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『日刊ゲンダイ』に連載中のコラム「テレビとはナンだ!」。
今週の掲載分で、今期の連ドラについて考察してみました。
見出し:
言い訳のきかない戦いが展開される秋ドラマ
コラム本文:
この秋の連続ドラマにはいくつかの特色がある。
まずは警察ドラマのバリエーションともいうべき「お役所モノ」の乱立だ。
舞台として、東京地検、京都地検、国税局、会計検査院から刑務所までが並ぶ。
善と悪、白と黒の対立構造が明快で、決着感も得やすいのだ。
2番目は30代女優の競演である。
フジ「ギルティ悪魔と契約した女」の菅野美穂33歳。
テレ朝「ナサケの女」米倉涼子と、同じくテレ朝「検事鬼島平八郎」の内田有紀が35歳。
日テレ「黄金の豚」篠原涼子37歳。
そしてフジ「パーフェクトリポート」の松雪泰子と、同局「医龍3」稲森いずみが堂々の38歳だ。
秋はしっとり“大人の季節”というわけではない。彼女たちは視聴率という実績を持っているのだ。
3番目の注目点は、日曜21時「日曜劇場」と木曜21時「渡る世間は鬼ばかり」、TBSが誇る2つのドラマ枠が狙い撃ちにされたということ。
不動産屋としてはともかく、テレビ局としての力にヘタリが見えるTBSを、松雪泰子のフジと、米倉涼子のテレ朝が叩こうというわけだ。
攻められるTBSは、特に日曜の「獣医ドリトル」が心配。主演の小栗旬は、前述の30代女優たちと違って、主演のヒット作を持っていないからだ。
秋は夏場に比べて在宅率が高い。
視聴者は居るはずであり、言い訳のきかない戦いが展開される。
(日刊ゲンダイ 2010.10.19付)
・・・・日曜夜の結果は、フジ「パーフェクト・リポート」7.7%。TBS「獣医ドリトル」16%。
第1回の視聴率対決は、TBSの圧勝となった。
「パーフェクト・リポート」の舞台がテレビ局であり、こういう業界内幕物は、ややもすれば安直な印象を与えてしまう。
登場人物たちをカッコよく描けば描いたで、「高給取りがいい気なもんだ」と見られたりもする。
それと、フジ、TBSのドラマ枠の向こうで、日テレ「行列のできる法律相談所」はきっちり18%を取っていることも注意したい。固定客、恐るべし。
フジが、これからどう巻き返すのか、楽しみだ。