アルフレッド・ヒッチコックのキャメラは名コンビの
ロバート・バークスです。
前作の「見知らぬ乗客」のさまざまな名ショットが思い浮かびます。
テニス・プレーヤーのレンズにラケットが
ぶつかるのではないかと思うほどの接近したショット。
ギャラリーの左右の目の動きのミディアムショット。
大事な証拠のライターを下水の溝に落として,
それを拾い上げようとするショット。
遊園地で回転しているメリーゴーラウンドの床下を
はっていくカット…。
「ダイヤルMを廻せ」に話を戻します。
「ダイヤルMを廻せ」はカラー作品ですから,
期待してスクリーンを注視しました。
電話のダイヤルを廻している手元が映ります。
機械式の電話交換機が映ります。
リレーのセクターが
「カタ、カタ、カタ…」
動いていきます。やがてセクターが止まると
相手の電話機のアップが映ります。
… … …
セットの上から撮ったショットで,手前のシャンデリアの下を
レイ・ミランドが歩いていきます。
どうして,手前のシャンデリアをなめて撮るのでしょう。
手前に黒いソファーの背中越しに、
奥に人物が座っていたり,
不思議なショットがありました。
どうも合点のいかないショットがありました。
… … …
後で,映画雑誌を読むと,この作品は3D映画でした。
日本では,どうしてステレオの片側だけを公開したのでしょう。
ステレオですから,上映スクリーンに
2本のプリントをかけなくてはなりません。
当時の日本の映画館では
ステレオを上映できなかったのでしょうか。
ハリウッドのスタジオは防音カメラの
ミッチェルBNCを使っています。
大型で重量のあるカメラです。
カメラはクレードルギヤ・ヘッドで
フライホイールのハンドルで操作します。
3Dですからこの大型,重量級のカメラ2台
並べて使います。
撮影現場は大変でしたでしょう。