週刊新潮に、以下の書評を寄稿しました。
中村実男
『昭和浅草映画地図』
明治大学出版会 2700円
映画を「風景の記憶装置」と捉える明大教授が、浅草の歴史と変化をたどる。たとえば川島雄三が『とんかつ大将』で描いた戦後復興期の裏長屋。また大林宣彦が『異人たちとの夏』で見せてくれた昭和末期の六区。浅草には懐かしくて切ない物語がよく似合う。
神長幹雄
『未完の巡礼~冒険者たちへのオマージュ』
山と渓谷社 1836円
元『山と溪谷』編集長が描く、還らなかった登山家、冒険家、写真家の肖像6編。彼らはなぜ命がけの挑戦を続けたのか。植村直己、長谷川恒男、星野道夫などの足跡を求めてアラスカやヒマラヤを歩き、その肉声を手記や生前のインタビューで甦らせている。
(週刊新潮 2018年4月26日号)