碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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障害者バラエティー「バリバラ」(Eテレ)は快挙だ

2011年12月01日 | 「東京新聞」に連載したコラム

『東京新聞』に連載中のコラム「言いたい放談」。

今回は、NHK教育「バリバラ~バリアフリー・バラエティー」について書いています。


障害者バラエティー

NHKEテレ「バリバラ~バリアフリー・バラエティー」は、テレビ史上初の障害者バラエティー番組だ。登場するのは「障害者にしてプロの芸人」という異能の面々である。

この番組ですっかり人気者になったのがDAIGOと周佐則雄の「脳性マヒブラザーズ」。旅をしながら路上で漫才を披露する「千人笑わす旅」を続けてきた。

たとえば、DAIGOが「太陽にほえろ!」のジーパン刑事(松田優作)の最期を真似る。同僚刑事役の周佐は車いすから「立て、立つんだ!」と励ます。

言葉の不自由なDAIGOが「だったら、お前が立て」。すかさず足に障害のある周佐が「そんなもん、立てるかいな!」と言い返すのがオチだ。

始めのうちは見ている側も笑うことを躊躇してしまう。しかし、身体や言葉の不自由さを自ら笑い飛ばす彼らが「一緒に笑ってよ」と背中を押してくれた。まさにバリアフリーだ。

もちろん「障害者を笑いものにするな」という意見もあるだろう。しかし、この番組は障害者が「周囲から笑われる」のではなく、「周囲を笑わす」という逆転の発想なのだ。出演する障害者たちがそのことを一番楽しんでいる。

人は皆同じではなく、障害もまた「個性」なんだと思えてくるのは、この番組が本気で作られているためだ。福祉番組、いやテレビ全体の幅を広げる快挙だと思う。 

(東京新聞 2011.11.30)


・・・・ちなみに、今週金曜8時からも、「バリバラ」の放送があります。

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