ある雑誌を読んでいるとき、平松洋子さんの【台所の時間】というエッセイに目がとまった。ちょうどレモンについて、思い出や料理への使い方が軽妙かつ比喩表現いっぱいに書かれていた。引き込まれる文章、出しゃばりすぎない落ち着いた写真にイメージがわいてくる。『レモンというものはつまり、料理に変幻自在のエネルギーを注入する調味料、目もくらむ魅惑のソース・・・』というまとめと、レモンを語るときによく登場する梶井基次郎の『檸檬』で締めくくっているのも共感させられた。
またその雑誌の別のページにはお寿司の特集もあったので、私の頭はデフラグをしたように効率的になり、情報と過去の記憶が融合!晩ご飯は、レモンすし飯で手巻き寿司を作ってみようということに。無農薬レモンを皮ごと細かく切ってミルキークイーンと混ぜてすし飯に、調味料は一切ナシで。レモンの香りが漂う中、まずは鮪とシソと貝割れで一巻きして食べてみる。うん、変幻自在のエネルギーを注入された手巻き寿司である。このさわやかさが、多忙の 私に活力を与えてくれる。おっと、もう一つ黒霧島も。