碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

小中陽太郎先生に、合掌。

2024年12月03日 | 日々雑感

2024.12.03

 

 

小中陽太郎先生が

今日(3日)の午前中に亡くなった、

という報道がありました。

 

最初に

お会いしたのは

私がテレビマンユニオンに参加した

1980年代初期。

 

なぜか

若造の私を可愛がってくださり、

番組制作者だった頃も

大学教員の時代も

ずっと変わらず、

ふとした時に

お電話をいただき、

明るい笑い声と共に

何かと

アドバイスしていただきました。

 

「先生」と呼んで

接してきた方々が

こうして

いなくなってしまうのは

寂しいことですが、

これまでも

これからも

私にとっては

ずっと「小中先生」です。

 

小中先生、

ありがとうございました。

合掌。

 

*******

 

小中 陽太郎さん(こなか・ようたろう=作家)

3日午前11時21分、老衰のため東京都内の自宅で死去、90歳。

神戸市出身。

葬儀は6日午後1時30分から

東京都目黒区目黒3の4の5の日本基督教団中目黒教会で。

喪主は妻はるみさん。  

東京大卒業後、NHKに入局し番組制作に携わった。

64年の退局後は、フリーのライターとしてルポルタージュや評論を執筆。

「ベトナムに平和を! 市民連合」(ベ平連)の活動にも参加した。

米ニューヨーク市立大や中部大などで教えたほか、日本ペンクラブ専務理事も務めた。

13年に「翔べよ源内」で野村胡堂文学賞を受賞。 

(時事通信 2024.12.03)

 


【新刊書評2024】 石井光太『本を書く技術』ほか

2024年12月03日 | 書評した本たち

 

 

「週刊新潮」に寄稿した書評です。

 

石井光太『本を書く技術~取材・構成・表現

文藝春秋 1760円

著者は『こどもホスピスの奇跡』などで知られる作家。創造活動を支える思想と技術を開陳したのが本書だ。ノンフィクションに不可欠な要素が三つあるという。独自の視点、構成力、そして普遍性だ。具体的な方法論としては、対象が常識や制度を超えた人物・出来事であることや、タブーに踏み込むことなどを挙げる。ノンフィクションを書こうとする人はもちろん、読む側にも大いに参考となる。

 

本間ひろむ

『日本の指揮者とオーケストラ~小澤征爾とクラシック音楽地図

光文社新書 968円

山田耕筰は大正8年にニューヨークのカーネギーホールの指揮台に立った。そのニュースに触発されて指揮者を目指した朝比奈隆は、京都帝大で音楽部に所属する。大正13年、日本人として初めてベルリン・フィルを振ったのは近衛秀麿。それから42年後、齋藤秀雄門下の小澤征爾がこの名門管弦楽団で指揮者デビューを果たした。日本の西洋音楽を牽引した指揮者たちとオーケストラの歴史物語だ。

 

橋爪大三郎

『上司がAIになりました~10年後の世界が見える未来社会学

KADOKAWA 1870円

マルクスの『共産党宣言』に倣えば、「生成AIという妖怪が世界をさまよっている」。社会学者である著者が、この新技術は新しい未来をつくり出す可能性があるかを考察する。会社ではマネジメントの自動化・無人化が進む。教育現場では生成AI教育ソフトの導入で学年制が消滅。さらに国際社会は世界共通法と移動の自由によってフラット化されるという。それはユートピアか、それとも…。

(週刊新潮 2024.11.28号)