■【心 de 経営】 徒然なるままに日暮パソコンに向かいて 第117段 友とするにわろき者、七つあり 友人の選択基準
「徒然草(つれづれぐさ)」は、吉田兼好による随筆集の冒頭の文章です。作者は、兼好であるという明確な証拠はないようです。おそらく大半の方が、何らかの形で、この文章に接しているのではないでしょうか。
徒然草といいますのは、清少納言の『枕草子』、鴨長明の『方丈記』とならび日本三大随筆の一つといわれています。
高校生時代に戻った気分で、また、社会人として人生を歩み、自分の高校時代には理解できなかったり、誤解していたりすることを発見しながら、独断と偏見に満ちた、我流の解釈を僭越ながらお付けしました。
徒然なるままに、日暮パソコンに向かいて、よしなしごとを、そこはかとなく書き付けてまいります。
お届けも、徒然なるままにアップロードしますので、読者の皆様も、日暮パソコンに向かいて、末永く、徒然にご覧下さるよう、お願いします。
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◆第122段 人の才能は文あきらかにして 多様性の時代の評価法
兼好なりの見方で、人が持つべき才能を列挙しています。四書五経など漢籍を上げるのは判りますが、そのほかにあげた中で、頭を傾けたくなるようなことも列挙されています。
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兼好の即物的な面を含む多様性は「いとおかし」で、古典として今日まで読まれ続ける由縁でしょうか。
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兼好なりの見方で、人が持つべき才能を列挙しています。四書五経など漢籍を上げるのは判りますが、そのほかにあげた中で、頭を傾けたくなるようなことも列挙されています。
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兼好の即物的な面を含む多様性は「いとおかし」で、古典として今日まで読まれ続ける由縁でしょうか。
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【原文】 人の才能は、文あきらかにして
人の才能は、文(ふみ)あきらかにして、聖(ひじり)の教えを知れるを第一とす。
次には手書く事、むねとする事はなくとも、是を習ふべし。学問に便(たより)あらんためなり。
次に医術を習ふべし。身を養い、人を助け、忠孝のつとめも、医にあらずはあるべからず。
次に弓射(ゆみい)、馬に乗る事、六芸(りくげい)に出(いだ)せり。必ずこれをうかがふべし。
文・武・医の道、誠に、欠けてはあるべからず。これを学ばんをば、いたづらなる人といふべからず。
次に、食は人の天なり。よく味(あぢわい)を調へ知れる人、大きなる徳とすべし。
次に細工、万(よろづ)に要多し。
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この外の事ども、多能は君子の恥ずる処なり。
詩歌にたくみに、糸竹(しちく)に妙(たえ)なるは幽玄の道、君臣これを重くすといへども、今の世にはこれをもちて世を治むる事、漸(ようや)くおろかなるに似たり。
金(こがね)はすぐれたれども、鉄(くろがね)の益多きにしかざるがごとし。
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【用語】
才能: 学問・芸術だけではなく、多方面にわたる能力
文: 書物・典籍、四書・五経などの漢籍
あきらか:(経書に)精通している、よく通じている
聖(ひじり)の教え: 聖人の教え、孔子や孟子などをさす
手書く: 文字を上手に書く
むねとする: 主とする、専門とする
便(たより): 手助けとなること、便宜
医術: 医学だけではなく薬学、呪術など幅の広い術
忠孝: 親などに孝行を尽くすこと
六芸(りくげい): 古代中国で「士」として修得すべきとされた、礼(礼法)・楽(音楽)・射(弓)・御(乗馬・馬術)・書(書道)・数(計数)の6分野にわたる技芸
出(いだ)す: 出すこと、ここでは教えるの意
うかがふ: ひととおり学び知る
いたづらなる人: 無駄なことをする人
食は人の天なり: 中国古典の帝範の一節 食料は、命にとって大切な者なので、「天」に例えています。
徳: 長所、利益
要(かなめ): 役立つこと
詩歌: 詩は漢詩、歌は和歌を指す
糸竹: 琴や笛などの管弦の音楽
幽玄の道: 優雅で奥深い領域 「幽」は、かすかな様子、奥深さのある、「玄」は、暗い
