碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

言い訳のきかない戦いとなる“秋ドラマ”

2010年10月19日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載中のコラム「テレビとはナンだ!」。

今週の掲載分で、今期の連ドラについて考察してみました。


見出し:

言い訳のきかない戦いが展開される秋ドラマ

コラム本文:

この秋の連続ドラマにはいくつかの特色がある。

まずは警察ドラマのバリエーションともいうべき「お役所モノ」の乱立だ。

舞台として、東京地検、京都地検、国税局、会計検査院から刑務所までが並ぶ。

善と悪、白と黒の対立構造が明快で、決着感も得やすいのだ。

2番目は30代女優の競演である。

フジ「ギルティ悪魔と契約した女」の菅野美穂33歳。

テレ朝「ナサケの女」米倉涼子と、同じくテレ朝「検事鬼島平八郎」の内田有紀が35歳。

日テレ「黄金の豚」篠原涼子37歳。

そしてフジ「パーフェクトリポート」の松雪泰子と、同局「医龍3」稲森いずみが堂々の38歳だ。

秋はしっとり“大人の季節”というわけではない。彼女たちは視聴率という実績を持っているのだ。

3番目の注目点は、日曜21時「日曜劇場」と木曜21時「渡る世間は鬼ばかり」、TBSが誇る2つのドラマ枠が狙い撃ちにされたということ。

不動産屋としてはともかく、テレビ局としての力にヘタリが見えるTBSを、松雪泰子のフジと、米倉涼子のテレ朝が叩こうというわけだ。

攻められるTBSは、特に日曜の「獣医ドリトル」が心配。主演の小栗旬は、前述の30代女優たちと違って、主演のヒット作を持っていないからだ。

秋は夏場に比べて在宅率が高い。

視聴者は居るはずであり、言い訳のきかない戦いが展開される。

(日刊ゲンダイ 2010.10.19付)


・・・・日曜夜の結果は、フジ「パーフェクト・リポート」7.7%。TBS「獣医ドリトル」16%。

第1回の視聴率対決は、TBSの圧勝となった。

「パーフェクト・リポート」の舞台がテレビ局であり、こういう業界内幕物は、ややもすれば安直な印象を与えてしまう。

登場人物たちをカッコよく描けば描いたで、「高給取りがいい気なもんだ」と見られたりもする。

それと、フジ、TBSのドラマ枠の向こうで、日テレ「行列のできる法律相談所」はきっちり18%を取っていることも注意したい。固定客、恐るべし。

フジが、これからどう巻き返すのか、楽しみだ。

この記事についてブログを書く
« ぜ~んぜんハラハラしない(... | トップ | 鈴井貴之:作・演出の舞台『... »
最新の画像もっと見る

「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評」カテゴリの最新記事