
私の写真の話に戻します
押し入れ暗室で使っていた
現像液は上皿天秤とビーカーで
写真用の処方箋集から作っていました

フィルム現像にはフィルム感度を
犠牲にしないで微粒子現像できる
Dー76を作っていました
引伸しプリントの現像液は
Dー72を処方していました

何年か経つうちに街の写真材料店に
既製の現像薬が目立つようになりました
既製現像薬は缶詰になっていて
何CCの微温湯で溶いてすぐ使えるのでした

富士フイルムからはフジドール、ミクロファイン
パンドール、コレクトールなど
… … …
小西六からはコニドールファインなどの商品名でした
… … …
コダックからはマイクロドールXが出ました
微粒子に仕上がるのですが
フィルム感度が少し犠牲になるようでした
私はイギリスのプロミクロールを愛用していました

数年後、仕事の関係で
若いプロカメラマンと知り合いになりまた
彼は、写真専門学校出の新進気鋭の
料理専門の写真家でした
… … …
写真家の彼と何かの話で
「昔は現像液を作るのに大変でしたね…」と云うと
彼は
「現像液は処方箋から作れるのですか?…」と
不思議そうに問い返してきました
… … …
今の、写真学校の現像液の講義では
缶詰の既製現像薬しか教えないでしょうか?
… … …
私には時代が変わったなあとつくづく思いました
