碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「ブラッシュアップライフ」 安藤サクラという俳優のうまさを再認識

2023年01月18日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

「ブラッシュアップライフ」

安藤サクラという

俳優のうまさを再認識

 

もしも未来が分かっていたら、踏まずにすんだ地雷があったはずだ。また、もしも生き直すことが可能なら、岐路での選択も違ってくるだろう。

安藤サクラ主演「ブラッシュアップライフ」(日本テレビ系)は、そんな〈やり直し人生ゲーム〉のドラマである。

主人公は市役所勤務の近藤麻美(安藤)だ。自宅通勤で33歳の独身。仲のいい幼なじみ(夏帆と木南晴夏)もいて、特に不満もなく暮らしていた。

ところがある日、交通事故で死亡してしまう。気がつくと奇妙な空間にいた。

案内人の男(バカリズム)から「来世ではオオアリクイ」だと告げられ、抵抗した麻美は「今世をやり直す」ことに。ただし前よりも「徳を積む」必要があった。

麻美は再度の誕生から社会人へと至る「2周目の人生」を歩み始める。保育園では保母と園児の父親との不倫を阻止。成人してからは、売れないミュージシャンという未来が待つ同級生(染谷将太)を救おうとしたりする。

周囲に悟られることなく人生に修正を施すため、勝手な“善行”に励む様子が何ともおかしい。

脚本はバカリズムによるオリジナルだ。麻美の独白も仲間とのレディーストークも、ユーモラスでリアルな言葉の連射と軽快なテンポが心地いい。

あらためて安藤サクラという俳優のうまさを再認識させられる、1月ドラマの思わぬ伏兵にしてスマッシュヒットだ。

(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2023.01.17)


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