鉄(くろがね): 一般的には文字通り鉄のことですが、金に対して銀のことを指すという論もあります
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人の才能は、文(ふみ)あきらかにして、聖(ひじり)の教えを知れるを第一とす。
次には手書く事、むねとする事はなくとも、是を習ふべし。学問に便(たより)あらんためなり。
次に医術を習ふべし。身を養い、人を助け、忠孝のつとめも、医にあらずはあるべからず。
次に弓射(ゆみい)、馬に乗る事、六芸(りくげい)に出(いだ)せり。必ずこれをうかがふべし。
文・武・医の道、誠に、欠けてはあるべからず。これを学ばんをば、いたづらなる人といふべからず。
次に、食は人の天なり。よく味(あぢわい)を調へ知れる人、大きなる徳とすべし。
次に細工、万(よろづ)に要多し。
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この外の事ども、多能は君子の恥ずる処なり。
詩歌にたくみに、糸竹(しちく)に妙(たえ)なるは幽玄の道、君臣これを重くすといへども、今の世にはこれをもちて世を治むる事、漸(ようや)くおろかなるに似たり。
金(こがね)はすぐれたれども、鉄(くろがね)の益多きにしかざるがごとし。
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【用語】
才能: 学問・芸術だけではなく、多方面にわたる能力
文: 書物・典籍、四書・五経などの漢籍
あきらか:(経書に)精通している、よく通じている
聖(ひじり)の教え: 聖人の教え、孔子や孟子などをさす
手書く: 文字を上手に書く
むねとする: 主とする、専門とする
便(たより): 手助けとなること、便宜
医術: 医学だけではなく薬学、呪術など幅の広い術
忠孝: 親などに孝行を尽くすこと
六芸(りくげい): 古代中国で「士」として修得すべきとされた、礼(礼法)・楽(音楽)・射(弓)・御(乗馬・馬術)・書(書道)・数(計数)の6分野にわたる技芸
出(いだ)す: 出すこと、ここでは教えるの意
うかがふ: ひととおり学び知る
いたづらなる人: 無駄なことをする人
食は人の天なり: 中国古典の帝範の一節 食料は、命にとって大切な者なので、「天」に例えています。
徳: 長所、利益
要(かなめ): 役立つこと
詩歌: 詩は漢詩、歌は和歌を指す
糸竹: 琴や笛などの管弦の音楽
幽玄の道: 優雅で奥深い領域 「幽」は、かすかな様子、奥深さのある、「玄」は、暗い
鉄(くろがね): 一般的には文字通り鉄のことですが、金に対して銀のことを指すという論もあります
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【要旨】
人が身に付けておくべき才能というのは、四書五経などの漢籍に精通していて、昔から聖人といわれるような人の教えを心得ていることが第一としてあげられます。
*
次にあげられることとしては、文字を上手に書けること、専門にまでする必要はありませんが、これを習うべきです。
学問をする時の助けとなることがあるからです。
*
次に学ぶべきことは医術です。医術といいましても医者のような専門的なことというよりは、健康を養い、他の人を救い忠義・孝行を励行することも、当代の医術がなくては、いろいろなことを実行することができません。
*
次に、弓を射ること、馬に乗ること、六芸(りくげい)、すなわち、古代中国で「士」として修得すべきとされた、礼(礼法)・楽(音楽)・射(弓)・御(乗馬・馬術)・書(書道)・数(計数)の6分野にわたる技芸を挙げることができます。これらは、必ず一通り学んでおくべきです。
*
このことを考えますに、黄金は、他の全てのものと比べて、すぐれているといいましても、鉄は種々の用途がありますので、たとえ金のように優れた物でありましても、鉄には及ばないこともあるという事実に共通しています。
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人が身に付けておくべき才能というのは、四書五経などの漢籍に精通していて、昔から聖人といわれるような人の教えを心得ていることが第一としてあげられます。
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次にあげられることとしては、文字を上手に書けること、専門にまでする必要はありませんが、これを習うべきです。
学問をする時の助けとなることがあるからです。
