碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「西園寺さんは家事をしない」一見、適温のラブコメだが・・・

2024年07月24日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

一見、適温のラブコメだが・・・

松本若菜主演

「西園寺さんは家事をしない」

 

猛暑の中、暑苦しい恋愛ドラマは見たくない。その意味で、松本若菜主演「西園寺さんは家事をしない」(TBS系)の温度と湿度は好ましい。

アプリ制作会社で働く西園寺一妃(さいおんじ いつき、松本)は38歳の独身。仕事は好きだが、家事は大嫌い。

最近、家賃収入が見込める賃貸付き物件の中古住宅を購入。家事ゼロの日常を目指してリニューアルしたばかりだ。

ところが、その賃貸の部屋に同じ会社のエンジニア・楠見俊直(松村北斗)と4歳の娘・ルカ(倉田瑛茉)が住むことになる。

優雅で気ままな一人暮らしは一転し、大家と店子の関係を超えた「偽(にせ)家族」としての生活が始まってしまった。

幼い娘を抱えて仕事と家事の両立に追われる楠見。彼を助けることで、西園寺の理想の生活が脅かされるのではないか。楠見も見る側もそれを心配した。しかし西園寺は言う。

「やりたくないことをやってる人を、やらなくていいようにすることが、私のやりたいことだからやってるの!」

その言葉の背後には、完璧に家事をこなしていた母親が、突然家を出てしまったという少女時代の苦い記憶がある。

家事とは炊事、洗濯、清掃、さらに育児なども含む、毎日処理すべき生活上の実務全てだ。家事との向き合い方は、その人の「生き方」に関わっている。

一見、適温のラブコメだが、意外な奥深さがありそうだ。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2024.07.23)

 


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