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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】167 日本人の強みが活きているか

2021-02-10 11:44:39 | 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】167  日本人の強みが活きているか



 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。


 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。



■      今日のおすすめ


 『ハーバードで一番人気の国・日本』(佐藤 智恵 著 PHP新書)



■      日本がハーバード大学経営大学院の学生に一番人気があるって?(はじめに)


 私は、紹介本の表題をみて、「ほんとに?」「いま?」と思い、紹介本を手に取ってみました。日本の中で暮らしていると、ハーバードが日本人の何に関心を持っているか、日本人の価値が見えにくいですね。


 まずは、次の項で、ハーバードが日本人の何処に関心を持ったのか見てみましょう。


 


■      ハーバード大学経営大学院で一番人気のある日本人のケース・スタデイ


【新幹線お掃除会社「テッセイ」が与える驚き】


 「テッセイ」の親会社JR東日本から取締役経営企画部長として送り込まれた矢部さん。「あんなところに・・・」という会社に着任して、「テッセン」に「自分たち は所詮3kの清掃スタッフ」という空気が蔓延していることに気付きます。


 この「テッセイ」が『人のために役に立っているのが楽しい』『もっと早く綺麗に清掃するにはどうしたらよいか』と思う社員の集団に変わったのです。


 矢部さんは、まず社員の意識改革をします。「皆さんは世界最高の技術を誇る新幹線のメンテナンスの一部を、清掃という面から支える技術者なのだ」と繰り返し投げかけました。自席を事務所ではなく、現場の近くに置き、現場に頻繁に足を運び、自ら現場の一員となり、現場の問題を率先して解決する役割を引き受けたのです。社員は「自分が提案したことを実現してくれる」と次から次と新しい提案をするようになりました。このようにしてトラブルの「テッセイ」が、感動を与える「テッセイ」に生まれ変わっていきました。


 ハーバードでは、このケースを「自ら現場に溶け込んでいくリーダーシップ」と位置付け、サービス企業の世界標準として採り上げているのです。


【アメリカ人を驚愕させた「プロブレム・ファースト」】


 これはトヨタのケースです。日本人はよく知っている改善手法です。現場の改善をテーマにするコミュニュケーションの場では、「失敗」「問題」を先に発言するというルールです。まず自分の功績を主張するアメリカ人にとっては驚きでした。


 しかし、問題を解決するには「プロブレム・ファースト」が合理的であることに気づき、ハーバードでは、オペレーションの授業で採り上げているのです。


【ハーバードの方が知っている「福島第二原発」】


 福島第二原発は第一原発から12キロしか離れていません。地元福島の人は「福島原発」として一つで見ています。第一原発は6機(5,6号機は当日定期点検中であったため被害が少なかった。6号機の発電機は無傷であったため、5号機と交互に使用し冷却できた。)、第二原発は4機の原子炉があります。2011年3月11日第二原発でも第一原発の1号機から4号機と同じ状況が起こっていました。唯一違ったのは、第二原発では管理棟の外部電源が一つだけ残っていたことだけです。


 第二原発で、メルトダウンやベントの事態を回避できたのは、第二原発の増田所長の「センスメーキング(チーム全体での情報共有)」を伴うリーダーシップにあったことを、多くの日本人は知りません。


 しかし、ハーバードでは、増田所長の「Leadership・with・Sense making」がなければ、第一原発と同様の事態になっていただろうと、高く評価し、リーダーシップの授業で採り上げています。


 他にも多くの日本企業のケースが採り上げられています。詳細は紹介本をお読みください。



■      ハーバードで認められた日本人の強みを生かすには(むすび)


 紹介本の最終章には、日本人の強みと弱みが良く纏められています。


 強みとして上げられているのは次の6つです。①高い教育水準②分析的な特性③美意識・美的センス④人を大切にするマインドと改善の精神⑤環境意識と自然観⑥社会意識(合本主義)、の6つです。


 弱みとして上げられているのは次の3つです。①グローバル化の遅れ②イノベーションの創出の減衰③若者と女性の活用が下手、の3つです。


 これだけ多くの強みを持ちながら、持続的成長維持の要件である真のグローバル化が出来ている企業はまだ少ないと言わざるを得ません。特に中小企業が遅れているのではないでしょうか。真のグローバル化とはイコール海外進出ではありません。自社の製品やサービスを、グローバル市場と繋げる、「視点と行動」により実現できるのです。


 残りの2つの弱みも、その気があれば克服できます。「マインドと仕組み」を変える気があれば克服できることです。



【酒井 闊プロフィール】


 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。


  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm


  http://sakai-gm.jp/



【 注 】


 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。


 


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