1月10日
東京芸術大学音楽学部学理科主催、自由と平和のための東京藝術大学有志の会共催の「芸術と憲法を考える連続講座」
第25回に行ってきました。イタリア語とベルカントでご一緒のSさんが以前、望月衣塑子さんや元NHKの永田浩三氏の
話を聞いてとても面白かったということで教えていただいた会です。平田オリザさんのお話があるというので是非お聞き
したいと思いました。
もしウィーンに行くとすれば、見ておきたいハプスブルグ展。
夜の上野公園を突っ切って芸大に向かいました。
残念なことにこの連続講座は第27回で修了するというアナウンスが最後に在りました。芸大主催と言うのが難しく
なってきたのでしょうか・・
タイトルは「憲法と文化政策」
平田氏が世界(ヨーロッパが多い)での仕事を通して、日本の文化政策の遅れを語りました。
最初にイランのことに少し触れて、イランは文化的水準が高く、ヨーロッパの人たちは重要性を知っていて
文化的には結び付いていたいと思っているとのことでした。
各国での活動、上演を通して、得たものはとても興味深かったです。
ハンブルグの公共ホールからオペラの依頼をされて福島を舞台の作品を上演。ドイツ人は舞台には出ていなかった
けれど億単位の費用がかかっている。日本の場合は日本の税金を使えば、どうして日本人を出さないのかと言う
圧力がかかる例がある。
またハンブルグ市はオリンピックの招致を最終的に国民(市民?)投票て否決し、オペラハウスを建てた。
一時的な経済効果でなく、これから本当に必要なことにかける賢明な選択に思わず拍手を送りたくなった。
ヨーロッパでは国を超えて、人類の財産と言う考え方があり、税金を使ったものは商業的に成立しなくてもいい。
フランスからの依頼では宮沢賢治「銀河鉄道の夜」をベースにした「幕が上がる」を上演している最中に3.11があり
パリに戻って上演の時に多くの人たちから被災者への支援が送られたエピソードが紹介された。
また、どんな時でも芸術活動は自粛すべきではない。人を救うものは何かを思います。もちろんパンは必要ですが
パンのみにて生きるに非ずです。あの時海外から送られてきたものに色鉛筆かクレパスかがあったことを
日展の記念講演の時に聞いたことがあります。
日本の文化的な厚みのなさを感じる。
最悪の例は昨年の愛知トリエンナーレ「表現の不自由展」海外ではもう愛知には出さないという人が多い。何と
タイトル通りになってしまったことが記憶に新しい。
平田氏は大阪で維新・橋下時代にファシズムが育つのを見てきたと話されていました。彼は文楽の予算を切った
ことを始めて知りました。ドナルド・キーンは日本の恥と言ったそうです。
憲法25条は9条と並んで制定当時世界最先端の条項だったとのことです。日本人の手で作られました。
にもかかわらず・・・
日本の文化予算は存続にのみで発展をさせていない。これは緩慢なる文化破壊。
日本の文化予算は先進国の1/4、フランや韓国の1/10だそうです。
日本では文化的な最低限度の生活、権利が保障されていない。チケットの高さ。これでは高収入か、
よっぽど好きな人しか行けない。
健康は健康保険、経済的も何とか保障されているけれど、文化的には遅れている。
30代・40代の死因のトップは自殺で休職者のほとんどは心の病。
心についてお金を使っていない。技術が享受できるように企業がもっと負担する必要がある。
健康、経済、そして心のケアがなければ人間は生きて行けない。
獅子舞が復活したところから、ポジティブな考えで住民がまとまり、より高い場所へ集団で住居を
移していったという。被災地の支援、人間が生きていく上にどれだけ文化が必要なことか・・
芸術の役割
① 芸術そのもの
② コミュニティ形成や維持のための役割
町からコミュニケーションの場がなくなっていく。
東京では教育が壊れて行っている。私立に流れ、地域の交流・多様性が無くなる。
無意識のセーフティ・ネットが無くなってきている。
地方の壊滅
市場原理 - 思想統制
