【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】1-4 脚下照顧 トップは冷静にみる ~ 自分の姿を鏡に映す ~
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四字熟語というのは、漢字四文字で構成された熟語であることはよく知られています。お恥ずかしいながら、その四字熟語というのは、すべてが中国の故事に基づくものとばかり思っていましたが、実はそうではないことを発見しました。
経営コンサルタントという仕事をしていますが、その立場や経営という視点で四字熟語を”診る”と、今までとは異なった点で示唆を得られることが多のです。「目から鱗が落ちる」という言葉がありますが、四字熟語を講演や研修の場で用いたり、自分の仕事や日常会話に活かしたりするようにしましたら、他の人が私を尊敬といいますとオーバーですが、自分を見てくれる目が変わってきたように思えたことがあります。
四字熟語の含蓄を、またそこから得られる意味合いを噛みしめますと、示唆が多いですので、企業経営に活かせるのではないかと考えるようにもなりました。これを「目鱗経営」と勝手に造語し、命名しました。
以前にも四字熟語をご紹介していましたが、一般的な意味合いを中心にお話しました。このシリーズでは、四字熟語を経営の視点で診て、つぶやいてみます。以前の四字熟語ブログもよろしくお願いします。
■1-4 脚下照顧 トップは冷静にみる
~ 自分の姿を鏡に映す ~
「いじめ問題」というのは、日本だけではなく、世界的に、中でもとりわけ先進国と言われる国に陰湿さがはびこっていると聞いています。いじめというのは、いじめる側は、自分が「ひどいことを言っている」、「している」という意識が薄弱で、相手の気持ちに構わず、それを続けてしまっていることが多いそうです。自分が悪いことをしているという意識がないだけに、それを止める必要性を感じないのでしょう。いじめ側に罪悪感がないのですから、いじめられる側は堪ったものではありません。
経営者・管理職のように、権力を握っている人は、自分は会社のため、社員のためと思って採っている言動が、実は社員の側にとっては、ガマンにガマンを重ねていることがあります。ビジネスパーソンとして、「隠忍自重(いんにんじちょう)」しないと、その企業にいられなくなるかもしれないという気持ちが、自分の「軽挙妄動」を押さえているのです。「隠忍」とは、「苦しさを表に出さないでじっと耐える」という意味で「耐えがたいことをじっとこらえて軽挙妄動を慎む」ということを表しています。
「愚者一得」の項でも述べていますように、自分の会社の社員や部下が無能に思えることがあると思います。それを感じますと、つい、愚痴を言ったり、その様な社員や部下に対して、厳しく叱責したりしがちです。それが自分の驕りから来ているかもしれないのです。権力を握ってしまうと平清盛のごとく「栄耀栄華(えいようえいが)」、すなわち「地位や財産を手に入れ、繁栄する」と、「おごる平家は久しからず」という状態に陥りかねません。
別項でも述べていますが、社員や部下が愚かに見えたときほど、自分自身の人の見方が本当にバランスのとれた見方をしているのか否かを自問自答してみるべきではないでしょうか。「自問自答(じもんじとう)」とは、言うまでもなく「自分自身に問うて、自分で正しい答を導き出す」という四字熟語です。
「脚下照顧(きゃっかしょうこ)」という禅の言葉があります。原意は、「自分の本性を見つめなさい」という意味です。このことから、「脚下」、すなわち「足元に注意する」という意味にもなります。足元とは、自分自身ということにもなります。「照顧」の「照」は「照らす」という意味で、自分の視線をそこに当てることです。「顧」は、音読みで「かえりみる」すなわち「省みる」ということで、「過去や自分の後ろ姿をふりかえって見たり、見まわしたりしてみる」という意味です。
すなわち「脚下照顧」とは、「身近なこと、足元に注意を払い、まずは自分を省みて反省する」という意味で用いられます。
