碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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哲学と矜持、CM超えたCMの力「I HОPE.希望の美容液」

2024年12月24日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

哲学と矜持、CM超えたCMの力

カネボウ化粧品 カネボウ

フュージョニング ソリューション

「I HОPE.希望の美容液」

 

今年もまた膨大な数のCМを目にした。たくさんの優れたコンセプト、映像、コピーなどに触れてきた。

そんな中で強烈に気持ちを揺さぶられた1本が、KANEBOの新ブランドCM「I HОPE.希望の美容液」だ。

まず、「唇よ、熱く君を語れ」の合唱をバックに展開される映像の質感と情動感が見る者をとらえて離さない。

強い風にあおられながら、何かを模索するかのように世界を見つめるのはモデルの中島セナさんと俳優の森山未來さん、そして柔道家の阿部詩さんだ。いずれも自立と自律を体現する人たちである。

またナレーションによる「宣言」ともいうべき言葉も魅力的だ。いわく「人間そのものを見つめることで生まれた美容液だからこそ、人を動かす原動力になると信じたい」。

さらに「私たちは、化粧品を売っているのではない。 希望を売っている」と続くのだ。

不安定と不確実性の時代だからこそ、この確固たる哲学と矜持(きょうじ)が多くの人を励ますことにつながる。CMを超えたCMの力だ。

(日経MJ「CM裏表」2024.12.23)

 

 


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