地方では大型店が出店して、その土地の商店や産業を壊して、して退店して荒れている
所が多くみられると。
フランスではアマゾン法と言う法律ができて、地方都市の文化発展のために本屋を守ったとのこと。
本屋は本を売るだけではない。
コミュニティスペースがなくなっていく。経済が発展しても社会が壊れてしまっては意味がない。
青少年の居場所・交流の場が少なくなってきている。
市場原理だけで街を拡大した渋谷では、社会的弱者の居場所がなくなり、反社会的集団を作ってしまった。
図書館のこれからの役割は大きい。
公共的文化施設が居場所として、社会の接点として機能。
ゆるやかなネットワークには文化活動が役に立つ。芸術文化による交流の空間をつくる。
ヨーロッパではホームレスプロジェクトがあり、シャワーを浴びて、音楽やアートの鑑賞ができるように
している。炊き出しだけは本質的な解決にならない。mindの問題。
また失業者割引もある。働く気力が持てるように助けている。他人の笑顔が自分の幸せになる体験。
日本だったら失業中なのに芸術を鑑賞なんてという感覚。
中高年のひきこもりも多いという日本。
余談ですが、オリザと言うお名前は本名でドイツ語で稲と言う意味だそうです。
文化による包摂
日本は最も人間が孤立しやすい国になっている。
社会包摂 social inclusion
人間を孤立させない。
セーフティネット 文化やスポーツ、趣味でつながる新しい共同体。
dialogue
演劇の重要性
dialogue は演劇の言葉と出てくる。話し言葉で成立する演劇。
海外では音楽、美術と並んで演劇が教育に入っているとのことです。
話し言葉、対話
対話と会話 日本では会話がほとんど。ヨーロッパでは異なる文化が隣り合わせで説明が必要で
対話力が身についている。
1919年のパリ講和会議で対話のできない国ドイツ、イタリア、日本がファシズムを生む。
国歌と統一が遅れた3国。
対話はAとBが話しCを作る。
ギリシアで哲学と演劇と民主政治は同時期に発生。民主主義の為には対話が必要。
ネットで調べたら人事労務用語辞典で
「一般に「対話、対談」と訳されますが、人材育成や組織開発の分野で用いられる「ダイアローグ」(dialogue)とは、
たんなる情報のやりとりではなく、話し手と聞き手とが理解を深めながら、互いに共感や意識・行動の変化を引き出し合う
創造的なコミュニケーションのあり方を指します。近年、組織における学びや創造、問題解決、ビジョンの共有などに有効な
アプローチとして注目を集めています。」と出ていました。
最後に最初に紹介した宮沢賢治の言葉で締めました。地方再生。今こそ宮沢賢治が必要。
最初に紹介した賢治の言葉
途中たくさんの拍手もありましたが、平田氏は立候補する気持ちはありませんからと笑っていました。
時間がもう無くなって、司会者が質疑はどうしようと言っているときに平田氏は受け付けましょうと
いくつかの質問に答えていました。
その中でどうして豊岡に住まれているのですかと言うものがあり、
開学予定の演劇大学の準備など「キャリアの集大成」となる事業に取り組むためで、風土も好きそうです。
最後にも演劇の役割を語っていました。演劇は多文化共生して居場所を作りやすい。人との接点を持つ、
他者と接触する、個と個が出会うことの重要性。
私自身も振り返ると居場所のない無職老人となってしまいましたが、文化によるつながり、積極的に続けて
行こうと思いました。居場所の問題は年令を問わず、日本の重要な課題となりました。芸術が人々に居場所を与える。
休憩時間中にオリザさんの本を買いました。
「わかりあえないことから」
Jan.10 2020 Ueno
次回のユン・ドンジュはぜひ行きたいけれど、次々回もこの会が最後となればできるだけ行ってみたいと思っています。
オリザさんの話を聞いて、日本と韓国のことも歴史の真相ってなかなかわからないけれど知らないことが多いと思いました。
歴史を知らないと今起きている問題も語れません。
