
笑顔の写真にそっと手を合わせ

昨日は、母の誕生日でした。
昨年は、7月3日そして14日の九州北部豪雨の甚大なる被害が発生しました。ここまで水が来るかというところまで、濁流となりました。至る所が削られ、家屋を襲い、むなしさと悲しみに包まれました。
母のいる老人施設も例外ではありませんでした。一階は浸水で機能できなくなりました。また施設に行く橋も無残にも流されました。
あの騒ぎを母はベッドの上でどのように聞いていたのでしょうか。施設にはたくさんのボランティアの方が入ってくれました。
一日も早くと懸命な復旧をはかってくれました。入所者の方たちは、2階に集められました。元通りになるまで、施設には立ち入り禁止となりました。
母の誕生日には、施設に行くことができなかったために、お祝いをすることができませんでした。
母は施設が復旧して安心したのか、9月の初旬、他界しました。そして、今年の誕生日。もう母はいません。線香をあげ、仏壇にある写真に手を合わせながら、2年ぶりにお祝いの言葉を伝えました。
誕生日は、母が元気のいいときから、誕生日は家族みんなでお祝いをしていました。孫たちからいろいろ作った誕生日プレゼントをもらっていました。にぎやかなことが好きな母は、とても喜んでいました。
家を巣立った子どもの机の中に、母からの手紙が入っていました。きっと孫も捨てきれずに、机の中に大切にしまっているのでしょう。もう、母には直接お祝いを言えませんが、この日だけは、きっと家族やきょうだいたちは、それぞれの場所で、心の中で母への思いを募らせていることだと思います。
「誕生日、おめでとう。今までありがとう。」母が旅立ち、初めての母の誕生日にて。