碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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ドラマ『熱海の捜査官』の“遊びごころ”

2010年08月17日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

それにしても、連日の猛暑。

暑中お見舞い申し上げます。


さて、『日刊ゲンダイ』に連載中のコラム「テレビとはナンだ!」。

今週の掲載分は、テレ朝のドラマ「熱海の捜査官」についてです。


見出し:

「熱海の捜査官」は遊び心満載のドラマだ

コラム本文:

テレビ朝日「熱海の捜査官」が、じわじわと面白さを増殖させている。

主演のオダギリジョーは「FBIのようなもの」だという広域捜査官。

3年前に熱海で起きた女子高生失踪事件を追っている。

舞台が池袋でも木更津でも東京スカイツリーの押上でもなく、往年の観光地・熱海というのがすでに笑える。

オダギリジョーと三木聡監督のコンビといえば、やはり「時効警察」シリーズ。

「時警」ファンは、この新作を「なんか違う」と言うだろうが、気にしなくていい。

「時警」の続編を避け、また一話完結ではなく続き物にしたことも、警察ドラマの新たな“遊び方”に挑戦している証拠だ。

このドラマを見ていて思い浮かぶのは「ツイン・ピークス」である。

限定された舞台。怪しい登場人物たち。複雑な人間関係。

オダギリジョーはFBI特別捜査官クーパーで、警察署長の松重豊は保安官トルーマンだ。

「ダブルRダイナー」みたいな店には小島聖のウエイトレスもいる。

そして消えた4人の女子高生がローラ・パーマーだ。

その中の1人が突然生還したことで、寛一・お宮の熱海は、アメリカ北西部の田舎町ツイン・ピークスと化してしまった。

そう、事件は解決なんかしなくていい。

増えるばかりの謎と深まる一方の混迷の中、オダギリジョーにはひたすら熱海を漂い続けてほしいのだ。

(日刊ゲンダイ 2010.08.17付)


このドラマを担当している、テレ朝の大江達樹プロデューサーから、メールが届いた。

一部抜粋すると・・・・

日刊ゲンダイのコラム読みました。

さすが、先生!
鋭いですねぇ。

「熱海の捜査官」は、
「ツインピークス」の他にも、
「犬神家」「ピンクパンサー」など
往年の名作のオマージュが散りばめられ、
分かる人には分かる、
分からない人は分からなくていい、
という不親切なドラマになっています。

ですので、
視聴率は想定の範囲内です(笑)。


・・・・だそうです。

どんどん不親切にやって下さい(笑)。