社員が、「薪水之労」を厭わず「一所懸命」に仕事をしている様子を見たときに、自分の言動を反省する気持ちがありますと、社員に対する気持ちも変わってきます。因みに「薪」は「まき」のことですので、「薪水」は「薪を取りに行ったり、水を汲んだりすること」から「日常的な労働」ということで、このことから「人に使え、骨身を惜しまず日常の雑務・労働を行う」という意味になります。
「槐門棘路」の項で詳述していますが、上に立つ者は、「稔るほどに頭を垂れる稲穂かな」の精神を忘れず「虚心坦懐(きょしんたんかい)」の気持ちが大切です。「虚心」は、わだかまりがなく、ありのままを素直に受け入れられる心のありかたをいいます。「坦懐」は、心が穏やかで、こだわりがないさっぱりとしていることを指します。すなわち「虚心坦懐」は、「心を空にして、何かにわだかまることなく、気持ちがさっぱりとしている」ことになります。「平静で公正な心」でいますと、自分自身が謙虚になれるということです。
孟子の教えとして、下記三項が有名です。
一、民を治める王には、徳が必要
二、徳をなくしてしまったら地位を譲るべし
三、徳がないのに居座る王は殺して良い
「虚心坦懐」の類似表現として「虚心平意(きょしんへいい)」という言葉もあります。また、「明鏡止水(めいきょうしすい)」という言葉にも通じます。「明鏡」は、「明」は曇りもないという意ことから、「一点の曇りもない鏡」という意味です。「止水」は、止まっている水、それも静かにたたえられた、澄んだ水の状態です。このことから、脚下照顧に通じる「澄みわたって落ち着いた心境」ということで、それを実行することは難しいことかもしれませんが、心したいことと思います。
「泰然自若(たいぜんじじゃく)」も「落ち着いていて、何に対しても動じない」という意味です。類語に、「意気自如(いきじじょ)」「神色自若(しんしょくじじゃく)」があります。前者は、「どの様なことに対しても驚ろいたり恐れたりしないで、平静な気持ちでいられる」、後者は「危急な事態においても顔色を替えることなく、平然と落ち着き払っている」ことをさします。「自若」は「あわてず落ち着いている」、「神色」の「神」は「精神(心)」に繋がり、「神色」で「心と顔色」を表します。
禅宗のお坊さんなら、座禅を組むところですが、われわれにはなかなかそれをしかねます。テレビか何かで知ったのですが、外耳を温めるという方法で、虚心坦懐に近づけるような気がします。綿、できればふっくらした綿を少し、耳に入れます。耳栓の目的ではありませんので、ギューギューと詰め込むのではなく、軽くふさぐだけで、外耳内の空気が体温で暖まります。目をつむってしばらくすると気持ちが落ち着いてきます。騙されたと思って試してみては如何でしょうか。
~ 自分の姿を鏡に映す ~
「いじめ問題」というのは、日本だけではなく、世界的に、中でもとりわけ先進国と言われる国に陰湿さがはびこっていると聞いています。いじめというのは、いじめる側は、自分が「ひどいことを言っている」、「している」という意識が薄弱で、相手の気持ちに構わず、それを続けてしまっていることが多いそうです。自分が悪いことをしているという意識がないだけに、それを止める必要性を感じないのでしょう。いじめ側に罪悪感がないのですから、いじめられる側は堪ったものではありません。
経営者・管理職のように、権力を握っている人は、自分は会社のため、社員のためと思って採っている言動が、実は社員の側にとっては、ガマンにガマンを重ねていることがあります。ビジネスパーソンとして、「隠忍自重(いんにんじちょう)」しないと、その企業にいられなくなるかもしれないという気持ちが、自分の「軽挙妄動」を押さえているのです。「隠忍」とは、「苦しさを表に出さないでじっと耐える」という意味で「耐えがたいことをじっとこらえて軽挙妄動を慎む」ということを表しています。
「愚者一得」の項でも述べていますように、自分の会社の社員や部下が無能に思えることがあると思います。それを感じますと、つい、愚痴を言ったり、その様な社員や部下に対して、厳しく叱責したりしがちです。それが自分の驕りから来ているかもしれないのです。権力を握ってしまうと平清盛のごとく「栄耀栄華(えいようえいが)」、すなわち「地位や財産を手に入れ、繁栄する」と、「おごる平家は久しからず」という状態に陥りかねません。
