碓井広義ブログ

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広瀬すず「クジャクのダンス、誰が見た?」近年の主演作の中では最も役柄に無理がない

2025年02月05日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

広瀬すず主演

「クジャクのダンス、誰が見た?」

近年の主演作の中では

最も役柄に無理がない

 

連続ドラマに必要なのは、見る側に「この先はどうなる?」と思わせる牽引力だ。広瀬すず主演「クジャクのダンス、誰が見た?」(TBS系)は、まさに続きが見たくなるサスペンスである。

大学生の山下心麦(広瀬)は、元警察官の父・春生(リリー・フランキー)を放火で失った。捕まったのは遠藤友哉(成田凌)。22年前の東賀山事件で春生が逮捕した、死刑囚・遠藤力郎(酒向芳)の息子だった。

物語は春生が心麦に遺した手紙で急展開する。もしも自分が誰かに殺され、名前を挙げた人物が逮捕されたら、それは冤罪だ。手紙に添えた金で弁護士の松風義輝(松山ケンイチ)を雇って救えと。そのリストの中に遠藤友哉もいたのだ。

元警察官殺害事件と東賀山事件。2つの事件が複雑に絡んで謎を生んでいく。誰もいないジャングルで、クジャクは本当に踊っていたのか。知るのはクジャクだけだという寓話も効いている。

広瀬は、事態に動揺しながらも「前を向くかどうかは、私が決めます」と宣言するヒロインと自然に同化している。近年の主演作の中では最も役柄に無理がない。また、松山もちょっとクセのある弁護士がよく似合う。

原作は浅見理都の同名漫画。脚本はNHKで放送中の「東京サラダボウル」と同じ金沢知樹だ。原作の良さを生かしながら、構成とセリフに非凡な脚色力を見せている。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!! 2025.02.04)

 


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