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次に学ぶべきことは医術です。医術といいましても医者のような専門的なことというよりは、健康を養い、他の人を救い忠義・孝行を励行することも、当代の医術がなくては、いろいろなことを実行することができません。
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次に、弓を射ること、馬に乗ること、六芸(りくげい)、すなわち、古代中国で「士」として修得すべきとされた、礼(礼法)・楽(音楽)・射(弓)・御(乗馬・馬術)・書(書道)・数(計数)の6分野にわたる技芸を挙げることができます。これらは、必ず一通り学んでおくべきです。
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このことを考えますに、黄金は、他の全てのものと比べて、すぐれているといいましても、鉄は種々の用途がありますので、たとえ金のように優れた物でありましても、鉄には及ばないこともあるという事実に共通しています。
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【 コメント 】
ある有名なコンサルタントが、「俺は人を見る目がある」と豪語していました。
人間というのは、表面上に見えるだけのものだけではなく、内面的に優れている人もいます。それらをすべて見極めることは不可能といっても良いと考えます。
とりわけ、世の中の価値観が多様化してきている現代におきましては、過去におきましては「正しい」とされていたことが、今日では、「正しくない」とか「どちらでも良い」と評価されることもあります。
兼好の時代には、文・武・医の道を究めている人は、才能のある人と評価されていたようです。今日では、「個性」とか「パーソナリティ」とかが高く評価され、専門性を以下した仕事をする人や芸を持っている人の人気が高かったりします。
また、「全然好き」という表現に違和感を感じる人と、そうでない人がいると思います。
学校で学んだ文法では、「『全然』は、その後ろに否定語が来る」と学んだ人が多いでしょう。ところが、「全然好き」というのは、後ろに否定語が来るどころか、「好き」という言葉を良い方向に強調した用法として容認されています。(大半の文法書には今でも記述されていて、文法的には、この表現は正しくないといえます。)
*
論語に、「君子は多くを知らず」という意味の言葉があります。素晴らしい人は、庶民の雑事などは知らなくても良く、君子として、私達に教えを授けて下されば良いというように解しています。
一方で、政治家は、庶民感覚をもっと持って政治を行うべきと考えます。
立場により、人間のありようは異なりますので、人を評価する時には、その状態の即した「ものさし」を用いる必要があります。
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ある有名なコンサルタントが、「俺は人を見る目がある」と豪語していました。
人間というのは、表面上に見えるだけのものだけではなく、内面的に優れている人もいます。それらをすべて見極めることは不可能といっても良いと考えます。
とりわけ、世の中の価値観が多様化してきている現代におきましては、過去におきましては「正しい」とされていたことが、今日では、「正しくない」とか「どちらでも良い」と評価されることもあります。
兼好の時代には、文・武・医の道を究めている人は、才能のある人と評価されていたようです。今日では、「個性」とか「パーソナリティ」とかが高く評価され、専門性を以下した仕事をする人や芸を持っている人の人気が高かったりします。
また、「全然好き」という表現に違和感を感じる人と、そうでない人がいると思います。
学校で学んだ文法では、「『全然』は、その後ろに否定語が来る」と学んだ人が多いでしょう。ところが、「全然好き」というのは、後ろに否定語が来るどころか、「好き」という言葉を良い方向に強調した用法として容認されています。(大半の文法書には今でも記述されていて、文法的には、この表現は正しくないといえます。)
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論語に、「君子は多くを知らず」という意味の言葉があります。素晴らしい人は、庶民の雑事などは知らなくても良く、君子として、私達に教えを授けて下されば良いというように解しています。
一方で、政治家は、庶民感覚をもっと持って政治を行うべきと考えます。
立場により、人間のありようは異なりますので、人を評価する時には、その状態の即した「ものさし」を用いる必要があります。
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