子供のころ私は,近所の下鴨神社(京都市左京区)に
よく遊びに行きました。
今の神社は世界遺産になってしまいましたが,
戦前は,普通の大きな神社でした。
境内を歩いていると,
「ピーヒョロヒョロ…」
とトンビが空を舞いながら鳴いていましたが,
今も鳴いているのでしょうか…。
寺田寅彦(物理学者、随筆家、俳人)の随筆で空をぐるぐる回っている
トンビ(鷹?)が、野原にいる野ねずみを見つけて急降下して捕らえる情景を
不思議がって書いていたのを、読んだことがあります。
寺田寅彦によると,大空から下の小さな野ねずみを
見たときの鳥の網膜には、最小単位の視神経にも満たないほど
野ねずみは小さく映っていると書いていました。
運動会でママが遠くにいるわが子を見つけるのに何となく似ています。
… … …
人間の眼は、夕方、陽が傾いて西の空へかかると,
太陽の色温度が下がって,眼には紅の
夕陽が映ります。
色温度の低くなった太陽が沈むと今度は,
景色の色温度は上がります。
色温度の低いタングステン電球が点灯します。
景色のなかにいろいろの色温度の光線が交錯します。
空に薄灯りが残り,街の照明がだんだん
強くなっていく瞬間が私は好きです。
そのときの眼のホワイトバランスは,
どこに辻褄を合わせているのでしょう。
すっかり陽が落ちた黄昏時、
タングステン電球の照明だけになると、
色温度の低いタングステン電球に
眼のホワイトバランスは合わされます。
タングステン電球のことを白熱電灯といわれます。
電球に照らされた周りは白く見えます。
夜の室内が自然に見えます。
… … …
最近のデジタルカメラは,
この色温度を自動で調整しています。
AWB(オートホワイトバランス)です。
人間の眼に一歩近づきました。