別項でも述べていますが、社員や部下が愚かに見えたときほど、自分自身の人の見方が本当にバランスのとれた見方をしているのか否かを自問自答してみるべきではないでしょうか。「自問自答(じもんじとう)」とは、言うまでもなく「自分自身に問うて、自分で正しい答を導き出す」という四字熟語です。
「脚下照顧(きゃっかしょうこ)」という禅の言葉があります。原意は、「自分の本性を見つめなさい」という意味です。このことから、「脚下」、すなわち「足元に注意する」という意味にもなります。足元とは、自分自身ということにもなります。「照顧」の「照」は「照らす」という意味で、自分の視線をそこに当てることです。「顧」は、音読みで「かえりみる」すなわち「省みる」ということで、「過去や自分の後ろ姿をふりかえって見たり、見まわしたりしてみる」という意味です。
すなわち「脚下照顧」とは、「身近なこと、足元に注意を払い、まずは自分を省みて反省する」という意味で用いられます。
社員が、「薪水之労」を厭わず「一所懸命」に仕事をしている様子を見たときに、自分の言動を反省する気持ちがありますと、社員に対する気持ちも変わってきます。因みに「薪」は「まき」のことですので、「薪水」は「薪を取りに行ったり、水を汲んだりすること」から「日常的な労働」ということで、このことから「人に使え、骨身を惜しまず日常の雑務・労働を行う」という意味になります。
「槐門棘路」の項で詳述していますが、上に立つ者は、「稔るほどに頭を垂れる稲穂かな」の精神を忘れず「虚心坦懐(きょしんたんかい)」の気持ちが大切です。「虚心」は、わだかまりがなく、ありのままを素直に受け入れられる心のありかたをいいます。「坦懐」は、心が穏やかで、こだわりがないさっぱりとしていることを指します。すなわち「虚心坦懐」は、「心を空にして、何かにわだかまることなく、気持ちがさっぱりとしている」ことになります。「平静で公正な心」でいますと、自分自身が謙虚になれるということです。
孟子の教えとして、下記三項が有名です。
一、民を治める王には、徳が必要
二、徳をなくしてしまったら地位を譲るべし
三、徳がないのに居座る王は殺して良い
「虚心坦懐」の類似表現として「虚心平意(きょしんへいい)」という言葉もあります。また、「明鏡止水(めいきょうしすい)」という言葉にも通じます。「明鏡」は、「明」は曇りもないという意ことから、「一点の曇りもない鏡」という意味です。「止水」は、止まっている水、それも静かにたたえられた、澄んだ水の状態です。このことから、脚下照顧に通じる「澄みわたって落ち着いた心境」ということで、それを実行することは難しいことかもしれませんが、心したいことと思います。
「泰然自若(たいぜんじじゃく)」も「落ち着いていて、何に対しても動じない」という意味です。類語に、「意気自如(いきじじょ)」「神色自若(しんしょくじじゃく)」があります。前者は、「どの様なことに対しても驚ろいたり恐れたりしないで、平静な気持ちでいられる」、後者は「危急な事態においても顔色を替えることなく、平然と落ち着き払っている」ことをさします。「自若」は「あわてず落ち着いている」、「神色」の「神」は「精神(心)」に繋がり、「神色」で「心と顔色」を表します。
禅宗のお坊さんなら、座禅を組むところですが、われわれにはなかなかそれをしかねます。テレビか何かで知ったのですが、外耳を温めるという方法で、虚心坦懐に近づけるような気がします。綿、できればふっくらした綿を少し、耳に入れます。耳栓の目的ではありませんので、ギューギューと詰め込むのではなく、軽くふさぐだけで、外耳内の空気が体温で暖まります。目をつむってしばらくすると気持ちが落ち着いてきます。騙されたと思って試してみては如何でしょうか。
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