映画館のショウウィンドウに飾られた
スチール写真に好きな俳優さんを見つけて
映画館に入った人はどのくらいおられたのでしょう
写真家の木村伊兵衛さんがスチール写真を担当したのは
松竹下加茂撮影所制作、衣笠貞之助 演出
俳優さんは,阪東寿三郎、薄田研二、千田是也
の豪華配役でタイトル「黒田誠忠録(くろだせいちゅうろく)」
でスチール写真を写真家木村伊兵衛さんに頼むのですから
野心的な映画だったのでしょう
ストーリーはわかりません
私の想像ですが…木村伊兵衛さんの35ミリのネガフィルムから
ガラス乾板にデュープして、そのガラス乾板で密着プリントを
作ったのでしょうか?…
… … …
当時の,セットで木村伊兵衛さんの仕事ぶりや、
父親との会話など聞いておくべきでした
数ヶ月して写真雑誌「アサヒカメラ」を見ると
カラー口絵作品に木村伊兵衛さんの「銀閣寺」が
掲載されていました
私にはすでに馴染みになっていた銀閣、
東求堂(とうぐどう)や銀沙灘(ぎんしゃだん)が
作品にされていました
なお添付写真は,木村伊兵衛さん作品ではありません
天気の良かったあの日木村伊兵衛さんとお弟子さんは
銀閣寺で仕事をなさってから、銀閣寺道駅で
発車待ちの市電に乗り込んでこられ,
私の向かい側に座られたのでした
… … …
父親からもっと話を聞いていたら
ご挨拶できたのに…ちょっと残念でした
折角、木村伊兵衛さんの新しい感覚の
スチール写真が生まれたのに、
その後、映画のスチール写真は再び、組み立て暗箱、
ガラス乾板のスタイルに戻って、戦後、カラー映画が
生まれるまで続きました