黒澤明監督は大映で「静かなる決闘・三船敏郎、三条美紀(現代劇)」
を撮ります。
松竹大船では「醜聞・三船敏郎・山口淑子(現代劇)」を撮ります。
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大映京都撮影所(太泰)内に崩れかけた
大きな「羅生門」のオープン・セットを組んで,
「羅生門(時代劇)」の撮影が始まりました。
黒澤監督は空模様が気に入らないと、
オープン・セットやロケーションの撮影をキャンセルします。
日数が延び延びなっていきます。
いつ完成するかわからないスケジュールで、
製作会社には評判の悪い監督さんの一人でした。
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ストリーは簡単に言うと、
検非違使(けびいし)の前に巫女に呼び出された死人を含んで,
3人の被告が裁判を受けます。
その3人のそれぞれの立場で証言が食い違うというストリーです。
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黒澤明監督のスタッフは,ストリーが
さっぱり判らない写真(カツドウ屋は映画のことを写真と呼びます)
だと嘆いていました。
3人の証言に基づいて,映像を組み立てていきますから,
少しずつ違うストーリーを何回も撮ります。
余計,理解しにくかったのでしょう。
この映画が封切りされた当時は,
あまり話題になりませんでした。
それを、誰かの推薦で,イタリアのヴェネツィア国際映画祭に
出品します。
それがグランプリの 金獅子賞(作品賞)をとってしまいます。
改めて、この作品を見直すと
、ユニークな優れた作品だとなってしまいました。
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これに味をしめて大映は時代劇路線『雨月物語』『山椒太夫』など
各国の映画祭に出品します。
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松竹大船『カルメン故郷に帰る』『夏子の冒険』,
日活の『緑はるかに』の総天然色映画が上映されました。
大映でも時代劇の総天然色映画が企画されます。