東京芸術大学音楽学部学理科主催、自由と平和のための東京藝術大学有志の会共催の「芸術と憲法を考える連続講座」
第25回に行ってきました。イタリア語とベルカントでご一緒のSさんが以前、望月衣塑子さんや元NHKの永田浩三氏の
話を聞いてとても面白かったということで教えていただいた会です。平田オリザさんのお話があるというので是非お聞き
したいと思いました。
もしウィーンに行くとすれば、見ておきたいハプスブルグ展。
夜の上野公園を突っ切って芸大に向かいました。
残念なことにこの連続講座は第27回で修了するというアナウンスが最後に在りました。芸大主催と言うのが難しく
なってきたのでしょうか・・
タイトルは「憲法と文化政策」
平田氏が世界(ヨーロッパが多い)での仕事を通して、日本の文化政策の遅れを語りました。
最初にイランのことに少し触れて、イランは文化的水準が高く、ヨーロッパの人たちは重要性を知っていて
文化的には結び付いていたいと思っているとのことでした。
各国での活動、上演を通して、得たものはとても興味深かったです。
ハンブルグの公共ホールからオペラの依頼をされて福島を舞台の作品を上演。ドイツ人は舞台には出ていなかった
けれど億単位の費用がかかっている。日本の場合は日本の税金を使えば、どうして日本人を出さないのかと言う
圧力がかかる例がある。
またハンブルグ市はオリンピックの招致を最終的に国民(市民?)投票て否決し、オペラハウスを建てた。
一時的な経済効果でなく、これから本当に必要なことにかける賢明な選択に思わず拍手を送りたくなった。
ヨーロッパでは国を超えて、人類の財産と言う考え方があり、税金を使ったものは商業的に成立しなくてもいい。
フランスからの依頼では宮沢賢治「銀河鉄道の夜」をベースにした「幕が上がる」を上演している最中に3.11があり
パリに戻って上演の時に多くの人たちから被災者への支援が送られたエピソードが紹介された。
また、どんな時でも芸術活動は自粛すべきではない。人を救うものは何かを思います。もちろんパンは必要ですが
パンのみにて生きるに非ずです。あの時海外から送られてきたものに色鉛筆かクレパスかがあったことを
日展の記念講演の時に聞いたことがあります。
日本の文化的な厚みのなさを感じる。
最悪の例は昨年の愛知トリエンナーレ「表現の不自由展」海外ではもう愛知には出さないという人が多い。何と
タイトル通りになってしまったことが記憶に新しい。
平田氏は大阪で維新・橋下時代にファシズムが育つのを見てきたと話されていました。彼は文楽の予算を切った
ことを始めて知りました。ドナルド・キーンは日本の恥と言ったそうです。
憲法25条は9条と並んで制定当時世界最先端の条項だったとのことです。日本人の手で作られました。
にもかかわらず・・・
日本の文化予算は存続にのみで発展をさせていない。これは緩慢なる文化破壊。
日本の文化予算は先進国の1/4、フランや韓国の1/10だそうです。
日本では文化的な最低限度の生活、権利が保障されていない。チケットの高さ。これでは高収入か、
よっぽど好きな人しか行けない。
健康は健康保険、経済的も何とか保障されているけれど、文化的には遅れている。
30代・40代の死因のトップは自殺で休職者のほとんどは心の病。
心についてお金を使っていない。技術が享受できるように企業がもっと負担する必要がある。
健康、経済、そして心のケアがなければ人間は生きて行けない。
獅子舞が復活したところから、ポジティブな考えで住民がまとまり、より高い場所へ集団で住居を
移していったという。被災地の支援、人間が生きていく上にどれだけ文化が必要なことか・・
芸術の役割
① 芸術そのもの
② コミュニティ形成や維持のための役割
町からコミュニケーションの場がなくなっていく。
東京では教育が壊れて行っている。私立に流れ、地域の交流・多様性が無くなる。
無意識のセーフティ・ネットが無くなってきている。
地方の壊滅
市場原理 - 思想統制
