果樹園の風

愛知県豊橋市で無農薬のレモンを栽培している河合果樹園です。
目指せ!楽しむ農業、楽しませる農業!

ヒマラヤザクラと初霜とイタリアの薄明

2018年11月26日 18時23分40秒 | 日記・エッセイ・コラム
ヒマラヤザクラの花が満開となってきた。
2度の台風で太い幹は裂けたり折れたりして、
容積からいうと3分の1ほどになってしまった。
残された枝にこぢんまりとした様相が台風の障害を物語っていると言ってもいい。
早生みかんの収穫は最終コーナーを回った。
続いて青島と寿太郎の収穫と続くが、
裂けてしまった枝やそれに伴い枯れてしまった木など、
もの悲しさを背負っての収穫となる。
隆盛を誇っていたメヒシバは枯れ、
オドリコソウやナギナタガヤやカラスエンドウなどの春草が、
まだまだ遠慮気味の顔で地面を覆いだした。
一昨日初霜がおり、一番の冷気をみかん達は浴びることができた。
冬へとゆっくりと進む中に、小さな発見が毎日の決められたルーティーンに
少しだけ陽の光を与えてくれる。
日曜日に迫った大きな案件に毎晩頭を使って待ち潰す日々である。


以前から読んでみたいと思っていたのが、D.H.ロレンスの,
「イタリアの薄明」という旅行記?。
なぜかというとレモンライフ研究家としては、
第二章の「レモン園」に書かれている
ガルダ湖畔のレモンの盛衰について知りたかったためである。

難解な表現が続き哲学的なロレンスの二元論的言い回しに、
かなり頭を使いながら読むことを強いられた。
朽ちていくレモンハウス、ブドウへの転換、そして価格競争による衰退、
ゲーテが「レモンの花咲く国」と詠んだ詩とは対照的に迫ってくる。
現代にもいえることだが、費用対効果がなければ継続は難しい。
歴史は繰り返しながら、我が身にも迫っているのかと思ってしまう。
ブランド力をいかにつけるか、やり過ごす術は必ずある。
文末を引用させていただきます。
「英国が余命をたもつとするなら、
大規模な真理の中に知識を注ぎ込むことになるだろう。
おびただしい数の荒削りの知識が、
おびただしい数の機械と道具が、おびただしい数の理想と方法が
統合されない人間のひしめく集団がわきたってにわかに消えさるほかは、
何ら始末つけられることがなく、しまいに、まるで世界は巨大な廃址で覆われ、
奇妙な産業仕組みにやられ、全く死滅し、人々は完全、
無私な社会をめざす最後の努力の中にのみこまれて、
消えさるままになることだろう」

河合果樹園







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