ギャルで「納得と共感」を得られるか
NHK朝ドラ「おむすび」
新たな連続テレビ小説「おむすび」(NHK)がスタートした。
舞台は2004年の福岡県糸島郡。主人公は高校1年の米田結(橋本環奈)だ。両親と祖父母との5人暮し。姉の歩(仲里依紗)が東京に居るらしい。
第1週で分かったのは、このドラマが「食」「ギャル」「災害」という3つのテーマを含んでいることだ。
結の家は農家で、食べることも大好き。「おいしいもん食べたら悲しいこと、ちょっとは忘れられるけん」などと言わせて、食に関わる将来を暗示させている。
また、結は1995年の阪神淡路大震災の被災者でもある。神戸に住んでいたが、震災を機に父親の故郷である糸島に移り住んだ。災害に遭遇した人たちの当時と現在、さらに「これから」も描こうとしていると見た。
さて、問題は「ギャル」である。ギャル文化の全盛期は90年代後半だ。ドラマの背景である2000年代半ばにもギャルはいたものの、往時の勢いはない。特に地方では微妙な存在と化していた。
そのギャルを、物語の中で何らかの価値観の「象徴」にしたいようだが、やや強引な印象は否めない。「食」や「災害」といったテーマとは異なり、ギャルに理屈抜きの拒否反応を示す視聴者は少なくないからだ。
石破首相の所信表明演説ではないが、ギャルで見る側の「納得と共感」を得られるのか。逆に制作陣の腕の見せ所かもしれない。
(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2024.10.08)