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30日に放送された日テレの「生放送」の音楽特番で、一部「収録」映像が流されたそうだ。
問題なのは、その部分が「収録」であることを伏せており、というか、
まるで「生放送」のように演出していたことだ。
この番組の、この場面、実は私も見ていた。
まがりなりにも放送のプロであるワタクシでさえ(笑)、完全に生放送の一環だと思っていた。
そう思わせるだけの“出来”だった。
もちろん、日テレ広報部が言う「誤解」では説明できない。
「誤解」を生むよう、きちんと演出されていたわけだ。
これって、「やらせ」ですよね? 日テレさん(笑)。
以下は、共同通信の配信記事。
歌唱シーン収録だった…音楽番組で過剰演出
11月30日夜放送された日本テレビ系の番組「日テレ系音楽の祭典 ベストアーティスト2011」で、事前に収録していた一部の出演者の映像を生中継しているかのように演出し、放送していたことが1日、分かった。
同局は「視聴者に楽しんでもらうための演出だった」と説明している。
この番組は午後7時から約3時間の放送で、大部分は千葉市の幕張メッセから生中継された。しかし、関係者によると、歌手の平井堅と男女3人組の「いきものがかり」が歌ったシーンは、事前に東京都内のスタジオで収録されたものだった。
平井のシーンでは、司会を務めた「嵐」の桜井翔が「幕張メッセより生放送でお伝えしています」と述べた後で、「平井堅さんは日本テレビGスタジオです。森さーん」と森麻季アナウンサーの名を呼び掛けた。
平井と森アナの会話にうなずく桜井らの映像が画面右下に流れ、桜井が「それでは平井堅さんに歌っていただきましょう」と案内。画面左上にパラボラアンテナのようなマークを出すなどして、生中継に見える演出をしていた。
日本テレビ総合広報部は、平井といきものがかりのシーンが収録映像だったことを認めた上で「誤解を招いたとしたら遺憾」としている。
(共同)
画面左上にはパラボラアンテナのマークと「日本テレビGスタジオ」というテロップが表示されていたのだ。
そこに、司会の桜井が「森さーん」と呼びかけたのだ。
あれで、「生放送だと思うな」というほうがヘンだ。
「誤解を招いたとしたら遺憾」どころか、誤解して欲しかった、生放送だと思って欲しかったのだ。
だから、あれだけの“演出”をしたわけで。
なぜ?
編成上、というか商売上、あくまでも「生放送」を通したかったのか。
一部「録画」なら、そう言えばいい。
「今日、この会場に来られないので、事前に収録しておきました。ご覧ください」とでも言えばよかったのだ。
別に誰も怒らない(笑)。
ウソはいけません、ウソは。
総合広報部は「視聴者の皆様に楽しんでいただくための演出」として生放送に見えるように放送したことを認め、「不快の念を抱かれたとすれば遺憾です」とコメントした。(産経)
スタジオの映像は事前に収録されていた。この際、スタッフが観客に「生中継のように反応してほしい」「口外しないように」と依頼したという。
日本テレビ総合広報部は「2組の出演時には、画面上に『中継』の表示は出してない。通常の演出の範囲と考えている」としている。
(読売)
「生中継のように反応してほしい」「口外しないように」と依頼(笑)。
自分たちが、何をやろうとしているか、ちゃんと自覚していたのだ。
画面上に『中継』の表示は出してない、というのも詭弁でしかない。
当然だが、ナマと疑似ナマは違う。
本当はナマじゃないのに、ナマとして見せる行為を“演出”で済ますのは、ちょっと無理があるんじゃないでしょうか。
明らかに“偽装”であり、いわゆる“やらせ”と言われても仕方ない。
「生放送」はテレビが持つ大事な機能であり、価値でもある。
そこで視聴者をだますような行為は、自分で自分の首を絞めるようなもの。
つまらない「小細工」をしたものだ。