地方では大型店が出店して、その土地の商店や産業を壊して、して退店して荒れている
所が多くみられると。
フランスではアマゾン法と言う法律ができて、地方都市の文化発展のために本屋を守ったとのこと。
本屋は本を売るだけではない。
コミュニティスペースがなくなっていく。経済が発展しても社会が壊れてしまっては意味がない。
青少年の居場所・交流の場が少なくなってきている。
市場原理だけで街を拡大した渋谷では、社会的弱者の居場所がなくなり、反社会的集団を作ってしまった。
図書館のこれからの役割は大きい。
公共的文化施設が居場所として、社会の接点として機能。
ゆるやかなネットワークには文化活動が役に立つ。芸術文化による交流の空間をつくる。
ヨーロッパではホームレスプロジェクトがあり、シャワーを浴びて、音楽やアートの鑑賞ができるように
している。炊き出しだけは本質的な解決にならない。mindの問題。
また失業者割引もある。働く気力が持てるように助けている。他人の笑顔が自分の幸せになる体験。
日本だったら失業中なのに芸術を鑑賞なんてという感覚。
中高年のひきこもりも多いという日本。
余談ですが、オリザと言うお名前は本名でドイツ語で稲と言う意味だそうです。
文化による包摂
日本は最も人間が孤立しやすい国になっている。
社会包摂 social inclusion
人間を孤立させない。
セーフティネット 文化やスポーツ、趣味でつながる新しい共同体。
dialogue
演劇の重要性
dialogue は演劇の言葉と出てくる。話し言葉で成立する演劇。
海外では音楽、美術と並んで演劇が教育に入っているとのことです。
話し言葉、対話
対話と会話 日本では会話がほとんど。ヨーロッパでは異なる文化が隣り合わせで説明が必要で
対話力が身についている。
1919年のパリ講和会議で対話のできない国ドイツ、イタリア、日本がファシズムを生む。
国歌と統一が遅れた3国。
対話はAとBが話しCを作る。
ギリシアで哲学と演劇と民主政治は同時期に発生。民主主義の為には対話が必要。
ネットで調べたら人事労務用語辞典で
「一般に「対話、対談」と訳されますが、人材育成や組織開発の分野で用いられる「ダイアローグ」(dialogue)とは、
たんなる情報のやりとりではなく、話し手と聞き手とが理解を深めながら、互いに共感や意識・行動の変化を引き出し合う
創造的なコミュニケーションのあり方を指します。近年、組織における学びや創造、問題解決、ビジョンの共有などに有効な
アプローチとして注目を集めています。」と出ていました。
最後に最初に紹介した宮沢賢治の言葉で締めました。地方再生。今こそ宮沢賢治が必要。
最初に紹介した賢治の言葉
途中たくさんの拍手もありましたが、平田氏は立候補する気持ちはありませんからと笑っていました。
時間がもう無くなって、司会者が質疑はどうしようと言っているときに平田氏は受け付けましょうと
いくつかの質問に答えていました。
その中でどうして豊岡に住まれているのですかと言うものがあり、
開学予定の演劇大学の準備など「キャリアの集大成」となる事業に取り組むためで、風土も好きそうです。
最後にも演劇の役割を語っていました。演劇は多文化共生して居場所を作りやすい。人との接点を持つ、
他者と接触する、個と個が出会うことの重要性。
私自身も振り返ると居場所のない無職老人となってしまいましたが、文化によるつながり、積極的に続けて
行こうと思いました。居場所の問題は年令を問わず、日本の重要な課題となりました。芸術が人々に居場所を与える。
休憩時間中にオリザさんの本を買いました。
「わかりあえないことから」
Jan.10 2020 Ueno
次回のユン・ドンジュはぜひ行きたいけれど、次々回もこの会が最後となればできるだけ行ってみたいと思っています。
オリザさんの話を聞いて、日本と韓国のことも歴史の真相ってなかなかわからないけれど知らないことが多いと思いました。
歴史を知らないと今起きている問題も語れません。