盛さんの本を3冊借りてきて、その中の1冊を読みました。
「私」を受け容れて生きる -父と母の娘-
母から「橋を架ける」をもらって読んだり、ターシャ・チューダーの絵本で末盛さんのことは知っていました。
でも舟越保武氏のお子さんであったり、あの大好きなTV番組「夢で逢いましょう」のディレクターと結婚されていて、
早くにご主人を亡くされ、出版社を立ち上げ、障がいの残るお子さんを育て、後年古くからの友人と出会い、再婚され
看取られたことを知りました。
古くからの友人との運命的な再会して、孤独の中から信仰を取り戻させ、彼方の世界に旅立たせてあげたという ・・・
私自身も古くからの友人と再会して、連絡が取れなかった1週間、こんなに心配した友人がいたなんて自分でもその存在の
大切さに驚いていました。心配する人がいることは幸せだという直近で見た映画”The Whale”の台詞を思い出します。
末盛さんの心身に秘められたたわんでも折れないしなやかな復元力に励まされます。谷川俊太郎
末盛さんのエッセイを読んでいると、家族のにおいを感じます。私たちが子供だった頃の時代。
メッサーレース刺繍、イルゼ・ブラッシ、渡辺イルゼ あの時代。編み物をして、刺繍をして。
本の中に渡辺イルゼの名前が挙がっていたので懐かしく思い出しました。
さりげない父親とのやり取りなど、自分のことと重ね合わせ胸が熱くなりました。
彼女が最後の方で引用した尾崎喜八の詩「されど同じ安息日の夕暮れに」の一節と共に
書かれた言葉が印象的でした。
しかしその年老いた今日の私を
お前が憐み、いとおしむのはまだ早い。
私はこうして、ここにまだ在る。
まだいくらかの仕事の日々も許されている。
しかし、しかし、そういう私の存在が
やがて懐かしいこの世から消えた時、
或る春の同じ安息日の夕暮れに
お前はふと私の訪れを空気に感じて、
同じコラールを、花の窓べに。
一層深い思いで弾いてくれるだろうか。
私たちはみんな、一人の例外もなく、この世を去っていく。そして心ならずも道半ばで先に逝った人のことを
思って「これでよかったのでしょうか」と問いながら生きて行くのだ。それでも親しい誰かの死にあって辛いのは
その人なしで世界が、身の回りがどんどん生きて変化していってしまうことではないだろうか。季節の移り変わり
さえもが悲しむ人にとっては悲しいのではないだろうか。
著書「出会いの痕跡」の著者プロフィール