遊びをせんとや

毎日できるだけアンテナを張って
おもしろがりながら楽しみたい。
人は「遊びをせんとや生まれけん」です。

平成中村座姫路城公演 第二部

2023-05-16 07:48:24 | 歌舞伎
平成中村座in姫路城 第二部

第一幕
棒しばり

写真は全てHPよりお借りしました。
おなじみの松羽目物、舞踊劇である。長唄が伴奏。
太郎冠者 橋之助、次郎冠者 勘九郎、松兵衛 扇雀 
ここでも橋之助さん頑張ってました。勘九郎はさすがて慣れてました。この演目はお父さんの中村勘三郎の十八番です。
楽しく明るい舞台でした。

30分の幕間
やっと新大阪駅マルシェで買ったお弁当の夕食です。

エコバックの中で縦になったりしたので紙のお弁当箱が崩壊寸前でしたが中にプラスチックの入れ物が入っていたので大丈夫でした。

私が購入したのは兵庫五国酒肴弁当。量が多くなく日本酒を少し飲むのにちょうどいいと思って選んだが、ネットで調べてみると三年前にWEST EXPRESS 銀河運行記念で作られたなんと姫路のお弁当だった。偶然。
お弁当なので冷めても美味しいのは当たり前だが、予想以上に美味しかった。量も適度で満足した。

第二幕
天守物語
富姫 七之助 、図書之助 虎之助、朱の盤坊 橋之助、亀姫 鶴松、舌長姥・近江之丞桃六 勘九郎、薄 扇雀

この天守物語、私は2回ほど舞台を過去に玉三郎の富姫で観ているはずである。泉鏡花の戯曲も本で読んでいる。
家に帰ってから大昔つけていた観劇ノートを何冊か引っ張り出した。
あった。昭和53年のなんとテレビ中継だった。さらにネットで調べるとその映像は1977年の日生劇場の玉三郎初舞台の公演の映像であった。図書之助は三沢慎吾。私の観劇ノートによると音楽と舞台装置、玉三郎の演技を絶賛している。テレビなのに非常に熱中して観たとある。三沢慎吾の図書之助だけが違和感が残ったとも。(偉そうですみません)歌舞伎の人ではないからと。
この時、最後に出てくる近江之丞桃六を小沢栄太郎がやっていて贅沢だなと思った記憶がある。亀姫は今の中村時蔵。
舞台を観たのはその2年後の南座公演だった。図書之助は坂東八十助。歌舞伎全公演のデータベースを探してやっとわかった。
今回七之助が富姫を演じる際に天守物語はネット情報によるとアンタッチャブルの演目だったそうだ。
でも次代の富姫は七之助しかいないと玉三郎も思ったのだろう、演出を引き受けてこの公演が実現したそうだ。

出から素晴らしかった。まずは改めて原作泉鏡花のセリフがいい。鏡花は費用を自前でいいから舞台化を望んでいた。時代が早すぎたのだろう、彼の存命中にはかなわなかった。その後、初演は戦後の新派。
なんと美しい日本語なんだろう。そしてエピソードが上手い。この戯曲は亡霊ファンタジーだ。なんという世界観、なんという豊かで時代を超えたイマジネーション。富田勲のシンセサイザーの音楽がそこにはまる。シンプルな舞台装置もいい。
七之助は玉三郎そのままの富姫を演じたようで私は七之助の富姫により一層生身の女の情念を感じた。セリフにテンポがあってこれはなんなんだろう。少し現実感があってかえってその情感が迫ってきた。
虎之助の図書之助配役は最初?と思ったが、セリフが明瞭で若武者らしいピュアな感じがすごく良かった。背格好や見た目はまるで姉弟のような印象を受けるがそれがまた戯曲の持つ情感をあおったような気がする。虎之助の現25歳という若さが健気さを無理なく表現していた。
富姫の「返したくない」「たった一度の恋だもの」と言うセリフが胸に迫る。
扇雀の薄も良かった。ノーブルな中に凄みと邪気があった。舌長姥、桃六の勘九郎は狂言回しの役で締めていた。
鶴松の亀姫も無邪気でかわいい。

幕切れに舞台奥に暮れかけている姫路城が見える。
これ以上ない舞台装置だった。

満足して計画退場で最後の方に小屋を出る。

振り返って


雨だったのけれどちょうど良かったかもしれない。
とても貴重な一日だった。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。