碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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プチ国民的女優の「民放連ドラ」初主演

2011年01月18日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「テレビとはナンだ!」。

1月の前半はお正月と成人の日があったため、掲載は今週からとなります。

今年の初回に書いたのは、フジテレビ「CONTROL~犯罪心理捜査」。


松下奈緒の民放の主演ドラマ選びは正しかった

「ゲゲゲの女房」のヒット、「紅白歌合戦」の司会と波に乗る松下奈緒。

プチ国民的女優となった彼女の「民放連ドラ初主演作」選びは難しかったと思う。

だが、その選択は間違っていなかった。

先週から始まったフジテレビ「CONTROL~犯罪心理捜査」の松下は周囲も持て余す熱血刑事。

「凶行犯捜査課」分室のお飾り室長として偏屈な心理学教授(藤木直人)と組まされるが、この設定が実に上手い。

本当は捜査の第一線に立っていたい松下は、捜査課の面々から“預かり物”“お荷物”と思われている藤木のお世話係だ。

しかし、その藤木の心理学的アプローチは天才的。

被害者の両親が何かを隠していることを指摘し、事件の解決に結びつく。

今後も捜査陣が誤った方向へ走るのを尻目に、藤木と松下が思わぬ糸口を見つけていくはずだ。

このドラマ、基本的なストーリーがよく練られているのに加えて松下と藤木の人物像が好ましい。

二人の役者の個性(持ち味)が役柄に反映されているからだ。

おかげで特殊な立場なのに言葉や行動が自然な感じがする。

米国製ドラマの影響で「心理捜査」や「犯罪行動分析」をうたう警察ドラマが乱立する今期。

北川景子がFBI帰りの心理捜査官を演じる「LADY~最後の犯罪プロファイル」(TBS)のような“無理筋”もある中で、やはり光る1本だ。
(日刊ゲンダイ 2011.01.17)